新装版 離婚 (文春文庫) (文春文庫 い 9-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167296087

作品紹介・あらすじ

「ことさら深刻ぶるのはよそうぜ」などとカッコいいせりふを吐いてぼくたち二人はおたがい納得して「離婚」したのです。ところがどこでどうなったのでしょうか、ぼくはいつのまにか、もと女房のアパートに住みついてしまって…。男と女のふしぎな愛と倦怠の形を、味わい深い独特の筆致で描き出す直木賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 色川武大文学忌、雀聖忌。伝説の打ち手の作家。
    色川武大といえば、阿佐田哲也での「麻雀放浪記」だけど。「麻雀放浪記」といえば、真田広之がキュートだったけど。
    第79回直木賞本名での「離婚」
    阿佐田哲也的、痴人の愛。
    私小説かなと思っていたけど、そうではないらしい。
    深刻ぶるのはよそうぜ、と離婚した元夫婦の切れない不可思議な縁。
    流れに逆らうでもなく、厭世的でもなく、かといって順応するでもない自然体の男。
    どうしても本人っぽいけど、妻の実体はないらしい。

  • 1978年の直木賞受賞作品。文才はもちろん作者自身の異端な生き方があってこその傑作。

  • 離婚した夫婦が経済的な理由や寂しさから、また同居を始めるというお話。
    夫婦でもないのに男は女を養い、女はハチャメチャで好き勝手なことをして
    男に金をねだる。
    だらしない関係と言えばそれまでなのだけれども、
    人間、理性で割り切れることばかりではないからね。
    こんなズルズルの関係けっこういるかも。

    結局この男は女にめちゃくちゃ惚れてるんでしょう。
    女はお金だけが目当てじゃないかもしれないけど、
    もし男にお金がなければ、また一緒に暮らすこともなかったと思う。
    早く言えば金ヅルですね。
    そうとも知らず、まるで保護者のように振る舞う男は
    なにがしかの満足感があるのだろう。
    男はいつもおめでたくて、優しい生き物なのです。

  • エッセイのうらおもて人生録のタッチとは別に、男女の距離感や心理変化の描写に惹き込まれ、とても面白かった。
    時代も感じさせられた。



  • 「お妾にしてくんない」と転がり込んできたすみ子と、なんとなく同棲生活をはじめ、なんとなく結婚し、なんとなく離婚する。
    その後も、すみ子と誠一の奇妙な同居生活は続いていく。

    生活力もなく完全にめんどくさくて駄目人間なすみ子を放っておけない誠一の視線が、分かるような分からないような。

    経済的に自立することと精神的に自立することと、結婚の意味を考えてみたりする。
    現代だったら、すみ子はどう生きるだろう。

    「妻の嫁入り」のすみ子がかわいい。
    どこまでもキュートで自由奔放。

    〝いいさ、いつまでも居ろよ〟

    白黒つけない。つけられない。そうやっていられるのはやっぱり根底に惹かれ合う気持ちがあるからじゃないのかな。

    あと「少女たち」を最後に持ってくる構成すごい。

  • 「妻たちの嫁入り」「少女たち」が良い。

  • 白黒はっきりつけられない、何とも名前のつけようのない間柄の男女が描かれている。(これは誠一・すみ子だけでなくベティとの関係においてもそうだと思う)
    誠一・すみ子それぞれにイライラさせられるものの、どちらもなかなか精神的に成長しない部分に人間味を感じて親近感を抱いてしまった。
    お互いに、自身のみっともないところをさらけ出しきっている関係は居心地のいいものなのだろう。

  • 日常で感じる些細な感情は言葉にしないし、できないと思うのですが、それが表現されているような気がしました。

    結婚が絵本のようなものじゃなくてもっとリアルなもの、そんなに白黒つけられない感情で成り立っていることを感じました。

  • 私自身が絶賛離活中なので、そのものずばりのタイトルのこの直木賞受賞作を手に取りました。
    でも、結論から言うと、これは子どものいない都会の男女の離婚劇(または結婚劇)ですよね。
    それ自体を否定するわけではないけど、10歳の子がいる私にとって参考になるものではなく、ただ都会的自由を謳歌するトレンディドラマのようだなと思いながら読みました。

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