- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166614318
作品紹介・あらすじ
近頃、書店には「教養」についての本が溢れている。だが、そもそも教養とは何か。なぜ教養が必要なのか。教養はいかにして身につけるものなのか――。著者の水谷氏によると、1人の人間が生きていく上で必要な知識は2種類存在する。ひとつは実社会で生きていくために必要な知識。もうひとつは、1回きりの人生をより心豊かに、充実したものにしていくための知識だ。水谷氏は後者こそが教養だと説く。学びの対象は文学作品、美術、音楽、哲学、宗教などの人文系に留まらず、理系の学問や知識にまで広がっている。「知っていないと恥ずかしい」から学ぶのではなく、「自分が知りたい」から学ぶ。そうして得られた教養は、私たちの人生に精神的な豊かさと深みを与えてくれ、一生続く報酬であり財産となる。本書は読者をそうした〝知の探究〟に誘うための足掛かりを提供する。ヒトという種が現在のチンパンジーやボノボなどと共通の祖先から枝分かれした約700万年前から現在に至るまでの歩みを辿りながら、私たち人類が一体この地球に何を残してきたのか、何を考え、何を信じ、何をしてきたのかを振り返る。壮大な旅を手助けしてくれるのは、古今東西の〝知の巨人〟たちだ。国内からは内藤湖南、津田左右吉にはじまり、梅棹忠雄、中村元、丸山真男、松田壽男、見田宗介、柄谷行人、山極寿一、斎藤幸平。海外からはJ・S・ミル、マルクス・エンゲルスにはじまり、カミュ、エリアーデ、チョムスキー、ジュリアン・ジェインズ、W・J・オング、ユヴァル・ノア・ハラリ……。彼らの著作のエッセンスに触れつつ、人類が生み出してきた〝知の全体像〟を俯瞰する。短期大学で16年にわたり教養の講義を続けてきた筆者が、大学生や新社会人に向けて書き下ろした教養の入門書。
感想・レビュー・書評
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知の探求とは何か?それは何の役に立つのか?
それを読者に考えてもらおうと、材料を提供してくれる書なのかと思いながら読み進めた。
知の欲求に囚われたような巨人がいる。
身近な人として、立花隆、司馬遼太郎、井筒俊彦、松本清張が紹介されているが、古くはBC500年、あるいはBC800年からBC200年頃、中国、インド、ペルシア、パレスチナ、ギリシアにおいて、時を同じくして偉大な思想家による現代にも通じる思想が生まれた。これを枢軸時代と名付けている。
人類の進化を動物と比較しながら、いかにヒトとは特別な存在なのかを表し、そのヒトは宗教・哲学・芸術、そして科学を生み出してきたと話しを進める。
しかしだ、文明の発展は地球を破壊し、勝ち組と言われている新自由主義は、人間性や公平性に挑戦していると展開し、暗い気持ちにさせられる。
ただ我々は、教養を身につけることで矛盾を解決できる、と述べていると理解した。
J.Sミルは、教養を学ぶことによって、「期待を決して裏切ることのない利害を超越した報酬」が得られる、と言う。その「報酬」の中身とは、我々が人生を生きていく中で、心惹かれ、もっと知りたいと思うことが、より深く、よりバラエティー豊かなものとなることだと言う。
そしてそれは、人生を十倍も価値あるものにし、しかも生涯を終えるまで持ち続けることのできる価値である。
単に個人的な関心事は年を経るに従ってその価値は減少していくが、この価値は減少することがないばかりか、増大してやまないもだ、とも言う。
今世紀の教養として
一人ひとりの人生にとって、家族や友人たちなど現実の存在が生きがいになってくれることは言うまでもない。そうした個人の一回かぎりの体験や思い出を普遍化し、時や空間を超えて離れた人々とも共通の思い出として表現化されたものが文学であり、歴史であり、芸術であり、宗教なのだろう。これを味わうことによって個人の体験やその思いが多くの人にも共有され、追体験される。これは人間にそれだけのイマジネーションがあるからだ。私たち一人ひとりの人生にとって、そうしたものはどうしても必要なものなのだ。
とある。共感できた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大きくは歴史の観点で過去の偉人や知識人らの思考をさらっと辿る本。それぞれ名が知れた著名人ではあるものの、どういう社会的文脈の中で何に影響を受けてどんな言葉を残したかが知れるため、今後読んでみたい本の目星をつけるのにとてもよかった。
J.Sミルの“the deeper and more varied interest you will feel in life” は真理をついた言葉だなと感じた。 -
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000068870
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/803355 -
タイトルから「教養」について語っている本かと思ったが、「人類史」の方を語っている分量の方が多かった。教養としての人類史というところ。歴史についてこのぐらいのことは知っておけよ、という意味での教養か。
特に新しい知見を得たりはしなかったし、厳密な意味で正しいかというと微妙な書き方の部分も多かったが、歴史を大掴みにするにはちょうど良く、大学の一般教養で教える内容としては十分なのではないかと思った。 -
短大の教養科目の書籍化で、専門バカにならぬように横断的な知を身に着けることを目的とする内容。その重要性については同意するが、ざっと読んだところでは、女性天皇と女系天皇を混同していたり、心身二元論の説明が間違っているように思えた。専門家がチェックしたらもっと間違いがあるのかもしれない。この辺が「知的ゼネラリスト」の弱点ではあるのだろうが。
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教養としての哲学史、人類史です。
面白い。 -
読みやすかった。
次にどんな話題の本を読みたいかを考えるのにもってこいでした -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/569206