- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167558055
感想・レビュー・書評
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内田春菊先生の解説で山田詠美さんを発見して、春菊さんが尊敬してるって言ってたので気になってました。
初 山田詠美先生です。
文章の書き方がかなり壷ったので、他の作品も読み漁りたいと思います。
短編なんですが、(MENU)(姫君)が良かったぁ~~(姫君)は最初読んでて・・うーん微妙~と思ったんだけどラストは切なくてよかった、短編で語り手が2人って新鮮だし。
基本的に主人公に美人臭や特別臭が感じる類いの話があんまり好きじゃないんだけど、まったくうぜぇと感じさせないのがよいわ~~。
危うげで繊細でセツナイ。まったりお酒飲みながら読むと自分に酔えると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
食わず嫌いはよくないだろうと思って読んだ。わたし、山田詠美は嫌いだわ。それがわかっただけでも別にいいです。
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人を想うことで生じてしまう、
相手を失ってしまうのではないかという不安。
ともすれば、己の現実的な判断など、
微塵にも砕かれてしまうのではないのかという不安。
愛を自覚すればするほどに、
逃れられない不安が付き纏い、
底知れぬ恐怖となる。
ただし。
その恐怖を失った瞬間には、
もはやその相手を愛してなどいないのだろうこと、
少なくとも私にとってはそうであろうことを、
気づかされた一冊。
抱きしめているつもりで、本当は抱きしめられていた。
抱きしめられていたつもりで、本当は抱きしめていた。
深く、鈍く突き刺さる。 -
言葉の一つ一つを反芻したくなる。短編集だけど内容はずっしりで得した気分。また解説の金原ひとみさんの文章がいいんだよなあ…。何回も読み直したい本!
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「検温」が一番面白かった。死を隠し持った女はおっかない。私はなれないと思う。
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久しぶりの山田詠美。聖なる残酷
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たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。なぜなら……。傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉に出来ない寂しさを描いた五篇を収録。人を愛することで初めて生ずる恐怖、“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション!
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これもほんのまくらで手にした本。
「母が首を吊ったのを見つけた時、ぼくが、まだ五歳だったのは幸せなことだ。」の一文で始まるのは、五篇の中に収められた「MENU」。
読んでるうちに、あれ、おかしいぞ?と思い始めた。
苦手な恋愛小説、それも私にしては濃い内容。もしかしてこれは、苦手な山田詠美さんの作品ではないか?と思ったらあたりだった。
これで三冊目だけど、やはりあまり面白いとは思えなかった。
ただ、それでも読ませる文章はさすがだし、うまいなあ、と。
(何回か、途中で放り出そうと思ったのだけれども) -
今回この本を選んだ理由は、何年も前に同著者「僕は勉強ができない」を読んで、面白いと思ったので、他の本も読んでみようと思ったからだ。
「MENU」は主人公のセリフ、性格の悪さがわたしの好みだったので、読んでいて楽しかった。俺様体質なのだがその性格の悪さを悪いとは思っていない、歪んだ考え方に惹かれた。妹とのとてもじゃないが歓迎されない関係も、ふたり特有のものでワクワクした。結末に少し唖然としたが、全体として読んでいてとても楽しかった。
しかし、その他の話は、キャラクターたちの感情が抽象的、突発的すぎてあまり理解できず感情移入できなかった。「この話の流れでこんなこと思うの?」とか「この分に込められた気持ちはどいうい意味だ?」などと思う箇所がたくさんあった。この本の話に共通していることが男女の愛なのだが、形は様々だが人を好きになる気持ち、愛する気持ちがこの本に描かれたキャラクターたちの気持ちだとすると、わたしがまだまだ本当の愛とやらを知らないだけなのかも知れないが…。解説でも述べられていたとおり、何度も読んだり何年後かに読み返すとわかる部分は多くなっているかも。また数年たったら読み直してみたい。
男女の恋愛の毒々しい部分や人間の本音が好きな大人の人にはオススメの本(たぶん若い子には理解出来ない気持ちが描かれているので)。爽やかな恋愛の話を読みたい人には嫌われる本かも。 -
■愛すること(愛することを受け入れること)で永遠に戻れないところに行ったり、何かを永久に喪ったりすることは、確かにある。それが怖くて仕方がなかったり、やみつきになってしまったり、受け入れたいのに受け入れがたかったりする。かように人間のこころは矛盾に満ちているが、しかしそれでももがいたり目をそむけたりする不器用な登場人物たちが妙にかわいく、いとおしく思えてきてしまう。
■「姫君」はすごい作品だと思った。映画にしたらすごくまとまりがよく、映える作品になると思ったけれども、なってなかった…。
摩周が、わたしの知っているひとによく似ていて、読み進めていて集中できない箇所が多々あった。涙も出たりした。
■「フィエスタ」は、わかるわかる!!と思わず大笑いしながら読めた。全体的に重苦しい短篇ばかりのなか、食休み的なライトなあかるさがあったと思う。
ひとから好かれたい、愛されたいと熱望する人間ほど、その対象から働きかけてもらうことしか考えないというのは正論だと思う。そして自分から動きださずにいつまでも満たされず、そうすると今度は悲劇の主人公に自分を仕立てあげる。……自戒も込めての皮肉。
■「シャンプー」が一番最後というのは構成の妙。最後にやわらかい筆致とかすかにこれからの未来展望がみえてくるところで終わっているので、「姫君」のヘヴィな読後感が緩和されている。