さよなら、ニルヴァーナ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902562

感想・レビュー・書評

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  • 作中の小説家のパートが作者自身のことを書いているようで。なんだかとても身を削って絞り出して書いたような力作である。いままでの窪美澄で一番よい。

  • 作家の立ち位置がちょっと納得いかない。自分の家族に起こってる問題を全部無視していいのかな。将来美玲がどうなるか、微塵も気にかけず少年Aにしか執着しないのはいかがなものか…
    そして被害者の心には寄り添えていないかな。

  • 序盤、タイトルからは神戸の事件をテーマにしていることが思い付かなかった。
    少年、憧れる少女、被害者の母親、全くの他人ながらどこか惹かれ小説にした女性という全くばらばらの視点から描かれている所が興味深かった。
    絶歌が出てしまった今は立ち位置が変わってしまった小説かもしれない。

  • 「ニルヴァーナ」に込めた作者の思いがよくわからなかった。
    途中でバンドのほうがちょっと出てきたので余計に。
    地獄の反意として示したのか…

  • 神戸の幼児殺害を模した小説。実際の人柄とは異なるのではあろうが、特異性をもって生まれた子供が、最後の一線を超えるまでに至る経緯を非常にリアルに物語として構成したように思う。また、物語の最後に青年に降りかかる罰も、納得ながらせつないものであった。
    黒いワゴンのくだりは、もう少し丁寧な説明がほしかったけど。。

  • 一生答えが出ないような現実の難しい問題達に対して、物語のために作者が安易に答えをこしらえ、そこに落ち着いただけの様な印象が拭えませんでした。
    こんなフィクション的な内容ならわざわざ多くの人のデリケートな部分に触れる題材を持って来る必要は無かったのでは。

    現実の当事者達はもっと想像を絶する様な想いを味わっているのではないかということだけは、全くの外野である自分ですら考えられるのに...。
    完全なフィクションならまだ受け入れられました。

  • 少年Aと、少年Aに娘を殺された母と、少年Aに恋い焦がれる少女と、その輪から外れたところで少年Aに心奪われる女の話。

    少年Aそのものよりもむしろ、(同機はバラバラであるにせよ)彼に心奪われる女性たちの真理と顛末をフィクションとして楽しむ、という姿勢で。

    まず、彼女たちは誰も幸福ではない。
    その状況からの現実逃避として少年Aにのめりこんでいく。

    少年Aを探し、求めているのは三人とも同じはずなのに保護司のおばあさんは少女と母のことは受け入れ、女のことは心無く突っぱねる。
    美しい少女と、人並みのスペックで生きている母はお眼鏡に敵い、みすぼらしい外見とエゴを抱えた女は門前払い。
    まさに救いがない。

    この救いのなさは『ふがいない僕は、空をみた』に通じるものを感じる。

    窪美澄らしい作品だと感じた。

  • 少年Aを題材にした話。こんな小説書いていいのか。実際に起こった惨すぎる事件なのに。殺人犯を好きになるなんて考えられへん。莢も頭では分かってるんだろうが。読後感が悪い。

  • 図書館で借りた。何かのレビューを見てリクエストしたのだけど多分ドルフィンソングと混同してていて、この重い話の心の準備をせずに読み始めてしまった。ちょうど少年Aのことが話題にもなっていてリンクし、フィクションなんだけど実際の事件に被せてある部分も多く、ものすごくリアルで気持ち悪かった。救われたのは小説の中では少年Aが罪の意識を持ち更生したいという意思を持ってまた苦しみながら生きているということ。実際もそうだといいなぁ!それが希望。小説とはこういうものであってほしい。題名が「ニルヴァーナ」である点については、途中で少年Aの会話の中でポッと出てくるだけで、なぜ?と疑問が残った。あの事件の頃確かに流行ってはいたけれど?設定がとても丁寧で、例えば映画でも観たいななんて思ったけど、この事件のことをぶり返せばそれだけ遺族も傷つくのかもしれないな、そっとしておいてほしいなと思ったり。小説の中で光ちゃんの家族が本当に辛い日々を送っていたのでそう思ったけど、著者もこれを書くことでまた遺族の傷をえぐるようなことになったんじゃないのかな、という気持ちも。でも少年Aが前述したようなスタンスで書かれているのは救いかな。

  • いわゆる少年Aの事件を題材にしている。率直な感想は内容が浅いし加害少年を美化しすぎている。
    あまりに有名でなにかと話題になる事件を描くには力不足ではないのか?

    まったく違う架空の猟奇事件をつくるべきだった。そうであれがもっと物語に面白みがうまれた。

    被害者の親御さんがこれを読んだらなんと思うのだろう。それを小説家として悪魔に魂を売っただの、さよならニルヴァーナという言葉で養護するのは見当違い、思い上がりではなかろうか?

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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