新装版 坂の上の雲 (7) (文春文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 文藝春秋 (1999年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105822

新装版 坂の上の雲 (7) (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 奉天会戦のクライマックスが描かれている。
    ロシア帝政の腐敗、官僚制の腐敗の根深さがクロパトキンの愚かさを象徴として描かれている。日本自体の国力がほとんど尽きている中、勝てたのはまさにこのことが大きいと思った。
    また、日本の外交下手は昔かららしく海戦で勝負を決すことになるが、ロジェストウェンスキーの描写もまたその頃のロシアを端的に表していると思った。
    最後に、バルチック艦隊が日本に迫ってきた時の宮古島の描写があるが、その頃の日本人の純朴さや一体感が感じることができ興味深いと思った。

  •  日本とロシアの陸軍の戦いとなる奉天の会戦、講和の
    落としどころを探り始める日本の上層部、そして日本海戦へと
    向かっていく7巻。

     ここまで読んできて思うのは、保守、官僚主義の弊害の強さ。
    圧倒的戦力差がありながらロシアが奉天の会戦で日本を
    倒せなかったのは、ロシアの保守的な官僚主義による弊害で
    あることがよく分かります。

     自己保身により的確な決定ができないロシア上層部の
    失策をなんとか拾い集め、辛くも勝利を収め続ける日本。
    それが積み重なっての日露戦争の結果なのかと思うと、
    そうした弊害の毒素をほったらかしておくと、どんな
    結果がその組織に待ち受けているのか、ということがよく
    分かります。

     坂の上の雲は読み始める前は秋山兄弟であるとか、
    正岡子規であるとか、そうした明治時代の若者たちの
    熱さや努力を楽しむものなのかな、と勝手に思っていた
    のですが、いざ読んでみると、そうした個人の話ではなく、
    組織論の話として、とても教訓になることが書かれて
    いたんだな、という印象です。

     次で最終巻、日本軍の活躍を楽しみつつロシア軍の
    失策を反面教師としつつ、読み進めることができれば、
    と思います。

  • 奉天会戦に日本が勝利し、いよいよバルチック艦隊と東郷艦隊の対決へ。
    人間の一生で他人に繰り返し語るに値する体験というのは、なかなかない。そういう体験をできるように日々精進しなければ。

  • やっと7巻まで辿り着いた。ここまで来たらもう意地だな。司馬遼太郎さんの偏った歴史観を見せられているのですごくつまらないんですが。

  • 感想とは関係ないが、風呂で読んでたら湯船に落とした・・・。バルチック艦隊の八巻の行く末を暗示していたのかも・・・。濡れても乾けばちゃんと読める日本の書籍、紙質、スゴいなぁ。

  • 日露戦争終盤の奉天会戦とバルチック艦隊がインド洋を抜けて日本海近郊に迫る場面を鮮明に描いている。日本陸軍にとって数の上では圧倒的不利な奉天会戦では心理戦の様相を呈しており、不安心理に駆られたロシア軍のクロパトキンが兵を引いたことが勝敗を決める決定的要素になったのだろう。また、日本海を抜けてウラジオストックを目指すロジェストウェンスキー率いるバルチック艦隊もロシア帝政の悪癖を背負ったまま日本艦隊との戦闘に会さざるを得なかったという背景が描かれている。

  • 激戦の奉天会戦の奇跡的な「勝ち」と同時にすかさず停戦交渉に入る大山巌、児玉源太郎。バルチック艦隊が対馬海峡を通るか、太平洋ルートをとるか動揺する真之ら幕僚たちにも動じない東郷と、政府は嘴をはさまないという主義をとって、断固東郷の判断を支持する山本権兵衛。鉄の腸のごとき胆力と、晴天のような聡明な知見をもった明治の軍人、政治家たち。そして昭和9年まで「国家機密」という厳命を守りぬいた、「敵艦見ゆ」の主人公である宮古島の漁師たちのごとき、当たり前のように国家に報じようとする庶民。国家の一員として純粋に従前たろうとしなければ、こういう強さとすがすがしさを持ちえることができないのだろうか、と現代の私もついつい思ってしまう。どうしても昭和の暗い過去があってそういう価値観を賛美しにくいのだが、同時に今のような自分さえよければというのも行き詰まりを感じるし。面白いだけでなく明治の精神に触れさせてくれる本書はやはり不滅の名作だ。

  • 日本海海戦へ向かう気運が徐々に描かれていて、本当に読んでいてゾクゾクした。あと1巻だけなのか、、、残念。あと1巻を大切に読みたい。

    にしても、秋山真之など軍人の国を背負った人々の決断の重さは計り知れないだろうな。自分の悩みなんて、ホントちっぽけだと思った。そして、明治時代の人々の純朴さに胸を打たれた。

  • 「日本においては新聞は必ずしも叡智と両親を代表しない。むしろ流行を代表する者であり,新聞は満州における戦勝を野放図に報道し続けて国民を煽っているうちに,煽られた国民から逆に煽られるはめになり,日本が無敵であるという悲惨な錯覚をいだくようになった。日本をめぐる国際環境や日本の国力について論ずることがまれにあっても,いちじるしく内省力を欠く論調になっていた。新聞がつくりあげたこのときのこの気分がのちには太平洋戦争まで日本を持ち込んでゆくことになり,さらには持ち込んでゆくための原体質を,この戦勝報道のなかで新聞自身がつくりあげ,しかも新聞は自体の体質変化にすこしも気づかなかった。」「日本の新聞はいつの時代にも外交問題には冷静を欠く刊行物であり,そのことは日本の国民性の濃厚な反射でもあるが,つねに一方に片寄ることの好きな日本の新聞と国民性が,その後も日本をつねに危機に追い込んだ。」

    当時の白人の有色人種に対する差別的な態度に少し悲しくなった。そういう部分は,今もあるのだろうけれど。

    一筋縄ではいかない登場人物が沢山出てくるが,そのなかでも秋山兄弟がでてくると,やはり主役らしい雰囲気が感じられる。

  • 6月20日読了。日本の大勝(とも、言えないようだが)に終わった奉天の会戦とクロパトキン将軍の退却に次ぐ退却と、戦場に肉薄するバルチック艦隊の大航海の終わりとそれを待ち受ける東郷平八郎の連合艦隊の動きなど。日露戦争の奉天の会戦の「何を持って『勝利』とするか」の定義について今日にいたるまで議論がある、というのは面白い。民族の虐殺を意図しているわけではないのだから、相手の戦意を喪失するような打撃を与え、周囲国の同意を得てさっさと有利な条件で講和を結ぶ(しかも、「戦争を続けたくない」という意図を悟られないうちに)というのが「勝ち戦」の終わり方なのか。「自らを愚者のように見せ、部下に思い切って権限を与え、負け戦のときの責任だけはとる」という薩摩流の統帥術、非常に興味深い・・・周囲に「切れ者」と思われているようでは、本物の切れ者ではないのかもしれんな。

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各地の会戦できわどい勝利を得はしたものの、日本の戦闘能力は目にみえて衰えていった。補充すべき兵は底をついている。そのとぼしい兵力をかき集めて、ロシア軍が腰をすえる奉天を包囲撃滅しようと、日本軍は捨て身の大攻勢に転じた。だが、果然、逆襲されて日本軍は処々で寸断され、時には敗走するという苦況に陥った。

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