人間の叡智 (文春新書 869)

著者 :
  • 文藝春秋
3.79
  • (47)
  • (116)
  • (64)
  • (16)
  • (1)
本棚登録 : 754
感想 : 99
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166608690

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルがあれだけど、期待を裏切らない。

  • オーディオブックで聞き流してしまったため、深く、面白そうな内容をキャッチできずに聞き終わってしまいました。
    もう一度紙の本で読み直す必要があるなぁ、と感じています。
    帝国主義、ポピュリズム、マルクス、イデオロギー、リベラル・・・用語として知ってはいても、しっかり理解し自分で使いこなせるレベルになっていない言葉や概念が多く出てきて、片手間に聞き流せる内容ではありませんでした。
    もっともっと勉強が必要。勉強して、また読み直そう、と思った一冊。
    これでも、この著者の著作の中では、わかりやすく書かれた本だということ。頭の良さが、次元が違う感じです。

  • 古典、物語のよる軸

  • 現代は「新・帝国主義」の時代だという立場から、国際政治のさまざまな問題を分かりやすい言葉で論じている本です。

    著者は「はじめに」で、これまで刊行してきた本に対して「難しい」という声があったことを考慮し、「今回は、思い切って語り下しで、わかりやすい本を作ることにした」と述べています。ただ、著者の本の一番の魅力は、著者自身の教養の背骨となっているキリスト教神学、ナショナリズム、マルクス主義のトリアーデが、現代の状況を見据えながら掘り下げられていくところにあるのではないかと思っており、そうした掘り下げがほとんどなされていない本書には、あまりおもしろさを感じませんでした。

    著者の主張する「新・帝国主義」とは、21世紀においては従来の国民国家の枠を超えた「帝国」の勢力均衡に基づく国際政治の秩序が形成されつつあるというもので、にもかかわらず、日本ではそうした認識が根本的に欠如していると著者は批判しています。柄谷行人も近年文明論的な枠組みに基づく思想を展開していて、著者と立場を異にしつつも、呼応するところがあるのはおもしろいと感じました。ただ私自身は、こうした文明論的な議論の枠組みにはまだなじめずにいます。

  • 佐藤さんの本をまともに読むのは初めてだったけど、語り下ろし形式だった本書を手に取れたのは良かったかも。
    わかりやすく、また知識のあまりの豊富さに圧倒されながら、最後まで楽しく読ませていただいた。
    いくら最新ニュースを追ったからといって、歴史という教養が足りないと、その掘り下げは浅くなる。
    上っ面だけのコメントの軽さを実感させてくれるような本だった。

  • タイトルがすごいんだけど、内容は現代世界の読み解き方と生き残り方、みたいな本。
    ご本人が子どもにも日本語を学ぶ外国人にも分かるように書いた、と言うだけあって、分かり易い…比較的。
    心から本当にすごいと思うのは、大量に本を読んでてなおかつ自分のものにしてるとこ。
    本書の中でもぽんぽんいろんな本が(しかも読みづらい古典的な本が)引用されて出てくるんだけど、ちゃんと氏の説を補強する役割として出てくる。その本の内容に引っ張られたり振り回されたりしない。
    本ッ当に頭の良い人なんだなあ、とつくづく。
    こういう現代論のサガで、取り上げられてる出来事がちょっと古いので、今の状況をどう思ってるのか聞いてみたい。

  • 2015

  • [世を生きるには]外交から芸能に至るまで幅広く執筆活動を手がけている元外務省主任分析官の佐藤優が、一般の読者を想定して書き記した今日的日本論であり、今日的文明論。急速にその姿を変えつつある世界の中で国家や個人が生き残る術を説いた作品です。題名の厳かさにひるんでしまいそうですが、記述はわかりやすさに重きを置いているように感じられました。


    新書とは思えない程の情報の濃密さ(量というのとはちょっと異なるものです)にまたまた驚かされました。近年の動きを基にしながら、その深部で進む世界規模での構造の転換を救いとっていくあたりは非常に読み応えがあります。その見解に賛否はあると思いますが、一流のインテリジェンスを有する人物の語る言葉として傾聴に十分値するエッセンスが詰まっているように感じました。


    上述したとおり、本書はわかりやすさを心がけて作成されており、それが結果として佐藤氏の考えを端的にまとめあげる効果をあげているため、「執筆活動が盛んな佐藤氏のどの著作から手をつければよいかよくわからない」という方にもオススメできる著作です。でもちゃんと濃密な読書体験をさせてくれるあたりが佐藤氏の作品から離れられない理由なんですよねぇ。

    〜結局、人間はナショナリズムとか、啓蒙の思想、人権の思想、そういうもので動くのだと思うのです。......ただし、それらの思想は全部まやかしなのです。まやかしだとわかっている人たちが、承知の上でそれらを使っていかにイメージ操作をしていくかというのが課題です。〜

    この人の本を読むとなんだかはっぱをかけられているような気に☆5つ

  • 日本も帝国。
    古典を読むべし。

  • 非常に面白く読ませてもらいました。佐藤優さんの本でもとても読みやすくて助かりました。これからの日本や世界の動静とともに人としての在り方も参考になりました。これからは少し古典も読んでみたいと思います。

全99件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤優の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×