鬼平犯科帳 (15) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142353

感想・レビュー・書評

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  • こちらの巻は長編です。


    短期間の間に二名の同心が襲われ殺害される。その数日前、鬼平も「大鴉」のような男に襲いかかられていたのだ。火消し盗賊改、鬼の長谷川平蔵と知って襲いかかる大鴉、恐ろしく腕が立つ。
    鬼平はその「大鴉」の構えに覚えがあった。剣の師匠であった亡高杉銀平を訪ねてきた医師ではないか?だがその医師であるならもう70歳を超えているはずだ。

    そのころ鬼平の密偵からもたらされた情報は、近々大きな盗みが行われることを示唆している。
    物語は、同心殺しと盗賊団は同じ一味なのか?鬼平は伝説的剣豪と相まみえるのか?ということを中心に進む。

    ※※※以下ちょっとネタバレ※※※
    この70歳を超えた流れの医師兼剣豪は、堀本伯道という名前で人々からは慕われている。そして実は「昔気質の盗賊団」のお頭でもある。しかしこの盗みはすべて貧しい人々のためだった。堀本伯道は、あちらこちらに報謝宿を作り援助している。「剣客としては金はいらないが、医師としては金が必要」というなんとも難しい世の中をなんとかするための盗みだった。いままで盗みに入った商家も未だに繁盛している(誰も傷つけていない、盗みすぎない)という「古き良き」大盗賊の大親分だ。
    この人道的親分と、鬼平に襲いかかった「大鴉」が同じ構えでありながらも印象は全然違う。はて、大鴉は何者だ?ということが謎の一つ。

    長編だけあって、江戸と地方を行ったり来たり、同心や密偵たちもいつもと違う人たちが出てきて、相手が大物なので気合と緊張感も強い。
    青二才同心だった木村忠吾はどんどん頼れるようになり、鬼平の不肖の息子辰蔵は…ちょっとは頑張ったかな、もうちょっと頑張ろうね、というか 笑 終盤の見せ場では、「才能ある父と、その才能を悪く受け継いだ息子の因習」、「才能ある父と、その才能を受け継がなかった息子の努力」の対比となってます。

    すっきりした長編でした。

  • 鬼平の長編。同心が殺されるという不穏な始まりに、どんな事件に巻き込まれるかとハラハラしました。長く鬼平のために働いている密偵達が命を落とすのではないかと心配でした。無事に解決して良かった。

  • 最後、きれいにまとまった。
    はらはらする場面もたくさんあり、おもしろかった。

    最後の、父と子が二組そろう場面で、なぜかうるうるした。

    盗賊にも善意の人がいるから、そういう盗賊は捕まってほしくないなぁー(雲霧仁左衛門的な)。

    うさぎくん、結婚するのかな!

  • 安定した面白さ。

    平蔵・辰蔵親子と堀本伯道・虎太郎親子が対極で描かれているのと、辰蔵が少しずつ成長してるのが面白く読めました

  • ※読了2回目と思われる
     売却済み

  • めずらしく長編で、力量のある剣との戦いが盛り上がる。

  • 剣の型を思い出す記憶力もすげえな。

  • 読了

  • おもしろい。

  • 初の長編。牛込の若松町の由来は江戸城に若松を納めたことからきているそうな・・・。丸子と書いて「まりこ」と読んでいた・・・へえ

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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