さよなら、ニルヴァーナ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902562

感想・レビュー・書評

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  •  いわゆる少年Aの事件をモチーフにした小説。フィクションです。
     ちょうどこれが出版されたタイミングで、本物の少年Aが本を出したりHPを公開したりと……なんとうか、うわさに聞く限りは事実のほうがフィクションより怖い(らしい。私は怖いので本もHPを見ていない)。

     さすがフィクションという、あくまでもフィクションであることの力を見せつけてくる。物語という形による浄化というか、えーっと、京極堂の憑き物落としに似ている気がする。
     女性のためのR-18小説大賞出身だけあり、己の欲望に自覚的かつ向き合っていて、物語内に煮詰まっている小説家希望とか、もうほんとにわーってなる。



    <以下ネタバレを含む>



     最後まで読むと、結局のところ、犯罪者は死ぬことでしか許されない、とも取れてしまう。物語の中で、彼をここまで美化したからには、死ぬか再犯するかしかないかなぁとは思うんだけれども。綺麗に収まってしまって、それゆえの居心地の悪さがある。
     未成年の犯罪は更生することを念頭に置いていて、そういう意味で……更生されないのが当たり前、プライバシーもなしにストーキングされるのも仕方ない、という展開については、フィクションだけど、やはり心が痛む。これがフィクションの限界なんだろうか。
     こういうのを読んで痛ましい気持ちになるのは、関係者が生きている実在の事件を取り扱うがゆえの感覚になるんだろうな。

  • 一気に引き込まれて読んでしまった。
    2015年11月17日

  • 黒いワゴンは誰

  • 14歳で殺人事件を起こした少年A、小説家志望の女性、少年Aに娘を殺された母親、そして少年Aをアイドルのように追いかける女の子。
    この四人の視点から描かれる物語。
    交わらなさそうに見えた四人の人生が交錯するとき、起きることは…。


    14歳の殺人というと、やっぱり神戸の事件が思い浮かぶと思います。
    この小説もあの事件にインスパイアされて書かれたものだと想像できます。

    細かく取材をして
    少年Aの心境や事件に至るまでの経緯、そしてその後の人生が描かれています。
    少年Aの視点だけじゃなく
    被害者の母親というもう一方の当事者と
    少年Aに恋する女の子、
    また第三者で事件に関係がないが、少年Aに興味を持っている小説家の語りを入れることで、ストーリーにかなり厚みが出たと思います。

    一気に読ませるパワーのある作品でした!

  • 読めない〜!神戸の事件が題材になってて本当に刊行のタイミングが悪かった。少年Aを崇拝する女たち、被害者の母までは読めたけど、少年Aの語りになると無理だ〜いま現実の彼が動き出していて、過去の事件ではなくなってしまってるから気持ち悪くてたまらない。
    もちろん創作のお話で、窪美澄の作品として読むべきなんだけど、上手いからなおさら読めない。
    婚活殺人とかは結構モチーフとして小説出てて普通に読めたけどな( ; ; )

    2015/10/16

    読んだ。
    光の母のラストの動向で動揺してしまった。
    忠実すぎて、ダメだ。

  • それぞれの立場での思いを想像できた。

  • 読めば誰もがあの事件のことを書いた作品だとわかるでしょう。
    それでなくても、今は『絶歌』の出版で少年Aについて、世間の関心があります。
    著者はいったい何が描きたかったのでしょうか。
    子どもを殺された主婦に対してさえ感情移入できない作品でした。

  •  神戸で実際に起きた陰惨な殺人事件をモチーフに、被害者側、加害者側、まったくの第三者たちが交錯し、苦しみ悩みながら理想の家族の姿を追い求めていく。
     自分の子供を殺された母親、少年Aをカリスマと慕う少女、そして渦中の人物である少年Aの生い立ちの物語が少しずつ走り始め、ある人物しか知らないクライマックスに近づいていく。

     奇しくも少年Aが書いた本が物議をかもしだしている昨今、色々な読み方もできるが、作者の描く小説には必ず真ん中に「家族」がある。作品に使われているあるトリックというか構造は中途半端なサスペンスで不要な気もするが、きれい事ではすまされない家族の姿がいくつも描かれていて考えさせられる。
     「いつか娘と一緒に料理を作りたかった」という、叶うことのなかった母親のさりげない夢が印象に残った。

  • 題材がやはり嫌悪感。

  • 帯より 私の運命の人は、十四歳で少女を殺した少年Aでした。
    少年犯罪の加害者、被害者家族、加害者を崇拝する少女、そして環の外にたつ女性作家。

    感想
    現在子育て中のせいか、子どもが犠牲になる本を読むのが辛くなってきた。物語には、引き込まれていくけれど、読み進むのが怖い。読後もきつい。でも、途中で読むことを止めることは出来なかった。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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