- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167556044
感想・レビュー・書評
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この本を通じて厄介な隣人、中国という国が少し分かったような気がします
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残留ではなく"戦争犠牲孤児"
残留したわけではないのだ。 -
中国を日本と同じ感覚で見るべきでない。
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ついに読み終わってしまった!
父親の深い愛、母親の狂気を孕んだ愛、自分勝手な恋愛。様々な愛の形が国家の向こうに見える。
四巻では惨過ぎるあつ子の葬式、マー(漢字が出てこない)の非道が辛い。
でもみんな幸せになりたいだけなんだよね。そこが怖い。 -
日本人であるが故に過酷な運命を背負い生きて行く。大陸は彼に何を与えてくれるのだろう。喜びか?絶望か?僅かながらでも希望の光を与えて欲しい。読物としてばかりではなく、現実として中国で生きて行かざるをえない日本人に希望あれ。
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これだけの内容を構築するにあたっての取材には感銘を受ける。
“中国残留孤児”。山崎豊子はこの名称を使ってはいない。戦争孤児の実態を隠してしまう名称を、私も使っていた事に反省をしてみたい。 -
中国残留孤児の陸一心。
戦争によって引き起こされることは残酷なことだらけだ
久々に読んだ長編。筆者の凄まじい調査量にもおどろいた。 -
まず最初に1〜4巻まで読んだ感想として山崎豊子は他の小説家とは色々な意味で別格だということ。山崎豊子の小説の大きな特徴といえるが、綿密な取材から得た情報を惜しげもなく小説に使っている。時代背景、背景の描写、人物設定など。今回で言うならば著者本人も取材中に幾度となく経験したであろう、中国という国の不気味さ、したたかさ、狡猾さが読者にもよく伝わってくる。事ある度におこる宝華製鉄建設場面における日本と中国とのやり取り(性能上問題ない錆1つに対しても不満を述べる、自分たちの非を認めないなど)に顕著に表現されている。その際の「いや、例え理不尽な不満だと言っても彼らの言っていることは間違ってはいない。我々は中国という国家を甘くみていたようだね」という発言にも何かあれば「日中友好」を切り札に厚顔無恥の振る舞いを繰り返す中国に対する何とも言えない感情が表現されていると感じた。ここまで読者に違和感なく小説のメイン背景のイメージを文章から与えることが出来るのは限られた作家だけであると思う。またこれも山崎小説の特徴の1つであると思うが、必ず潜む裏の裏の首謀者、主役の行く手をこれでもかと阻むライバル、献身的な妻、愛人という人物の数々が今回もまた健在であった。彼らによって物語はより色濃いものになるし、支えられている。毎回良い働きをするのがライバルという存在であり、今回ならば長幸である。陸徳が日本と中国の間に生まれた葛藤に苦しみながらも「自分は中国人だ、ここの大地で生まれたのだ」とひた向きにひた向きに努力を重ねる姿が気に入らない長幸は陸徳の出生が日本であることをネタにし、あることないことでっち上げ、ことあれば「あいつは日本人のスパイだ」「売国奴だ」と陸徳を落とし入れようとする。それだけならまだしも、必ずというほどそれを信じて肩を持つ人間、またそれを信じなくとも何とかこれを機会にのし上がってやろうと企てる人間がいることに何よりやり切れない感情にさせられるのだ。そう思うと著者は人間や社会の「暗い部分」を描くのが非常に上手い。読んでいてため息が出るほどに「読者を幻滅」させる。これは同時に著者の読者に対する警鐘のように受け取れることもある。作家としての格もスケール違うということを改めて気づかされた、今回の作品。東野圭吾や湊かなえのような推理小説やミステリー小説が悪いと言っているのではない。彼らも素晴らしい。だが、その小説1冊、文字1つ1つに込められた想い、読者へのメッセージというものを秤にかけるとどうしても、山崎豊子に敵う作家は現代では少ないのではないかと疑問に思わずにいられない。ドキドキ、ワクワクするだけが読書ではないのだと、気づかされる一冊だ。
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読み応えのあるいい作品だった。