- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167745011
感想・レビュー・書評
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死神である「私」の仕事は、一週間、調査を行い、「死」を実行するのに適しているかどうかを判断して、担当部署に「可」あるいは「見送り」のどちらかを、報告する事。殆どが「可」であるけど、唯一、「見送り」になった女性が、最終話で、話題になったり、「可」と報告された男性の恋人が、40年程後に、老人となって、登場したり、「あっ、あの人や」って愉快になる。
死神の「私(千葉)」の、クールで、雨男で、人間世界に疎い故の、会話のズレが、
とても、可笑しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間に扮した死神と、その死神のターゲットになる人間との短編集の様な作品です。
死神という物騒で恐ろしい存在が主人公ですが、音楽好きで人間に興味も無いけども絶妙に面白味のあるキャラ設定が魅力です。
次々に非情ともいえる判断をする死神ですが、全然嫌いになれない感じが魅力で、作者の凄みを感じます。
そして最終章での伏線回収も見事でした。
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人の死を察しているだけあって、登場人物とのやりとりがクールで滑稽でもあり惹き込まれました。
淡々とした文体が死神という設定にもあっていたと思います。いやー、面白かったです。 -
伊坂幸太郎×死という自分の好きなもの2つをかけあわせたカツカレーみたいな作品でした(自分で言っててよくわかりませんが)笑
ただ自分としてはもっと深くえぐりこむような「死」が好きかなと感じました。
この作品のテーマとは異なりますが、幸せについての考え方が特に印象的でした。
自分と相手が同じことを考えたり、同じことを口走ったりすること、同じものを食べた後で同じ感想を持ったり、好きな映画が一緒だったりすることに幸せと感じるのはよく思う幸せのカタチかなと思いました。
ただ、同じことで不愉快さを感じたり、同じ街に住んでいたりということにも幸せを感じるというのは、読んでいて発見かもと感じました。
マイナスな感情に対する共感って、プラスの感情の共感と同じくらい幸せなことであるのは、心に留めておきたいと思います。 -
2020(R2)12.20-12.31
あけましておめでとうございます。
読了したのは昨年だったが、感想を書くのが遅くなってしまいました。
7日間の調査の後に対象者の死を見定める、クールで少しずれている死神を取り巻く6つの人生の物語(Wikipediaより)。
やっぱり伊坂幸太郎は、死に対してドライと言うかクールと言うか、愛着の湧くキャラクターをあっさりと死なせてしまう(殺し屋シリーズとか)。
この物語も「“見送り”にしてあげてよー。」と思う人物に、あっさりと(クールに)「可(死ぬ)」の判定を下す。
とはいえ、それぞれの人物の死に対して、死神も、揺れ動かないようで心が揺れ動く。人間味ある瞬間が時々訪れる。
6人の死に様(生き様)はバラバラだが、いくつかの人生が絡んで終末に向かう辺り、伊坂幸太郎らしい。それが分かった時の「えっ!あなたは、あの時の…!」感がたまらない。
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文章が鋭さと優しさに溢れて、終始ダレる事なく読了。ストーリーの暖かさと、キャラクターの愛くるしさがお見事な作品。
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急に現れて親しくなった人は死神かも⁈ とは言え、逃れられないのよね。
不慮の事故や事件で命を落とす人をジャッジするために派遣される死神の千葉。
7日間の調査期間内で「可」「不可」を本部に報告する仕事。
「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは渋滞だ」
死神は大真面目でお茶目。
人生の切なさと人間の愚かさもコミカルな中に折り込んで、「死」の話なのに幸せな気分になるから不思議♡
塀にスプレーで落書きしてる青年は『重力ピエロ』の春だと、解説で知りました -
伊坂様の魅力とは
他の伊坂作品と共通する物を探したり、出てくる言葉を人生の格言として読むことができるところ。
どうしようもなく悪い人や不幸な人がでてくるけどなぜか絶望的でなく、どこか未来が見えそうな気がするところ。
だから伊坂推しをやめられないのかもしれない -
千葉の人間との距離感が心地よい。
人間に寄り添うでもなく、突き離すわけでもなく淡々としているが、どこかゆるさもありアンニュイな雰囲気。死神なのに、音楽に傾倒しているというギャップもまた良い!