妊娠カレンダー (文春文庫 お 17-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167557010

感想・レビュー・書評

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  • 言葉の選び方がとても綺麗な作品。ひとつひとつの描写が静かで清潔な感じ。

    登場人物の心理が深く書かれていないので、なぜこういった行動をしたのか、というのはあくまで読者の推測になる。妊娠カレンダーが1番面白かった。

  • 2017.4再読

  • 妊娠した姉と、同居する妹。
    つわりに苦しむ姉、何かを食べたくてしょうがない姉、気分が不安定な姉。妊婦さんってこんななのかと、感心する反面で、なんか空恐ろしく感じてしまうのはなぜ。

    そんな姉を淡々と見つめる妹。グレープフルーツが遺伝子を傷つける可能性がある危険な食品と紹介されているのを知り、それを知りながら、姉のためにせっせとグレープフルーツのジャムを作り続ける妹。それを食べる姉を観察する妹。

    淡々としてるけど、姉妹どっちもちょっと怖い。病んでる。じんわり怖い。でも、一つの命を生み出すってそれくらいすごいことなのかも。んんんー。

    もう一作の「ドミトリイ」。こっちもなんか怖かった。セピア色に寒々しく怖い。結局のところ、「いとこはどこにいっちゃったの?」

  • 出産までの日々は、幸せよりも苦労が多いかもしれない。狂気的な姉の言動、正気の妹、傍観者の夫。妊婦の不安と苦しみは、当事者にしか分からない。幼くして両親を亡くし、子に向ける尊さや愛情を知らないからなのか。新しい命を純粋に喜ぶのではなく、黒い渦の中へ巻き込まれていく様が怖かった。喜ばしいこと、おめでたいこととしてしか扱われないライフイベントが全く逆の色で描かれていた。素面で見つめると、そうなのか?嬉しいけど悲しい。辛いけど楽しい。アンビバレントで、表裏一体。

  • 妊娠カレンダー、ドミトリィ、夕暮れの給食室と雨のプールの3作。いとこや先生との温かい関係性が好きでドミトリィがいちばん好みだったけど、最後不穏な雰囲気でどきどきした。風景描写が好き。

  • どこか恐ろしいが、いたって静かな文章。
    一文一文つぶやきながら読んでいきたいような手触りや重みのある文章。

  • 妊娠の時の感想は、本人も同性である未経験者も、そんな淡々としたものなのだろうと思う。

    男の側からは知る由もない。ただそういうものなのだろうと、ただ思う。という読後感でした。

  • 短編集。

  • この本読んでる間だけ、いつもは見ない夢を見た

  • 品のある、冷たくて美しい文章。
    読んでいると、自分の中の感情がゆらゆらと波打ちながら徐々に静かになっていく。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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