- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166608690
感想・レビュー・書評
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叡智に近づくには言葉、物語が必要。
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新帝国主義は個人の効用を考えるのではなく国家全体を1つとして考える
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昨今の国際社会のルールが、かつての帝国主義に似たもの=「新・帝国主義」になっている、というのが主題。
資本主義の最高段階が帝国主義だが、それはいつか限界が来て革命が起こり、社会主義社会、共産主義社会に発展するというのがマルクスの主張であり、世界共通の歴史観だった。
しかしソ連崩壊によって社会主義は失敗したため、世界は「新・帝国主義」となった。
「新・帝国主義」は自国の利益を最大限主張するが、相手国が抵抗し、国際社会も反発すると国際協調に転じる、というのが基本ルール。
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MEMO:
p205
新書を読むような人は読書人階級に属している。ものごとの理屈とか意味を知りたいという欲望が強く、他の人とは少し違う。
読書人口はどの国でも総人口の5%程度。その人たちによって世の中は変わっていく。 -
新書1000本ノックその23
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語り下しということで読みやすくはあるが、内容は濃く、僕にとっては難しく感じた。
新・帝国主義という国際環境の中で日本が、日本人がどうすればいいのかを丁寧に説明してくれている。 -
いまの国内の歪み軋みに対して、国家自体を生き物に見立てると、本能的にリスクを回避しようとうごめいているという。ってことは、まあなるようにしかならないってことだ。
人を見るときの4つの要素は、すぐに役立ちそう。
移民・外交・国家、普段の仕事に置き換えて考えてみると展望が開ける。かもしれない一冊。 -
政治や外交には他の人が気づかないような異常な発想や視点が必要
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1.帝国主義国の行動原理、行動規範の定義
2.優れたテキストは複数の読み方が可能
3.目に見えないものに想いを馳せることが叡智に近づく唯一の道
本書から読み取ったエッセンスはこの3点。 -
最後に書かれていることが、とても印象的だった。
小説ではなくて歴史でも寓話でもいいのですが、何らかの物語を作らないと、恐らく人間は「死」に対応できないでしょう。自分が生きてきたことの物語、あるいは自分の親しい人の物語はどうしても必要なのです。
真理は常に匿名性の下に現れる。(ヘーゲルが『法の哲学』でいった)ミネルバのフクロウも、(キリスト教の概念の)インコグニトも、あるいは神道の「言挙げせず」というのも、すべて共通していると思うのですが、形をなすのは、事後なのです。
日本が元気に立ち直るためには、日本人一人ひとりが言葉の使い方を変えて、国民を統合する物語をつくりだすしかないのです。そして、目に見えないものに想いをはせる。それが叡智に近づく唯一の道だと思うのです。
佐藤優がいうキーワードとして、「物語」、「真理」、「言葉」、そして「目に見えないもの」。
最近読んだ本に、「真理とはわずかなものです」ということが書かれていた。目に見えない真理を、言葉として、そして物語として紡いでいくことが大切なのだというメッセージ。 -
面白い。今の時代は新帝国主義の時代であると著者は説く。読みながら、今の世界の状況は共和制末期のローマに非常に似てるのだろうな、と思った。危機的な状況においては、帝政のように少数の人に権力を集中しないと、めまぐるしく変わる状況に対応出来ないのだろう。同じ著者の「国家論」も読みたいと思う。