- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163902302
作品紹介・あらすじ
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。そのお笑い哲学に心酔しつつ別の道を歩む徳永。二人の運命は。
感想・レビュー・書評
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3分の1程度読んで断念。文学的な表現、ストーリーで自分には合わなかった。
この作品は本職のお笑いが題材になっているので、全く違う分野の緻密な取材を重ねた作品だとどうなるのかは興味がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白いのに進まないという小説だった。テレビで拝見するお笑いを職業としている人達の世界なので、興味深かったし、その裏側を覗くような気分で読み始めたけれど、なかなか深かった。けれど何か残ったかと言われれば?だ。
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一本やられた、又吉に。
この本は最後まで読まないと全く良さが分からない。
予想外の結末に茫然自失。まいったまいった。
こんなオチが待っていたなんて!
読み始めはバリバリの純文学・・・、なるほど芥川賞だもんね、そりゃそうだよと読み進める。
主人公は売れないお笑い芸人の徳永。その徳永の先輩である神谷が強烈なキャラクターでこの小説の肝となる。
一貫して徳永目線で描かれる世界はどこまでも内向的で、主観的でへたれだ。このへたれキャラだけでもお腹いっぱいだけれど、それにもまして神谷の特異さに辟易とする。
この二人の会話は、キャラの対比と言うよりも又吉が二人に分裂して延々とひとり言をつぶやいているような気分にさせられてしまった。
なんだろう、読んでいて気色悪い。
自己陶酔のような、自己否定のような・・・。
でも途中でやめなくてよかった。
まさかの展開。まさかのオチ。
いやはや予想外に面白かった。これを面白いと言わずして何と言えばいいのだろう。
どう考えてもお笑いのオチじゃないか!
やっぱり又吉は芸人よね。
芸人魂、あっぱれ! -
これまで余り馴染みのない純文学に興味を持ち、ネームバリューのある著者の作品を手にとってみた。
序盤はなかなか波に乗れず…読み続けるのに苦労して挫折しかけたけど、ページを捲っていくと、いつの間にか神谷と主人公のやり取りが癖になってくるのに気がつく。
お笑いに対する神谷と主人公の感性の違い…神谷は面白ければどんな表現も厭わないが、主人公は誰かを傷つけてしまう可能性がある場合は、ネタにすることを躊躇してしまう。いつまでも自分の理想に辿り着けない主人公の葛藤を、神谷が面白いか面白くないか以外の尺度に捉われるな、と諭す場面が印象的。理想に対して1ミリの迷いやブレがないところが凄い。
他人に迷惑をかけるのはダメというのが前提だけど、どちらかといえば主人公寄りで迷いがちな思考の自分には耳が痛い。
ラストで神谷の理解を超えた行動にリアルにドン引きしてしまったが、「笑いとは」というテーマを突き詰めたり、終盤の主人公のライブに胸が熱くなったり、深みもあり、心に刺さる台詞やシーンも多く、著者ならではの世界観を堪能できた。 -
話題の本は積極的に読もうとは思わないタイプなのだが、この作品に対しては興味津々であった。これまでも芸人がテーマの小説をいくつか読んだことがあったので、又吉がどんな切り口でお笑いを描くのだろうかと。
読み終えてみて、想像以上の面白さであった。多少荒削りな部分は多々あるけど、純文学というフィールドで、エンターテインメントである「お笑い」の悲哀を痛々しく、時に滑稽に描くとは。
売れない芸人徳永と、破天荒という言葉では収まり切れない先輩芸人の神谷。神谷の強烈な個性に心底惹かれ、時に、生きるのに不器用すぎる彼を否定し。地道に活躍の場を広げつつある徳永に対し、あまりにも無茶苦茶な神谷のキャラが濃すぎてついていけないときもあるのだが、時々神谷の吐き出すセリフがものすごく心をえぐる。ネットで誹謗中傷をする輩に対し、「ちゃんと言うたらなあかんねん。一番簡単で楽な方法選んでるでもうてるでって。でも、時間の無駄やでって。ちょっと寄り道することはあっても、すぐに抜け出さないと、その先はないって。面白くないからやめろって。」という神谷の言葉に、胸を突かれた。
少しずつ徳永と神谷の生き方にズレが生じ始め、もしかしたらこうなるのか…となんとなく展開を予測してみたら、それを裏切る意外な着地にものすごく驚いた。賛否両論あるだろうけど、これが又吉だからこそ導き出せる、神谷の生き様なのかなぁと。今までにない心の締め付け方をする小説だと思いました。
読了後も心がざわつき、まだこの内容をうまく咀嚼しきれてない感は残っているのだけど、読んでよかったなと思う。オンリーワンの世界観。 -
芸人として食ってゆく事の難しさをよく表現している。この本を読む迄は芸人の世界の厳しさなど、向き合ったことがなかった。今後漫才の見かたが変わってしまいそうに感じた。夢を追う事は素晴らしいが、自分や周りの人まで不幸にしてしまう前に、諦める決断も必要なのかも知れない。
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うーっ、芥川賞の呪いが・・・難しい。読後感が、推し、燃ゆに似てる。不完全燃焼で、いつまでも、うつうつと引っ張って、何がが気になるんです。
二足歩行は向いてなかった、みたいな。
どういうこと??みたいな
又吉さんは、洞察力がすごい、情景は浮かんでくる。自分らしく生きるって時として、狂喜だよな、世の中から逸脱してしまうこともある。
人は、枠組みの中で生きることが必然と分かっていて窮屈だから自分らしくいきるという言葉に憧れる
のかも。周囲の意見を聞くことも大切。 -
言葉使いは捻りが多いので、人によっては読みにくくいのかも。
でも、内容は読みやすくて最後まで面白く読ませていただきました。
127ページの漫才では思いがけず涙が。
最後は予想外で何でそうなった?!の展開でした。