最後の瞬間のすごく大きな変化 (文春文庫)

  • 文藝春秋
3.13
  • (18)
  • (33)
  • (143)
  • (28)
  • (6)
本棚登録 : 857
感想 : 60
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167661991

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 時々だしてきて、一つ二つ読んでみる。が、なかなか読み込めなくて同じ章を何度読んでいることか。
    でも、やっぱりこれはこの先も続くのだろう。

    一つ印象に残ったところ
    人の生涯なんて、実はそれほど長い期間ではないのだ。そんな短い人生の中で相手の男の資質を知り尽くすことなんてできないし、あるいはまた相手の言い分の根底にたどりつくこともできやしないのだ。

  • 簡潔な言葉で強く語りかけてくる文体に、これまでにない衝撃を受けました。

    芸術はあまりにも長く、人生はあまりにも短い。
    難解な文章を目の前に、しみじみとそう思う。

  • ファンでなければ理解できない
    この短編小説集はどれも理解するのは数回読む必要がある。だが、話の辻褄を理解できる人は稀かもしれない、それほど内容の展開を理解し読みづらい。翻訳者の村上春樹氏もいわく「やはり所々読みにくい部分があるかもしれない。しかし、言い訳するのではないが、それこそグレイス・ペイリーの真骨頂であり・・・」とある。

  • 読了日2010.5.20
    ・必要なもの/Wants
    ・負債/Debts
    ・道のり/Distance
    ・午後のフェイス/Faith in the Afternoon
    ・陰鬱なメロディー/Gloomy Tune
    ・生きること/Living
    ・来たれ、汝、芸術の子ら/Come On Ye Sons of Art
    ・木の中のフェイス/Faith in a Tree
    ・サミュエル/Samuel
    ・重荷を背負った男/The Burdened Man
    ・最後の瞬間のものすごく大きな変化/Enormous Changes at the Last Minutes
    ・政治/Politics
    ・ノースイースト・プレイグラウンド/Northeast Playground
    ・リトル・ガール/The Little Girl
    ・父親との会話/A Conversation with My Father
    ・移民の話/The Immigrant Story
    ・長距離ランナー/The Long-Distance Runner

    訳者あとがき グレイス・ペリー、温かく強いヴォイス
    p.305
    〜 自由気ままにシフトさせることが多いし、ツボに来ると独特のカラフルな詩的表現を目一杯「駆使する」〜
    p.307
    グレイス・ペイリーの物語と文体には、いったんはまりこむと、もうこれなしにはいられなくなるという、不思議な中毒性があって、そのややこしさが、とにかくびりびりと、病みつきになる。ごつごつとしながらも流麗、ぶっきらぼうだが親切、戦闘的にして人情味溢れ、即物的にして耽美的、庶民的にして高踏的、わけはわからないけどよくわかる、男なんてクソくらえだけど大好き、というどこをとっても二律背反的に難儀なその文体が〜。

  • トニ・モリスンと並ぶアメリカの代表的女流作家であるグレイス・ペイリーの第2短編集。50年にも及ぶ作家人生の中で、本作を含む3つの短編集しか出していないにも関わらず、圧倒的な支持を受けているその凄さを探るべく読了。

    訳者である村上春樹自身が、非常に難解であり、柴田元幸の助けがなければ翻訳は完成しなかった、と語っているように、確かに何度も読み込まないと理解できない独特の難文ではある。ただ、その中でアメリカの中年女性のリアルな生が描かれているのは間違いがなく、そこがこの圧倒的な支持を生んでいるのだということは理解できる。

    田舎から家出をしてきた14歳の少女が、辿り着いたNEW^ヨークで行きずりの男に犯され、男に窓から突き落とされた、もしくは自ら身を投げたかという真相は不明のまま、とにかく少女が死んだという事実だけが残る「リトル・ガール」が印象的。この救いようのなさをソリッドに描くことこそ、この著者の魅力の一つのように感じた。

  • ぱしっと捉えるのは難しい(一度読んでハマる人はラッキーなのでは?)けれど、三歩進んで二歩下がるのような格好でゆっくり読み進めていくと、スルメみたいに味が出てくる。
    一度読んで、数年後に再び読んでみたところ、とても心の深いところまで触れてくるなぁ、という感覚になりました。

  • 最初はタフな(登場)人物達だな、と読んでいてちょっときつかったのですが、だんだんそれが気持ちよさに変わりました。読んだ後、気持ち良く鍛えられて、自分まで少しタフになれたような感覚になれました。

  • 原典はとても悪文らしく、春樹氏も翻訳に苦労したらしい。ところどころ素敵だな、と思えるところはあっても全体的には確かにとても読みにくい。タイトルのつけ方のセンスがとてもよい。

  • アートジャケットの淡い色使いの良さ、そしてなんといっても
    このタイトルのキャッチーさ。
    この題目が何を意味するか知りたくて購入して、何年も積んでいたが、ついにようやく読もうというきになった。
    落合陽一の忘れる読書が背中を押した。
    もっとも、このタイトルの意味を知るために、chatgptに訊いてみたが、もっともらしいこと言っていたので本当かと思って自分で確かめたくなったというのが主な動機ではある。実際、全くのデタラメだった。

    結婚適齢期の女が、コミューンで子供を世話している黒人?の若くてノリで生きてる感じで本職タクシードライバーの男に口説かれて一緒になるはなし。男の名はデニス。自分がバンドで歌ってる歌の歌詞の世界観を伝えるため、補足として読み上げた短い散文のエッセイにタイトルの一文がある。爆弾によって引き起こされた退廃的な世界でも、楽観的に子どもたちは最後の瞬間のすごく大きな変化を目論んでいる、と。

    女はユーモアはないけど知的な元彼の子供を妊娠し、デニスは悟り潔く退場。子供の名前の名字は旦那となった元彼、そして名前はデニスと名付けられた。

  • ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

全60件中 1 - 10件を表示

グレイス・ペイリーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×