食育のススメ (文春新書 612)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166606122

感想・レビュー・書評

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  • 「食育のススメ」とあるので、現代のことを取り上げているのかと思ったら、何と村井弦斎の「食道楽」を紹介する本だったとは!
    岩波文庫に入っている「食道楽」は、ずいぶん前に買って、いまだに積読状態。
    これを「しょくどうらく」と読むのだということも、本書から知った。

    「食道楽」を紹介しつつ、弦斎の実人生や、当時の時代状況にも解説が加えられていく。
    大隈重信邸の台所の様子などは、興味深い。

    筆者の関心は、「食道楽」が現代社会にも通用する先進性を持っていたことを解き明かすことにあるようだ。
    先進性はともかく、家庭小説的な道徳主義に私は若干食傷気味になるのだけれど…。

    一世を風靡したこの小説があっという間に廃れた事情を、黒岩さんは日露戦争の開戦による世の中の空気が一変したことに見ている。
    平成の私たちも、震災で空気が一変したことを覚えている。
    なにかちょっと切ない気分になった。

著者プロフィール

1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ノンフィクション・ライター。図書館へ通い、古書店で発掘した資料から、明治の人物、世相にあらたな光をあてつづけた。
『「食道楽」の人 村井弦斎』でサントリー学芸賞、『編集者 国木田独歩のj時代』で角川財団学芸賞、『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』で読売文学賞を受賞。
他の著書に『音のない記憶』『忘れえぬ声を聴く』『明治のお嬢さま』など。10年間で10冊の著書を刊行した。惜しまれつつ、2010年没。

「2018年 『歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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