さよなら、ニルヴァーナ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902562

感想・レビュー・書評

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  • 体がだめになったら小説が書けなくなる。死ぬまで、私は自分一人の手で書いて、食べていかないといけない。
    ふいに、廃業という言葉が浮かぶ。嘘で食べている人間は、こんなふうに毎日の生活をないがしろにする人間は、死んだあとだって、ろくな目には遭わないだろう、という気がした。時々マンションのエレベーターの中で、赤ちゃんを前に抱っこした自分よりもはるかに若い母親といっしょになる。その姿を見ると、それが人としての正しい生き方のような気がした。彼女のなかに、どんな地獄があるのだとしても結婚をして、子どもを産む。血をつなぐ。人を増やす。それが、人として生まれてきた者の正しい道なのではないかと。(単行本p.366より抜粋)

    その通りだと感じてしまう自分は、作家の視点で書かれたこの章に強く惹きつけられました。

  • 他人のことを興味本位で追い回すって好きになれない。他人の不幸って自分の幸福が際立って堪らないんだろうか?
    加害者家族も被害者家族もなんとも言えない気分で過ごすことになるのね。耐えられないな。
    そんなことに関わることなく生活できるってありがたいことなのかもしれない。

  • 「運命の女」という存在がこの世にあるとしたら、それは多分、あの少女のためにあるのだと思った。

  • 題材が重すぎていろいろと考えさせられるし、理解できないところもあってもやっとする。暗いけど、続きが気になって読んでしまう。救いがない。

  • 最後まで読んで、なんで窪さんがこの題材でわざわざ本を書いたか、どんな覚悟で書いたかわかった気がした。
    ふがいない〜のラスト、「お前、やっかいなものつけて生まれてきたなあ」とつながるというか
    生とか性の振り切れた先にこの話があると感じた。
    でも、やっぱりどうしても加害者側が美しいし、改めて実際の事件を検索して、印象の違いにすっかり落ち込んでしまった…。

    個人的に心に残ったのは、バブルで浮かれた人に違和感を抱いたルー。たしかにあの頃の日本は変だった。バブルや震災が引き金になったって、妙に納得。でもそんなルーになっちゃんが言い返すのも胸に突き刺さった。

    何はともあれ、窪美澄作品、全作読了。大好きな作家さんです。

  • 2018.7.10 読了


    この作家さん 好きかも!

    神戸の元少年Aの事件(を彷彿とさせる)に魅入られ、
    少年Aに 恋心なのか 畏敬の念を抱く
    小説家志望のアラフォー女の目線。

    元少年Aに恋し、ストーカーチックになってしまっている
    自覚のある 若いかわいい女の子目線。

    被害者の母の目線。

    元少年Aの目線。

    が、入れ替わりで成り立ってゆく短編。

    初めから どんどん惹き込まれて、
    かなりハイペースで読めた。


    ただ ラストだけ ちょっと気に入らん。。。

  • フィクション小説として読めば★をたくさんつけるのかもしれないが、本当に起こった事件が題材となっているゆえに安直な感想を持てない。一見きれいにまとまったような結末もなんだか読んでいて苦しかった。

  • 簡単に感想を書いてはいけないような気がしていて、結局書けないでいる。
    でも、この本を読んで考えたこと、忘れてはいけないなと思う。

  • 敢えてこの題材を扱って、一体何が言いたかったのか…
    フィクションを創る能力がないのか。
    残念でしかない。

  • 事件を思うと、誰にも感情移入してはいけないと本能的に感じながら読んでいた。作者なりに紐解いていったフィクションだが、ドラマとして読み応えがあった。さまざまな家族のカタチ、幼少期からの愛情のもらい方の違い。色々と思うことがあった。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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