M (文春文庫 は 25-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 511
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167664022

感想・レビュー・書評

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  • 初読み、まあまあでした。

  • 2019/06/06読了

    恋愛、ではないけど、性愛ということでカテゴリに入れた。


    小中高と、思春期の頃に親の書斎の奥底にあったこの本を隠れて読んでいた。その時は性描写だけでドキドキしていたけど、今になったらハードなエログロで、全く印象は変わるし、こんなのを読んではいかんだろ!ただのエロ小説ではなかったのだ・・・。
    時代も反映しているのもあるし、描写もだがただただエグみが強い小説であった。


    「眩暈」
    印象に強く残っているのは、知人の写真でいたす変態と思っていたけど、思うような人生とは言えない限界営業マンが、過労でおかしくなっていく話だった。
    ブラック会社や粗暴な人格が原因かと思うけど、30代で体を壊して嫁ともうまくいかず、義妹でいたすくらいしかない
    それしかできなくなった、限界の男の話


    「人形」
    全てが壊れていく
    弟と、パパと、売春でのぼりつめていくカタルシス
    人形メイクとゴムのスカート 赤いハイヒール
    黄色いストッキングは印象に残っていた。原色の悪夢
    変態プレイによって無になるのが救い。何も救いのない中で、人形になりきるのが救いだというなんたる皮肉か


    「声」
    最も救いようのない話。
    どこへいってもどん詰まりになってしまう。光などない
    息子がいじめの加害者だったり、ヤクザとドラッグに足元をすくわれたり、加虐に死に体(てい)で
    この先は地獄となる主婦の話。


    「M」
    優しそう 最初だけ
    心も体も荒んでいて、まゆみにすがりつく
    Mはマゾとマザコンの意味だろうか


    どれも殺伐としていて救いがない
    性行為にも愛はない
    ただひたすら重く暗いだけの話でした。

  • 性描写が生々しいので家でこっそり読むか、カバーをかけて読むのをお勧めします。


    馳星周の作品は二作目になりますが、未だ彼のノワールと呼ばれる作品を読んだことがありません。次はど真ん中のノワールを読んでみたいと思います。


    さて、本作品は何処にでも居そうな人達がちょっとした事で転落していきます。

    眩暈の主人公は過度な妄想狂で義理の妹との関係が近くなった事と、妻が赤ちゃんの世話で相手にしてくれない事で義理の妹への妄想がエスカレートしていきます。
    見てられないけど見たくなる!!!

    人形の主人公は憧れの人と久し振りにあったが為に堕ちていく・・・
    作品中、一番理解できない主人公です。


    声の主人公は主婦なのに騙されて売春をさせられる事になるのですが、誰か助けてくれる人はいるの?最後どうなるので心配になります。
    嵌っていく時に自分も思わず不安になります。


    Mの主人公は先輩に連れられてSMクラブに行くのですが嵌ってしまう・・・
    SM嬢と主人公の関係に切なさを感じるのは私だけでしょうか?

  • この小説は「白夜行」と同じ回の直木賞ノミネート作品で、白夜行の書評を読んでる時に偶然出くわしました。

    内容がエロそうなのでそそりました。
    はい、エロス小説が好きですから。
    村上龍のコックサッカーブルースを超えるエロス小説を求め彷徨ってます。
    期待を股間に、読み始めました。

    この小説は、読むタイミングもはかってました。バンコク出張の飛行機の中でと決めていたのです。
    もちろん昼間はしっかりと仕事をしますが、バンコクの夜を楽しむ為に気分を盛り上げる為にね。

    結果、バンコクの夜を楽しむ助走にはなりませんでした。コックサッカーブルースを越える事は出来ませんでした。四編の短編集なんですが、行きの飛行機では最初の二編で読むのをやめました、まだ台湾も越えないうちにね。しかし、コレが仇になりました。バンコクに着くまでに全編読むべきだった、詳しくは後述。

    くだらない小説では無いです。
    それなりに面白かったです。
    が、アノ不夜城を書いた馳星周がおくるエロス小説!となれば、倒錯した非日常的な常人には理解出来ない性癖の変態が酒池肉林な…って思いません?
    タイトルからして「M」ですからね、これマゾのMですよ。

    そんな事はなくて、ほんと日常のエロスなんですよ。
    電車の中で向かいに座ってる女子大生の露わな姿をついつい妄想しちゃいそうなね。特に第1話なんてそう。
    タイトル通りSMの話もありますが、コックサッカーブルースのそれと較べるとかわいいもんですわ。

    日常的故に現実味があって怖い。
    そこがミソですね。
    コックサッカーブルースみたいな事は現実には起こりませんわ、普通。
    でも、Mの中の話は誰の身にも起こり得る。

    この小説を読んで身を引き締めなければならなかったんです。

    助走は無かったのですが、バンコクのネオンに飛び込みました。そして、この小説の第5話になるような、私の黒歴史に燦然と輝く失態をやらかしてしまいました。思い出すのも悔しい、真っ黒に塗り潰したいバンコクの夜の出来事、今は書けません。落ち着いて笑い話になったらどこかで書きます。

    • office4690さん
      いいね、ありがとうございます たしに・・・『コックサッカーブルース』は行っちゃってます あれはエロというよりもグロ、ある意味、潤ってるのか乾...
      いいね、ありがとうございます たしに・・・『コックサッカーブルース』は行っちゃってます あれはエロというよりもグロ、ある意味、潤ってるのか乾燥してるのか分からな小説です^^;
      2017/04/15
    • 修吉さん
      コメントありがとうございます。
      村上龍はインザミソスープもトパーズも読みましたが、コックサッカーが一番官能的だと感じました。確かにエログロ...
      コメントありがとうございます。
      村上龍はインザミソスープもトパーズも読みましたが、コックサッカーが一番官能的だと感じました。確かにエログロですね。
      2017/04/16
  • 生々しいまでの性描写の中に迫り来る恐怖とのコントラストがなんとも言えない焦燥感を与えられます。

    どっちのドキドキ!?!?


    と、思うような。なんとも言えない身近な恐怖。

    テレクラに堕ちる主婦。

    SMに堕ちる男。

    息子。


    隣の家族との秘密。いろんな短編なんですが。どれもこれも追い打ちをかけてきます。生々しい性描写に油断しているとやられます。

  • エログロ

  • 救いはまったくない。

    気持ち悪くなる。

    ただ、面白い。

  • エログロ。

    読み終わった後は居た堪れない。

  • 表題作のみ読みました。不夜城しか読んだこと無いのですが、ワンセンテンスの短いこの人の文章は速くて好きです。短編なのですが、だからなのか疾走感とかテンポをだすために取捨選択がいさぎよすぎて読む人によってはもっと人物をとかカメラが遠いという印象もあるとは思います。もうすこしネチネチダラダラ書くべき部分はあったんじゃないのかなと思いましたが、長く書けそうな内容で、長く書きがちな人がここまでそぎおとしたと、そう考えると全体とワンシーンの長さの比率やワンシーンごとを分解してみたくなりました。

    内容は馳 星周 テンプレという感じでした。

  • 救いがない。読み終わった後はただ、途方に暮れる。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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