2000年の桜庭和志

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163911731

作品紹介・あらすじ

『1984年のUWF』の続編にして、『1976年のアントニオ猪木』の最終章!タイガーマスクに憧れプロレスを志した少年―-。アマレスを学び、プロレスラーになった桜庭和志は、サブミッションレスリングに夢中になり、総合格闘技の世界へ。そしでPRIDEの主役となり、UFCのレジェンドであるホイス・グレイシーと107分の死闘の末、伝説となった。桜庭が、“リアルファイトのタイガーマスク”になったのである。桜庭の生き様を追いながら、グレイシー柔術とは何か、MMAとは何か、格闘技とは何か、UWFとは何か、プロレスとは何かに迫る。取材は、桜庭への幾度にも及ぶインタビューだけでなく、石井和義やホイラー・グレイシー、ホイス・グレイシーにも行った。著者は、自ら柔術教室にも通い、そのなんたるかを学んだ。まさに体当たりのこの作品は、著者の真骨頂でありひとつのシリーズの大きな締めくくりでもある。

感想・レビュー・書評

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  • 「プロレスラーは本当は強いんです!」(1997年12月21日 UFC-Jヘビー級トーナメント優勝後のインタビュー)

    この一言で、どれだけのプロレスラーが、プロレスファンが救われただろうか。

    IQレスラーにしてグレーシー・ハンター。

    その名は、桜庭和志。

    「僕はアスリートであると同時にプロレスラーです。プロレスで学び、プロレスから吸収した細胞がDNAとして染みついています。お客さんに伝わる試合をすること、それがプロレスラーとしての僕の矜持です。大きな選手に向かっていく僕の姿を通して、お客さんの人生に何らかの影響を与えることができたとしたら、プロとしてこれ以上の幸せはありません」(2017年7月6日 UFC ホール・オブ・フェイム授賞式でのスピーチ)

    「プロレスは最強の格闘技」とのアントニオ猪木の思想は、新日本プロレスからUWFを経て、桜庭がそれを実現させた。

    その素晴らしさは、この2つの彼自身の言葉が何よりも雄弁に物語る。

    そして彼は、「クインテット」を創設。
    新たな歴史を切り開き続けている。

  • 「プロレスラーは本当は強いんです!」
    1997年に開催された「UFC JAPAN」における優勝インタビューでの桜庭和志の言葉だ。この頃のプロレスファンは大いに傷ついていた。プロレスを長年見続けていたのならば、それがあくまでショービジネスであり、リング上での勝ち負けがそのまま彼らの強さを表すものではないことには気づいていた。それでも信じたかったプロレスラーの真剣勝負における強さという幻想は、安生洋二が道場破りに行って返り討ちにあいヒクソン・グレイシーにボコボコにされたり、「PRIDE.1」で高田延彦が同じくヒクソンに手も足も出ずに敗れたりという事実の前に、無惨にも打ち砕かれていた。そんな時に総合格闘技の大会で鮮やかに勝利をあげた桜庭の言葉に快哉を叫んだプロレスファンは少なくなかったはずだ。
    総合格闘技の世界で、その戦績だけでなく試合内容でも観客を魅了し、先頃UFC殿堂入りも果たしたプロレスラー・桜庭和志の足跡を、当時としては総合格闘技の最先端の戦いであった2000年のホイス・グレイシーとの一戦をクライマックスにして描き、彼の活躍を振り返るとともにグレイシー柔術、総合格闘技、UWFなどについて理解を深めることのできる一冊だ。

  • 強さを立ち上げた『1976年のアントニオ猪木』と強さを追い求めた『1984年のUWF』そして、強さを証明した『2000年の桜庭和志』。
    アントニオ猪木から始まった一連の流れの最終章。あの頃を思い出しつつ、夢中になって読み進めた。

    桜庭選手がPRIDEで体重差がある選手と戦い続けたのも青木選手とMMAで戦うことになったのも日本の総合格闘技が純粋に競技性で集客できないことが原因なのかと認識。

    冒頭のUFCでのスピーチと桜庭選手がグラップルの大会に行きついた現状は物語として美しいですね。桜庭和志、偉大なり。

  •  UWFインターは会場にけっこう見に行っていたのだけど、当時新人だった桜庭を意識したことはなかった。UFCが始まったころは雑誌で情報を見るくらいで、へーと思った。高田が武藤に負けて急に興味を失ってしばらく見ない時期があって、ホイス戦は浅草キッドのラジオで非常に盛り上げていて、レンタルビデオで見た。PRIDEが盛り上がってきたあたりからスカパーを流している飲み屋があって、そこで見ていた。毎回飲み屋に行くのもお金が掛かるからスカパーに加入して欠かさず見るようになった。とても楽しい時期だった。その時期は自分の人生でもかなり楽しい時期と重なる。今が楽しくないわけではないけど、老人なのであの頃は若くてよかった。

     桜庭が活躍している時も体重差を無視するカードが組まれるなど常にビターなテイストがある。お金は稼げていたのだろうか。苦労が報われていたのか、UFCの殿堂で表彰されたとしても年金が発生するわけではないだろうし、体を酷使した代償が得られていたのか心配だ。功績を考えたらお城みたいな豪邸で暮らしていてほしい。

     紙のプロレスで楽しそうにバイクに乗って取材に現れていた様子が記憶に残っている。毎号のようにインタビューが載っていて紙プロも楽しかった。

  • 題名からして、私にとって、
    面白くないわけがない、という本。
    伝説の一戦。
    にしても、それ以前に夢中で観てたプロレスは、
    一体何だったのだろう…

  • 2000年代に総合格闘技イベントPRIDEで活躍したことで有名な桜庭和志選手の軌跡を辿った一冊。2000年にPRIDEで行われたホイス・グレイシーとの伝説の1戦に関してはかなりのページ数を割いて、他の選手の裏話を交えて語られていて非常に面白かった。PRIDE後期~は体重差や怪我に泣かされ思ったような結果が出せなかったが、総合格闘技のレジェンドであることは間違いなし。UFCのダナ・ホワイトの「サクラバはPRIDE時代に適性体重で戦えていれば負け知らずだった」の一言ががすべてか。

  • なかなかのボリュームだったがようやく読了。この時代なのでYoutubeで試合をプレイバックしながら読んでしまったので、必要以上に時間がかかった。
    懐かしい。桜庭和志は本当に強かった。当時のわたしは団体の経営のことなど知る由もなく、試合以外にも大変な苦労をされていたことを初めて知った。心技体すべて最強な桜庭和志。年齢的にはもう試合はしなくていいので、もうちょっとバラエティ番組などに出てきてもらいたいものだ。

  • 夢中になって読んでしまう。
    しかし、なにか物足りない。

  • 桜庭和志選手はパイオニアでありレジェンド。リアルタイムで観てきた僕は一気読みしました。

  • 【日本の総合格闘技の象徴、桜庭和志の“格闘史”】UFCの殿堂入りをした総合格闘技界のレジェンド桜庭和志。二〇〇〇年のホイス戦をクライマックスに彼の存在意義を炙り出す。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒。文藝春秋に入社し、「週刊文春」「Sports Graphic Number」編集部等に在籍。2003年に退社後、フリーとして活動を開始。デビュー作『1976年のアントニオ猪木』が話題を呼ぶ。他著に『1993年の女子プロレス』『1985年のクラッシュ・ギャルズ』『日本レスリングの物語』『1964年のジャイアント馬場』『1974年のサマークリスマス』『1984年のUWF』がある。

「2017年 『アリ対猪木』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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