- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167218478
感想・レビュー・書評
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図書館で。
アン・タイラーの描く人物って一般的なようでいて結構ずれている人が多いなぁという感想。このおせっかいな奥さん、明らかにちょっとおかしいと思う。言うなれば「春にして君をはなれ」のヒロインみたいな感じがしないでもない。自分の信じたいことだけを信じ、そのように振る舞う。自分の失敗からまるで学ばないのもコワイ。口から出まかせで全てが悪い方に向かっても自分は良かれと思って行動したのだから、彼女の所為では無いと思いこんでる辺りが恐ろしい。周りに居たらイヤだなぁ、こういう人。
それにしてもなんでこんな奥さん、旦那は一途に愛してるのかなぁと思ったんですが社会に適合できない姉二人と身体が弱い(と言っている)父を扶養し、どう考えても金儲けに向いているといえない商売を家業にしていれば結婚出来ただけでも良かった、と思っているからなのかなぁ。
とりあえず、奥さんが失敗ばかりするのを知っているのに何でもかんでも彼女にやらせ過ぎるのが問題なんだと思う。留守電ぐらい旦那が自分でセットしろ。地図も自分でも持てばいい。予定を決めたら寄り道なぞせず、次の日は娘を送る日なんだからときっぱりと家に帰ればいい。断る口実もあるのに唯々諾々と従った後に自分は最初から反対だった、とかこれはダメな話だったと最後に打ち明けるのは卑怯だと思う。それにしてもどう考えてもうまく行くはずもない奥さんの提案をなんで断れないのかな?そこもスゴイ不思議だった。
結局二人は二人で居ればある程度は幸せなのに他の人を巻き込むから要らぬトラブルを引き起こすんだろうなぁ。
子供たちが巣立っていき、夫婦二人になった時の寂しさとか何かを成したいという願望なんだろうか…?ちょうどおそ松さん二期の松蔵と松代を見たばかりで、あちらの方が日本人的にはなんかワカルなぁなんて思いました。
前に曽野綾子だったかが書いた文章で、「寅さん(映画)を楽しめるのは身内に彼のような人が居ない人だ」みたいなことを読んだ気がするのですが、この本を読んでその言葉をふっと思いだしました。
素直に楽しめなかった辺り身内に似たような人が居て(もしくは私自身、このヒロインと似たような所があって…)居たたまれなかった、ということなのかもしれないなぁなんて思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ユーモラスに暖かく人生を描くアン・タイラー。
これはピューリッツァー受賞作というお墨付きの作品。
妻マギーの幼な友達セリーナの夫が亡くなり、葬儀に出かけるモラン夫婦。
出かける朝に車の修理が出来る予定というタイミング。
妻マギーが受け取り、店を出た途端に、トラックにがつんとぶつかってしまう。
ラジオの人生相談に出た声が息子ジェシーの別れた嫁フィオナで、再婚すると言っていたのだ。
呆れる夫アイラだが…
結婚して28年目。
若い頃は神秘的に見えた夫は表情が少なく、真面目だが頑固で、人に対してやや壁がある。父が急な病気で引退したため大学進学を諦めた失望を抱え込みながら、父親のやっていた額縁の店を継いでいる。
妻は明るくお喋りで、親切だがちょっと粗忽で、善意が裏目に出ることも多い。老人ホームでバイトをしたことがきっかけで、そのまま補助員として就職したのを上昇志向の強い母親には惜しまれ、理解されなかった。
セリーナの夫の葬儀では、セリーナが結婚披露宴の時と同じ歌を友人達に歌って欲しいと言いだし、皆は困惑する。
アイラは頑として歌わないが、マギーは歌詞も思い出せないまま歌い始める。
愛する子供達は巣立っていき、たった一人の孫にはなかなか会うことも出来ない。
ちょっとしたことなんだけど~マギーの行く所、おかしな出来事が連発。
夫婦は互いに反りの合わない部分に苛立ちつつ、結婚は揺るがない。
結婚してある程度たった人間なら、共感する所も多いのでは。
どうすることも出来ない哀しみと苦み。
ずいぶんだなあと思う点もあるけれど。
人間ってやつは全くしょうもないが…
笑えて、しみじみとした読後感。 -
あーやっぱりいいですねえ。またえっぐえっぐぐじゅぐじゅでした。アン・タイラー5冊めとなると、もうラストがどうなるか想像ついてしまうのがちょっとなー。どうやってそっちに行くかと思いながら読むからつまらないわけじゃないんだけど。ハッピーにはならんやろうなあって思っちゃうもんな。ただ、なんか一回目に読むときは途中の脱線的な描写がだるいっすね。でもこの脱線があるからこそ2度3度読めるんだろうなあと思うわけで。しかし、今回のマギーはまたリアルだよなあ、ほんとに。このお節介おばさんの葛藤はすんげー面白い。そして冷静なアイラも分かる。まったく、なぜアン・タイラーが日本で売れないんだよ!!日本人はバカだと思うわ。