灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークVI (文春文庫 い 47-10)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174132

感想・レビュー・書評

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  • 再読。水戸黄門的な面白さだと思う。
    2021/2/11

  • これも4篇が一冊に収まるという体裁で纏まっている…
    “訳アリ”な小学5年生が、一部に悪名高い凶悪な男に強請られている一件の解決を目指す物語…通り魔的に強盗傷害の罪を犯してしまった若者と、被害者の青年、その妹を巡る物語…夜の街で働く女性に向けた無認可の保育所でアルバイトをする若者に向けられた、幼児性愛者による事件に関する疑いを晴らそうとする一件の物語…ホストクラブにハマって借金をしたことから、半ば監禁で風俗の仕事をする羽目になっている姉を助けてという依頼から拡がる、街で進んでいた動きを巡る一件の物語…というような4篇だ。
    今般は各篇、何れも「このシリーズらしい!」という感で、なかなかに面白い。殊に2篇が気に入った。
    通り魔的な強盗傷害の被害で、完治が望めない怪我を負った青年の妹が主人公のマコトを訪ねるという辺りから物語が動く『野獣とリユニオン』は、何か心動かされる挿話だと思った。
    「街の浄化」というような活動が起こっている最中、「何かおかしい?」を探りながら、依頼人の姉の問題をどうにかしようとする『池袋フェニックス計画』は、状況が二転三転して「どうなる?!」と少し続きが気になって、力が入った…
    話しを持ち込む人、関係者からとにかく話しを聴き、各々の立場の人達に可能なように寄り添いながら奔走するマコトの姿が、「どうしてこういう時代になっている?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」と問うような感で、更に「人生の価値」のようなモノを問うているように感じる。
    とにかく、このシリーズを酷く愉しんでいる昨今である…

  • 親が亡くなって兄妹二人で夢を目指す、野獣とリユニオン。

    シングルマザーが子育てに悩む、駅前無認可ガーデン。

    暗に両親が揃うことは幸せだなと考えてしまった、離婚したばかりの自分。

  •  解説を読んで、シリーズにマンネリを感じてるのはみんないっしょなんだと知り何だかホッとした( ´ ▽ ` )ノ
     前巻のレビューで「水戸黄門」になぞらえてみたけど、解説氏もまったくおんなじこと書いてた( ´ ▽ ` )ノ
     まあ、改めて考えてみると、毎回向こうからトラブルが持ち込まれるというパターンだから「天才バカボン」(バカ田大学の後輩が相談事をしにパパを訪ねてくるってのがお約束)スタイルといったほうが近いかも( ´ ▽ ` )ノ
     主人公はじめレギュラー陣が固定、まったく成長も変化もしないところもバカボンといっしょだ( ´ ▽ ` )ノ

     一巻ごとに一年が経過してるってのは、今回始めて知った(゚д゚)!
     18歳~24歳なんて人生の大転換期のはずだし、あれだけの体験を繰り返しているっていうのに、マコトもタカシもサルもほんとぜんぜん変わらないね( ´ ▽ ` )ノ
     この調子で12巻13巻までいったらマコト30歳?……さすがにこんな厨二病全開の文体(特に毎話冒頭部分)でそこまで続けてるわけじゃない、よねえ?……( ´ ▽ ` )ノ

     各巻四話構成の第1話2話が凡作、第3話4話で持ち直す、ってのもシリーズ恒例パターンになりつつあるなあ……(´ε`;)ウーン…
     春夏の池袋って退屈な街なのかな? 寒くなると活気づくの?……(´ε`;)ウーン…

     どうでもいいことだけど、作中「ラッパを吹く仮面ライダー」って「響鬼」のサブライダー・威吹鬼のことだね( ´ ▽ ` )ノ
     石平氏、当時子育て中ゆえこういうの盛り込んだんだ( ´ ▽ ` )ノ
     ちなみに今年のライダーは「ゼロワン」( ´ ▽ ` )ノ
     奇しくもIWGPレギュラーとおなじ名前だね(元はと言えばキカイダー由来だけど)( ´ ▽ ` )ノ
     アニメがどうこういう文章もあったけど、まさかマコトちゃん、2020年自分自身がテレビアニメの主人公になろうとはこのとき予想だにしなかったろうな( ´ ▽ ` )ノ

    2019/12/02

  • IWGPシリーズの6作目。
    今回は「野獣とリユニオン」「駅前無認可ガーデン」が良かった。
    マンネリ感をあまり感じないのは、時代背景が生きている(動いている)からだろうか。
    そういう意味では、一刻も早く最新作に追いつきたいものだ。

  • 灰色のピーターパン
    小学五年生の子供がマコトに仕事の依頼。健気な理由でパンチラ写真を売りまくるチグハグな子供とマコトとの交流。説教臭くないけど子供の心を入れ替えさせるマコトとの交流は微笑ましい。
    サルとの友情もいい。
    野獣とリユニオン
    凶悪犯と被害者の話。裏の事情を解き明かし、誰も傷つけずに問題を解決するマコト。被害者の言葉に感動。現実にここまで割り切れる奴がいるのだろうか。吉岡やタカシも出てきて、いい味出してる。でも、いい話だね。
    池袋フェニックス計画
    風俗に流れた姉の救出依頼から、大きな事件へ。色々あったが、最後はマコトらしい裁きで、終わる。後味は悪くない。こういう結末があってもいいかもね。
    駅前無認可ガーデン
    こういう世界もあるよね。お水の皆さんも大変だもの。

  • 再読。 2018.12.15

  • [灰色のピーターパン]
     盗撮画像を売り金を稼ぐ小学生。その辺に転がっている大人より頭が良い。マコトはミノルがチンピラに脅されているのを救う。
     丸岡はクレイジーな奴。サルの伝手でぼったくりバーで嵌める。こんな奴でも本職には敵わない。
    [野獣とリユニオン]
     兄の足を潰したケダモノの、足を潰してくれという依頼。とりあえずマコトは話を聞くのが偉い。
     加害者を許す。加害者も人間だというテーマだ。現実ではこんな簡単にはいかないだろうけど、綺麗事でもこういう話は大事だと思う。
     でも、良い人は大抵損なので、そこをどう折り合いつけるかが大事。
    [駅前無認可ガーデン]
     先代キングからの依頼。Gボーイズって歴史が長いんだと初めて知る。ギャング団の元リーダーが幼稚園をやっているなんて面白い。
     職員が幼児性愛車だと思われているので、元凶であるロリコンを捕まえる話。
     ホステスのジュリが子供を放っておいて遊んでいるのを見ると、貧困が貧困を呼ぶ理由が分かる。何も考えたくないんだろうな。本でも読んだら良いと思う。
     そして変態の性癖は治らない。なぜだろうか?
    [池袋フェニックス計画]
     池袋を綺麗にする計画が副知事によって施行される。それによって繁華街からは人が消えた。ニュースでは焼け野原を見て綺麗になったという。真島フルーツも売上減。
     田舎の農家の外国人研修生問題もそうだが、外国人を日本で働かさせるのは問題がたくさんある。繁華街の風俗も同様だろう。安い金で外国人を働かせているが、結局は持ちつもたれずの関係なのだ。そこを無視して、綺麗にすればいいんでしょ、と一掃したからって上手くいくわけはない。フェニックス作戦は、街を一から作るように真っ白にして、そこから作っていく作戦なんだ。綺麗すぎる街づくりは、得てして焦土的になる。
     今回のマコトは警察もヤクザも地元住民も全てを使って、とてつもない采配を披露した。どんどんスキルが上がってくるが、相変わらず果物店員のままだ。ずっと変わらないんだろうな。

  • あいかわらず軽快に読めていい/ 

  • マコトの扱う事件がどんどん大きくなってきて、個人的にはこれじゃない感。珍しく人死にがでなくてよかったし、面白いのは面白いのだけど。
    しかし本当に題名のセンスがすごくよい。それだけでかなり満足。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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