楽園の烏

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 157
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912547

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずめちゃくちゃ面白かった。絵の見方をひっくり返す様が鮮やか。ひっくり返されるたびにこちらはダメージを受けるけど……
    お馴染みの面々がいて嬉しかったり、出てこなかった人の現状が気になったり、続きも楽しみ。

  • 待ちに待った最新作
    裏がある不穏さがそこかしこに。
    一気に読了

  • 1章の玉依姫と同じく、人間が中心となる巻。
    山内のある土地の利権をめぐる回だ。

    物語は1章の最後から20年後となり、山内の体制も様変わり、雪哉が”雪斎”として取り仕切る世の中となっている。
    正直、人間が出てきたことよりも、山内の体制が変わりすぎていて、いったい何があったのかということの方がずっとやきもきしていた。

  • 第一部ラストから一気に時が経ち新しいキャラクターへと視点が移ったことで、世代が変わったんだなあという感慨を覚えた。新しい世代が山内をどう変えていくのか、いけるのか…未来への期待と不安がたっぷり詰まった巻だった。

    今巻の主人公をひとり挙げるならはじめが相応しいのだろうけど個人的には頼斗の行動に意識を引き寄せられた。というのも、頼斗がはじめを訝しみながらも使命のために着いて回っている姿に、なんとなく第一部の主と雪哉の姿を重ねて見てしまったからだった。千早は頼斗の純真さから明留を思い出したようだったけど、私はむしろ勁草院に入るなんて夢にも考えていない頃の、自分の気持ちを優先して主の誘いを断れた頃の雪哉を思い出していた。さらにトビ、彼が自身の命を取引に持ち出す姿にもかつての雪哉を幻視してしまったりした。そんなわけで、雪哉自身も私なんかを目指してはいけないと言っているように、次世代には雪斎の二の舞を踏んでほしくないなあと期待を掛けてしまうのだが…終章で頼斗のことを部分的には信頼できるようになったはじめとは裏腹に、頼斗は依然として山内への帰属意識を捨てていないらしく…まだまだ各陣営の思惑が行き交う状況は変わっていなくってこれからどうなっちまうんだ〜!?と新章のスタートとしてワクワクできた。個人的には、困難の中でも諦めない人の輝きを信じているはじめの考えに同意してるので、応援したいところ。
    あと、今回巻き込まれたはじめや雪斎が送り込んでる八咫烏といい、箱庭世界であった山内がどんどんと外の世界へ侵食してきているのもワクワクポイントだった。もともと山神の都合で生み出された八咫烏が、生活を守るために己の存在を外へ外へと主張するようになったのだと考えると、命の力強さを感じてうれしい。いや雪斎の管理がキツすぎて泥沼化してる点では決して喜ばしくはないが…山内で起こっている烏と猿の抗争は、要約すれば奴隷の解放運動や植民地からの独立の主張なわけで、つまり人類史そのもの!そんな八咫烏の生活を知ればはじめの言うように『人間』だと私も思うし、トビの言うように彼らも私たちもみな対等でいたくて探り探りで頑張っているんだよなあということを、人間という登場人物の一員として思えたのがよかった。

    第一部の登場人物たちが今どうしてるのかな〜というワクワクは次巻以降へ持ち越し。今回は名前だけの登場だった金烏さんとか、大丈夫なんでしょうか。最後に見たのが自信をなくした姿だったので、名前ばかり使われてる現場を見るとすっかり傀儡になっちゃってないかを心配してしまうのですが、杞憂であってほしい。
    まあ本当に傀儡っぽいのは雪哉さんのほうなのかな…周りの人間を駒として扱う以上に自分のことを切り札として使い捨ててきた印象があるので。
    ところで金烏を差し置いてちゃっかり登場する長束さま。相変わらず便利な人手として使われててかわいい。やはりマスコットキャラクターなのかも。お約束感に安心できるので読者としては助かります。

  • 望月の烏を読んでから、必要性を感じての再読。
    印象がちょっとかわるね。

    安原はじめは山を相続した。
    『どうしてこの山を売ってはならないのか分からない限り、売ってはいけない』という養父からの遺言付きでだ。
    相続した途端、「幽霊」を名乗る謎の美女から山の秘密を探るデートに誘われる。
    美女とのデート中に山のトロッコに乗せられたはじめは、行き着いた先で八咫烏の住まう山内を目にするー。

    初めて読んだときは、成長を見守ってきた雪哉が狸ジジイになっていたショックが大きすぎ、
    読後感が良くなかった覚えがあります。笑
    幽霊の正体もわかるけど、しっくりこないと言うか。

    望月の烏の最後の最後に時系列が逆転していることに驚き、再読。
    狸ジジイはそのまま変わらないけど時間がそのショックを和らげてくれていたし、
    再読により幽霊目線も手に入れていたので、心の拠り所あがある状態で読みすすれられました。

    山内の世界観が好きな読者としては、全てが大きな芝居であって欲しいと願うばかり。
    雪哉と治真と頼斗がそうであったように、
    雪哉と浜木綿と長束もそうであってほしい。。。
    誰がコテンパンにやられる未来も見たくない。笑

    二代目トビ、はじめはまだまだ躍動しそうですね。
    八咫烏シリーズ、しっかり追っていきます!




  • プロローグなのはわかるけど、充足感が足りない。

  • 前作から30年以上経った時代を背景としているため、様々なことが変化していて最初は戸惑ったが、物語を通してこの30年でどんなことがあったのか読者自身にイメージさせる挑戦的で面白い作品であったと思う。

  • 今までのシリーズと比べると微妙。雪哉が一気に悪者になった気がするし時代が飛びすぎてて分からない。今回若宮が全く出てこないのにも違和感があった。八咫烏シリーズらしさはあったけど、第1弾のシリーズの方が好き。

  • なんだかまた新しい展開!
    この先も楽しみ!
    ゆきやー!!

  • 八咫烏シリーズ7作目
    異界山内はただの美しい和の世界ではない。「いい家に住めて、砲弾の音がしなくて、うまい飯も食えて、綺麗なおべべが着られても━━ 鴨居にぶらさがることは出来るんだよなぁ」この言葉が印象的で、物語の奥深さを感じた。最後の急展開には驚いた。種明かしが待ち遠しい!

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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