三屋清左衛門残日録 (文春文庫 ふ 1-27)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192273

感想・レビュー・書評

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  • 1月26日は寒梅忌であったらしい(読友の松風さんのご教示)。誰が名付けたのか寒梅忌というのは、まことに藤沢周平にこそふさわしいと思う。人は命日を自分では選べないのだが。少しずれてしまったのだが、遅ればせながら寒梅忌にちなんで藤沢作品をと本書を選んだ。本編は著者の還暦前後に執筆されている。篇中の「梅咲くころ」の清左衛門などは、作家本人を思わせるようで、ふと読者の微笑みを誘うかのようだ。作品は15の短篇が集積した物語集で、いずれも捨て難い趣きを持つが、「白い顔」の完成度が最も高いようだ。

  • 昔NHKのドラマでやっていて、読んだ原作本。心理描写が、とても好きな作品。短編の集まりなので、読みやすいと思う。

  • 連作短編の趣。派手さはないけど沁みますね。

  • 隠居生活に入った三屋清左衛門。
    「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」という意味で、
    「残日録」を付けている。
    醜女、高札場、零落、白い顔、梅雨ぐもり、川の音、
    平八の汗、梅咲く頃、ならず者、草いきれ、霧の夜、立会人、闇の談合、早春の光の15編。
    この柔らかい文体に癒された。
    何度でも読み返せそう連作短編集。

  • 面白かったー!
    藤沢周平の作品からしばらく遠のいていたけど、やっぱり良い。
    控えめな隠居した藩の元重役という印象だったのに、これまでの人脈や経験からくる進言からどんどん周囲の人物が動いて物語が進む印象。最後は光を残して後味も良く。

  • 隠居した元用人。老を自覚したからこそ始まる新たな人生の道筋。中年男性に希望を与える名品。

    藤沢周平の持つ不思議な魅力、情緒ある風景描写から、ふとしたしぐさなどにより表現される人情の機微。登場する女性の奥ゆかしさと隠れた色気など。

    人生の半ばを過ぎから味わえる感動。

  • 藤沢周平の連作時代小説『三屋清左衛門残日録』を読みました。
    ここのところ、時代小説が続いています… 藤沢周平の作品は昨年2月に読んだ『闇の歯車』以来ですね。

    -----story-------------
    日残りて昏るるに未だ遠し――家督をゆずり、離れで隠棲の日をおくる清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。
    世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨。
    しかし藩の執政府は紛糾の渦中にあった。老いゆく日々の命の輝きを、いぶし銀にも似た見事な筆で描く傑作長篇小説。
    仲代達矢、北大路欣也主演による映像化も話題に。
    解説:丸本淑生
    -----------------------

    『別册文藝春秋』の1985年(昭和60年)夏季号から1989年(昭和64年)新春号に連載された作品です。

     ■醜女
     ■高札場
     ■零落
     ■白い顔
     ■梅雨ぐもり
     ■川の音
     ■平八の汗
     ■梅咲く頃
     ■ならず者
     ■草いきれ
     ■霧の夜
     ■夢
     ■立会人
     ■闇の談合
     ■早春の光
     ■解説 丸本淑生

    藩主の用人にまで昇進した後、家督を譲って隠居した三屋清左衛門は、思いがけず寂しさを感じた… しかしその日記にしるされる生活は、退屈でも平穏でもない、、、

    自由な身ならでは、清左衛門はさまざまな相談をもちかけられる… 先代の殿が一度だけお手つきにした女の縁結び、お城の前で切腹した男の動機しらべなどに尽力するうち、藩のなまぐさい派閥争いに巻き込まれ、夫の浮気を訴えるわが娘をなだめ…… 。

    老いゆく日々のかがやきを、見事な筆で描く傑作長篇小説!

    北大路欣也主演によるドラマを4作ほど観たことがあったので、ドラマのキャストを頭の中に描きながら読みました、、、

    連作短篇の形式がとられているので1話ずつでも愉しめるのですが… それぞれのエピソードが繋がって、ひとつの物語となっているので、どちらかと言うと長篇作品を読んだ感じですね。

    扱っているテーマも現代社会や会社勤めに通じるものがあり、共感できる部分が多かったですね、、、

    藩主の用人にまで昇進した後、家督をゆずり隠居した清左衛門は、それなりの人格者として描かれているものの、決して完璧な人物ではなく、藩内で発生する面倒の相談事を持ちかけられたり、派閥争いに巻き込まれたりする中で、過去の自分の行いを悔いて見直したり、新たな経験からの気付きがあったりして、少しずつ気持ちが変化していく展開… 微変化が感じられることにも共感しました。

    そして、もう少し齢をとってからは、こんな生き方ができたらなー と憧れを感じながら読みました… 年老いてからも成長し続けたいものです。

  • 隠居した主人公のもとへと、色々な事件が持ち込まれる。

    暇を持て余してうろうろしている最初から
    やりがいのある事を見つけたりしている最後まで。
    色々な事件を調査させられています。
    ここまで、なものが多々なので、それから先
    どうなったのかは想像するしかないですが
    するっとした終わりになっていました。

    しかし、事件持ち込まれすぎです(笑)

  • 藩の要職を退き、隠居した主人公の周りに起こる出来事を描いた連作集。
    隠居したことにより、枯れていく日々だった様子が、各話ごとに変化してくい様子がとてもよい。
    明るく活き活きとした感じに引っ張られ、テンポよく読み進められる。

  • ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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