金賢姫全告白 いま、女として 下 (文春文庫 キ 8-2)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167565022

作品紹介・あらすじ

大統領特別赦免により死刑を免れた金賢姫は、みずからの犯した罪を悔い改め、二十六年間の数奇な半生をつぶさに告白した。核疑惑で揺れる北朝鮮の戦慄すべき実態。日本人教育係・李恩恵の素顔、そして故国で辛酸をなめているであろう両親と妹弟への切々たる想い。

感想・レビュー・書評

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  • KAL機爆破の実行犯、金賢姫による手記。
    下巻では、韓国で裁判にかけられて死刑判決を受け、その後、特赦によって自由の身になった著者が、その後の韓国での生活で感じたことを交えつつ、北朝鮮で工作員として送った日々について詳しく紹介している。

    工作員らの生活は、一般社会から隔離された「招待所」で軍事的な訓練を受け、夜も寝ずに外国語の勉強をし、時には偽のパスポートで海外に行って語学能力の向上を図ったり、海外(特に資本主義社会)での生活についての知識を深める生活だ。
    豊かで自由な国から帰国すると、外国への想いが断ち切れずに苦しみ、一層「思想」の学習に取り組んで「国家(党)に対する忠誠心」を固めようとする様子なども描かれている。
    北朝鮮のこうした学習について、よく「洗脳」と表現されるが、正確には「いかに自分の考えを持たないか」という訓練のように思える。北朝鮮では、自分で自由に考えること、自由に感じること、それ自体が許されていないのだ。

    非常に固い思想の持ち主だった彼女は、だからこそ南北分断の現実と、独裁国家の政治によって利用され、そのためだけに8年もの時間を工作員の訓練に費やす。そして、韓国の旅客機の爆破が「祖国統一」に繋がる重大な、そして正しい任務だと信じてそれを実行に移した。

    こうしたことを可能にした北朝鮮が「異常な国」であることは確かだが、翻って、日本にもかつて似たような状況があったこと、そしてそうした状況二度と復活させないためにわれわれ一人ひとりがどうすべきなのか、考えることはたくさんある。

  • 想像を超える現実を生きた女性の記録。思い返したくない記憶を思い返してこのように書き起こすのは、たいへん重いことだったろう。

  • キムヒョンヒの育った北朝鮮の実情。
    こんな国が実在するんだと、
    とても驚きました。

    とても真面目なキムヒョンヒ。
    祖国のためにと、多数の無実の犠牲者を出したこと。
    人をこんなにもさせてしまう北朝鮮の実情。
    はっきりいって、間違っている・・・と思うばかりでした。


    北朝鮮が周りの国と同調すること、
    早く拉致問題が解決することを願います。

  •  
    ── 金 賢姫/池田 菊敏・訳《いま、女として(上)
    金賢姫全告白 ~ 199109‥ 文芸春秋 199409‥ 文春文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4167565013
     
    ── 金 賢姫/池田 菊敏・訳《いま、女として(下)
    金賢姫全告白 ~ 199109‥ 文芸春秋 199409‥ 文春文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4167565021
     
    (20100723)
     

  • 2010.7.21 紹介

  • 愚弟の本

    内容(「BOOK」データベースより)
    大統領特別赦免により死刑を免れた金賢姫は、みずからの犯した罪を悔い改め、二十六年間の数奇な半生をつぶさに告白した。核疑惑で揺れる北朝鮮の戦慄すべき実態。日本人教育係・李恩恵の素顔、そして故国で辛酸をなめているであろう両親と妹弟への切々たる想い。

  • 下巻は、金 賢姫の北朝鮮での半生を綴っている。

    下巻の最大の読みどころは、やはり李恩恵さんのこと。この方は拉致被害者の田口さんとほぼ断定されているが、
    彼女との生活がこれほどまでに詳細に描かれているとは思いもよらなかった。工作員になるための研修を受けていた金さんだが
    やはり少女時代に田口さんと衣食住を共にしたことは、彼女の記憶に田口さんとの思い出が大きく占めていることは十分察しできる。
    だからこそ、先日、田口さんの息子さんとの会談の際、「私が韓国のお母さんになりますよ」と発した思いが、
    田口さんとの思い出が書かれている章を読んで、とても納得した。

    拉致被害者の家族と拉致された方から日本語を学びテロを行った元工作員との会談。
    自分の意とは異なる人生を歩まされたそれぞれが、こういった形で結びついていたという全く持って数奇な事実に驚かされる。

  • ただ生まれた国が違うだけで、これほどまでに壮絶な人生になるものか。
    38度線を隔てた天国と地獄。

    人間の強さがダークサイドにモロ出てるのが明らかになった作品。

    これ読まないで北朝鮮論は語れないな。

  • 大統領特別赦免により死刑を免れた金賢姫は、みずからの犯した罪を悔い改め、二十六年間の数奇な半生をつぶさに告白した。核疑惑で揺れる北朝鮮の戦慄すべき実態。日本人教育係・李恩恵の素顔、そして故国で辛酸をなめているであろう両親と妹弟への切々たる想い。

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