侵入者 自称小説家

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901213

感想・レビュー・書評

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  • 「侵入者 自称小説家」
    昔小林少年シリーズとかこんな絵柄だったな。


    売れない小説家の下に、迷宮入りが騒がれていた事件の被害者である身内が、犯人探しを依頼する。警察と身内が出す計1000万の賞金と犯人探しを書いた小説を出して良いと言う好条件。金と今後の仕事に繋がるとあれば断る理由は無く、小説家は依頼を受けるが、徐々に怪しい奴が動き出す。


    あらすじはこんな感じ。で、怪しい奴として、度々ピエロが登場する。迷宮入りになりそうな事件の現場ではピエロが目撃され、小説家が唯一自費出版したある事件を題材にした小説でも、ピエロが登場する。更に、迷宮入り捜査でも、ピエロの面が使われる。


    売れない小説家の作風として、怪しい存在=ピエロという手法を、他にも踏襲していると思われる。つまり、ピエロをマークしておけば、誰が犯人なのか?分かるはずなのだ。


    だが、まあ全体的に長々と続く。これが結構ボディーブローで効いてくる。犯人に迫ってるんだか、遠のいてんのか、牛歩戦法に苦しめられた。テイストだけを見たらミステリーぽくなってるけど、とにかく牛歩な歩みなので、小生はノックアウト。何度、鬼滅の刃を見たことか(いやぁ、めっちゃ面白いし、クオリティの高さよ!音楽も良いし、劇場版が待ちきれない!)。


    ラストに関しても、これのために、長々とあったのかと首を捻ってしまった。これかよ〜!となること請け合い。


    ピエロの扱いも何とやらだ。怪しい存在としてと言うより、怪しい武具だったというのが個人的な結論。マスクが外れなくなるという会話が終盤に出てくるあたり、結局は被って人格変わったからって訳ね、と思ったのだが、この結末ってどうなのよ?と又々首を捻って、髪をかいてしまったのです。


    総括としては、ミステリーのテイストは保ちつつも、淡々と長々と続くストーリーラインについていけるか?ここがライン。少なくとも、〇〇家シリーズだと覆面作家の方が断然面白いと思いました。

  • 前半は同じ内容の繰り返しで、後半の再現に期待するも同じ流れで何度も読むのをやめようと思った。が、最後の結末は意外で終わり方も思わせぶりで評価は上がった。でもそれにしてもそこに至るまでが無駄に長すぎうんざり。

  • 実際の事件をモチーフにする○○者シリーズを読むのは3作目だが、なんだかパターン化されてしまった感があり、途中でちょっと飽きてしまった
    犯人も、特に驚きがなく、まあ犯人ぽくない人で辻褄合わせるためにはそうするしかないよね、と思った。

  • 再現劇で推理するという荒療治に、どんな必然性をもってくるのかと思いきや、無理矢理なこじつけと、いっちゃえいっちゃえのノリで押し切られ、この辺りからバカミス度は急加速。解決は…する。が、あくまでも再現劇中での解決なので、これが本当の真相なのかどうか確証が持てないことにイライラ。しかも真相にお得意のサプライズはなく、逆に稚拙な着地なので余計にがっくりするんだわ。

    ふたつの未解決事件がリンクしてると思わせる前半部分は面白かったのに、後半は完全にぐだぐだで、何をしたいのかよくわからん。折原ミステリは車酔いのぐらぐら感が心地よいのだが、本作品はただの悪酔い。ピエロ恐怖症を再認識したヘンテコなお話でした。

著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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