- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166608287
作品紹介・あらすじ
乃木希典は本当に愚将だったのか「智謀湧くが如し」秋山真之の弱点とは?戊辰戦争の生き残りが見せた勇猛果敢東郷ターンは偶然だった?明治期の陸・海軍、歴史に精通した五人が日清・日露両戦役の真実に迫る。乃木愚将論について意見を戦わせ、作戦を検証し、司令官・参謀たちの知られざるエピソードを披露する。昭和の失敗、平成のリーダー論にもつながる白熱の議論。
感想・レビュー・書評
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坂の上の雲の後に読むべきだった…
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著者:半藤一利、秦郁彦、原剛、松本健一、戸髙一成
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「そこから旅順港は見えるか!」という有名な児玉の問いかけに対して、「見えます。が、敵艦隊はすでに壊滅している模様であります」という答えが本当だったとは..。事前の山越えの砲撃ですでに旅順艦隊が次々に撃沈していることも知らず、あれだけの犠牲を払って二百三高地を取る意味があったのか?
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おそらく明治期以降の歴史に最も精通しているだろうと思われる著名な「歴史家」5人による「座談会」ということで、大きな期待をもって本書を読んだが、ちょっとがっかり。
本書には「日清戦争・日露戦争」の戦術的な論議は多いが、背景の政略的考察や歴史的位置についてはほとんどなく、昭和の大戦争へつながった「大陸政策」への言及もほとんどない。
「日清・日露」という勝った戦争の自慢話のような論議には、その後の「大日本帝国の大破綻」につながる大陸政策や、近隣諸国との関係への辛辣な考察はかけらも見られない。
本書の座談会の論議は司馬遼太郎の「坂の上の雲」の「正しい日本と邪悪なロシア」の勧善懲悪のような単純な史観から一歩も出ていないように思えた。
日露戦争時のロシアの内情については、相当詳しい考察がすでに明らかになってきているのだが、日露戦争を「ロシアの膨張主義に対する日本の防衛戦争」と捉えるには相当無理があるのではないかと思う。
「勝った戦争より、負けた戦争から人々は多くの教訓を得ることができる」とはまさに真理だと思えた。
現代の著名な歴史家5人でさえも、勝った戦争への評価には、辛辣さは全くない。
この「日清・日露戦争」の勝利が「韓国併合」や「満州国建国」につながり、「昭和の大破綻」を迎えた日本の歴史を考えると、徹底検証すべきことは、「日清・日露戦争」の戦術的巧緻ではなく、政略の歴史的評価ではないかと思うと、本書は残念な本であるとしか言い様がないと思う。 -
近現代史の権威が集まり対談した内容が書籍化した。
日露戦争は、読めば読むほど、日本の勝利が幸運だったことがわかる。特に陸戦においては、敵将クロパトキンの無能力に助けられた感じがする。
日本海海戦においては、連携機雷戦法も用意されていた。海が荒れていたため実施できなかった。 -
歴史オンチが勉強したくて買って、そのまま積んどいた本。読みやすくて良いです。坂の上の雲読んだのはもう随分昔で詳細忘れていますが、その事実検証もしています。でも、この人達、日本と戦争の話が大好きですねえ。半藤さんは「漱石先生、、、」以来ファンです
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新たな資料なども踏まえ、これまでの通説を批判。また、太平洋戦争の敗因の一つが、遠く日露戦争の勝利にあると分析する。
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半藤一利さんの著作を追いかけていたらこの座談会が目に留まりました。専門家5人の話は実に面白い。一人がネタを振ると皆が次々と話を追っかけて行く。そして皆無茶苦茶詳しい。「七生報国」は広瀬武夫の書簡に残された漢詩の一節というのは初めて知りました。それをまた皆さんさらりと流す。まだまだ続きが読みたい!
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「坂の上の雲」の時代についての座談会。あの作品は勿論フィクションで,小説→ドラマと虚構の比率も増えていくが,実際はどうだったのか,いろんな薀蓄が語られる。
日清戦争で北洋艦隊が壊滅するわけだが,「西太后が軍艦マニアでなくて何よりでした」という戸髙さんのコメントは面白い(p.52)。彼女が頤和園なんかの贅沢に費やした金が,艦隊につぎ込まれていたら…という話。やはり西太后は破格だな…。
意外だったのは,あんなに小説でもドラマでも盛り上がった203高地陥落の意味。多大な犠牲を払って確保したあの頂上に観測所を設置,28サンチ砲で港内の艦隊を撃沈したというのがドラマチックだが,事実と異なるらしい。実際は,203高地を取る前に旅順艦隊は壊滅していた…。軍艦に照準は定められないが,地図上に書いたマス目を一つづつ撃っていったところ,命中していたとのよし(p.163)。
日本海海戦については,宮中にだけ残っていて昭和天皇が崩御の直前に下賜された『極秘明治三十七、八年海戦史』という詳細な史料によって伝説とは異なる多くの事実が判明したそうだ。例えば,「天気晴朗ナレドモ浪高シ」だったために中止せざるを得なくなった連繋機雷を撒く戦法,こういう奇襲作戦を公にしてしまうとその後の戦争に差し支えるからという理由で秘密にされてたみたい。
ともあれ日露の成功体験が,太平洋戦争の精神主義や奇襲偏重につながったというのはうなづけるな。 -
昨日夜から、坂の上の雲 第三部です。