- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167902933
感想・レビュー・書評
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いや〜長かったですね〜。
作者の経歴を拝見すると元記者だそうで。
警察とマスコミを主な登場人物として、ドロドロした世界が描かれていますが、妙にリアリティがあります。
正誤の物差しだけでは生きていけないのは世の常ですね。
作中では1つの大筋が最初から最後まで通っていて、比較的読みやすいです。
特に終盤の盛り上がりには引力があり、最後は一気に読み終えました。
事件について、全て100%の解決をするわけではないので、スッキリ感は少なめでしたが、実際の事件を題材にしているということもあり、ここもリアリティがあって良かったです。
クリスマスローズの花言葉のひとつには、"私を忘れないで"という言葉があるようです。
三上夫妻の気持ちが少し前へ進んだような気配がある中で、数年ぶりに咲いた白いクリスマスローズ。
何か意味があるような気がしてなりませんでした。
あゆみは、両親にはずっと自分のことを考えていてほしいのかも、しれません。
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「クリスマスローズよ。お義父さんが亡くなる少し前に植えたの。ここ何年か咲かなかったんだけど、本当に長生きよね」
---詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
R1.5.2 読了。
ロクヨンと誘拐事件の裏にあった秘密、幸田メモ、無言電話などなど。後半に謎が説かれた時にそれまでひとつひとつが点でしかなかった事柄が、線になり思わず鳥肌ものだった。面白かった。
また、警察組織の警務部広報課という部署についても、勉強できて良かった。 -
有名で名前をよく目にするので読んだけど、
執念みたいなものは感じた、どこまで自分のものにしたか疑問?
よくこんな状態でレビューをかけるわ!と厚顔無知に我ながら感心する。
何よりすぐ書かなければ、よほどの作品でない限り
書く内容を忘れる。
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上巻星4つからの加点1つでは足りませんでした。
事件の発生からは一気に読み進みました。
最後の三上と二渡のシーンは、発刊時に読みたかったと思わせられました。
三人の靴の描写など味わい深い作品です。
暫くしたら読み返したい一冊になりました。 -
下巻は429ページでしたが、最後はあっという間に読み終えました。面白かった。刑事部と警務部、キャリアとノンキャリア、マスコミと警察、多くの対立があり、闇がある。64のホシはあがるのか?赤間警務部長はどうなるのか?気になることは多々あるが、あゆみがどうなっているのかは知りたかった。
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元刑事で一人娘が失踪中のD県警の警務部広報官・三上が、記者クラブとの軋轢、“昭和64年”に起きた未解決の幼女誘拐殺人事件「ロクヨン」の長官視察をめぐる刑事部と警務部の全面戦争、D県警が抱える深い闇等、組織の問題に振り回される中で自分の成すべきことを見出だすとともに、「ロクヨン」の再来というべき誘拐事件に全力で向き合うことで全ての真実に迫っていく作品。
横山秀夫作品を読んでみたかったので、「このミス」キング・オブ・キングス2位の本書を手に取った。
上下巻だけとは思えないほど読み応えがあった。読了までかなり時間を要したが、読み終えてみれば、とても面白い作品だった。
なぜ「読み終えてみれば、」と枕詞を付けたかというと、下巻の途中までは、刑事部と警務部、キャリアとノンキャリアといった警察内の主導権争いが中心で、衝撃的な事実として明かされる内容のあまりのくだらなさに驚き、嫌気を感じながら読み進めていたからだ。
しかし、三上が放った一言、「俺の職場はここだ。キャリアにも刑事部にも好き勝手にはさせない。」この一言に痺れさせられて以降、流れが一変。
三上は、まるで別人のプロフェッショナル広報官として、ピリピリとした緊張感の中で職務を全うする。
その姿勢にページを捲る手が止まらず、私自身も職務を成し遂げたような清々しい気持ちで読了した。
本当に面白かった。
正直言って、警察の広報官にこんなに胸熱くさせられるとは思わなかった。仕事人として忘れてはならない大事なことを気付かせてくれる作品だった。 -
何だか波長が合わなかったようで、全然進まなかったものの、下巻の後半(三上が色々とふっきれたあたり)でようやく楽しくなってきて、最後は松岡と二渡がかっこよすぎるため、その余韻で終わってしまった。
今年は鬼平犯科帳を読んでいるので、鬼平さんなら雨宮さんと幸田さんは何の罪にも問われず、「ご苦労であった」で終わるんだろうな。と妄想してしまった。
日吉が少しでも元気になりますように。 -
読みごたえあった。
正直、かなり後半まで、何なんだこれは、何が裏にあるのか、64とどう絡んでくるのか、見えてきそうで見えてこなくて、
ひたすら「読まされている」感だった(苦笑)
しかし、終わりに近づいて、64と絡む本筋が明らかになると、次々に起こっていた事と、1人1人の思いが見えてきて、一気に引き込まれ、睡眠を削って読んでしまった。
松岡までが、最低だったらどうしよう、とヒヤヒヤしてしまったが、三上が今後も尊敬していけるような人で良かったな。
あゆみちゃん、元気でいるといいな。そして、いつか、自分の価値と父母の愛に気付けるといいな。 -
記者クラブとの軋轢、
ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。
その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、
長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。
そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警を
さらに揺るがす事件が。
驚愕、怒濤の展開、感涙の結末。
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こんな展開、想像もできひん。
最終的に全てが繋がる納得の内容。
<上>では、何を読まされてるんやろ、って思うところもあったけど、最後まで読んでみて、こんな濃い小説はないなと思った。
話の流れも素晴らしいねんけど、登場人物もよかった。
初めて部下ができたと思えた瞬間。
この人の下でもう一度働きたいと思わせる上司。
小説だけじゃなくそれを演じてる人を観たいと思った。
ピエール瀧、観れるやんな。 -
上巻に続き話の進むテンポ感が自分には遅く感じられ、少しもどかしかった。
物語の続きの余白は残しつつも、64の本ボシが分かったのはよかった。
電話帳掲載の番号を最初から順にかけ続け、とうとう目崎に辿り着いた雨宮のその間の胸中を思うとやり切れなさを感じる。娘を殺され、身代金も奪われ、犯人はわからず、警察にも裏切られた14年間は想像するだに辛い。幸田、日吉にも幸あれと願ってしまう。 -
先に映画を見ていたため読みながら三上が完全に佐藤浩市と重なってくる。三上の娘の疾走、64の犯人検挙、隠蔽など解決しないまま終わるのは、作者もこれでいっぱいいっぱいだったのか。漆原はゲスで松岡と二渡はクール。続編があればと思った。
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2018(H30)8.29読了
重厚。
横山秀夫は『クライマーズ・ハイ』以来の2作品目。
ミステリーではあるけれど、それぞれの人物の抱えているものに共感するがゆえに、40過ぎた社会人の心にズシリと響く。
自分の生き方も考えてしまう。 -
あぁぁぁぁぁ…本を読んで久しぶりに体が胸が震えた。その人のした事がわかった時、全てがひとつに繋がって、孤独で哀しい姿を想像し泣いた。
ロクヨンに関わった人たちはみな昭和に心を残した人ばかりだった。犯人だけがのうのうと平成に逃げ込んで生きている。犯人を昭和へ引きずり戻す!
陰謀渦巻く長官視察の前日にロクヨンの模倣事件が起き物語は佳境へ。これは誰かの策略か?いったい誰が何の為に?犯人は、被害者は、刑事は、そして広報官三上は、この事件をどう思いどう進む。
下は新たな事件が起こりドキドキしながら凄いスピード(当社比)で読む事ができた。
三上の仏壇で流した涙は本物だ。だから雨宮さんに届いた。三上の不器用さが少しわかった気がした。広報室のメンバーからの信頼も得、ウチの記者たちとの距離もこんなもんでしょう。警務部でもない刑事部でもない、第三の道をこれからは歩んでいくのかな。
でもやっぱりヘタレな私は三上についていけないだろうなぁ。毎日メソメソしてそう。部室でも掃除していろと言われるだろう。
映画は三上のイライラ部分がカットされとても観やすかった。三上が不器用で熱い真っ直ぐな人というのがわかる。
その他もカットされている所が多く、前編で小説の約3/4まで進んだ。私が上で1番好きな柿沼と幸田の部分がほとんどカットされていたのにはショックだった。彼らの14年間、ふたりだけにしかわからない思い、もう少し触れてほしかった。来月の後編も凄く楽しみ♪-
けいたんさん、こんばんは~♪
実は私も、前半はなかなかペースがあがらなかたの~^^
後半、ぐんぐん引き込まれていきますよね!
...けいたんさん、こんばんは~♪
実は私も、前半はなかなかペースがあがらなかたの~^^
後半、ぐんぐん引き込まれていきますよね!
けいたんさん、映画もみたのですね!
原作とはちょっと違うようですが、面白そうですね(^O^)/2016/05/27
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読み応えありすぎ!
読むのに疲れましたが、面白かったです。
この物語をストーリで語るのは難しいです
下巻は上巻と違って一気にストーリが進みます。
・警察庁長官の視察を阻止しようとする刑事部の動き
・そして、警察庁と県警の対立
・さらに悪化する記者クラブとの対立
その中でも三上が自分の立ち位置、職責について、吹っ切れたところが大きなポイントかと思います。
ここから大きく流れが変わります。
しかし、さらに事件が発生
警察庁長官の時期に合わせて、ロクヨンと同じの手口を誘拐事件が発生し、警察庁長官を阻止するための意図的な狂言が疑われます。
そして、この新たな誘拐事件の描写がすごい。臨場感ありいったい何がおきているの?犯人はいるのか?誰なのか?どうなるどうなるといったところでぐいぐい読み進みます。
最後に、その謎がすべて明かされ、今までの伏線が回収されていってスッキリ
といったところです。
いくつか、この話は?というところもありますが、これで十分おなかいっぱい。
上巻でこれでもかと思うぐらい暗い心理描写も伏線のひとつだったと思われます。
警察という組織の中で、組織と個人の関係や、組織間の壁、組織のあり方、その中で自分自身の仕事のあり方、などなど語られ、これらは私たちビジネスマンにも同じような話だと思いました。同じように葛藤し、考えさせられる物語です。
面白かったです!
ちょっと心理描写が重過ぎました(笑)
お勧め! -
最初から最後まで張り詰めっぱなしで、緊張感がすごくありました。どう終わるのか、終われるのか、全然予測つかず、おもしろかったです。
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三上の刑務広報官としての信念を感じた。松岡参事官のの刑事の前に人間としての立ち居振る舞いも好感が持てた。何を守るべきか、優先すべきかが問われる。
記者クラブとの関係と警察組織の保身の狭間で揺れ動く三上。上巻の伏線が回収されていく。
三上を取り巻く人たちの気持ちがどう動いていくのかが、美しい説得力のある言葉が眼の中に飛び込んで来る。好みの表現が多い作品である。 -
広報室長として地元メディアと刑事部の間に板挟みになり、自身の職務に疑問や葛藤を感じながら、生きている男の物語だ。
多分に加飾されている、と信じたくなるくらい、警察内部の派閥争いの醜さや報道陣のあさましさがこと細かく描かれていて、これが現実だったら市民としてはうんざりするな、としみじみ思う。
現代では誰もがネットを通じて偶然目にしたスクープや、個人情報の暴露を発信できるけれども、携帯電話自体がまだインフラとしてしっかり整っていないようなネット未開の時代は、こんな世情だったのかもしれない。
情報についての意識や扱いは、きっとこの四半世紀くらいで大きく変わったのだろう。
後半、話が急展開する。
その展開の大本となったある人物の執念の行為については、現実的とはとても思えない部分があるのだけれど、フィクションとしては面白かった。 -
"警察という組織には、私は決してなじまないだろう。この小説のような世界なら。
この小説は、常に過去に起きた未解決事件を思い続ける刑事の物語だ。
そして、事件の被害者家族の思いにも寄り添っている。加害者より、被害者となる人たちは永遠に地獄を生き続けることになる。そんな理不尽さも描いている。
警察組織の論理、民間企業でいえば社風とでも言えばよいのか、警察組織についての物語でもある。
異業種の世界を観ることのできる小説はおもしろい。ミステリーとしても素晴らしい。文句なく★5." -
これって刑事ものでも誘拐ものでもないよなぁ。じゃぁ なに?って聞かれるとすぐ思いつかないけど。尾崎さんが 本返してくれるときに 思ってた内容と全然違ったって言ってたけど これ読んでそう思う人多い気がする。わたしもそうだったし。
そもそも横山秀夫の本って 面白いのか面白くないのか ビミョーな話が多い。この人の本で すごく面白かったーっていうのは読んだことないかも。でもなぜか買っちゃうんだよねぇ 笑。
そろそろわたしの好きなジャンルじゃないって 心の整理をした方がいいのかも。 -
私が間違っておりました。申し訳ございません。
上巻を読んで、「男の人が好きそうな小説だよね~」なんて知った風なことを書きましたが、まったくもって浅はかでございました。
だってさー
“己の信ずるまま職務を遂行した。明日のためにではなく、今日のために今日を使い切った。”
とかさー
“「上は変わるが職務は不変だ。広報のことは広報室で決める。今ここにいる俺たちが決めるんだ」
「上イコール組織です。組織の意志を無視した広報なんて広報と言えません」
「個人の集まりが組織だ。個人の意思が組織の意志になることがあっていい」”
とか、男の人の好きそうなお仕事小説。組織論なんだもの。
女の私はたいがいこういうのの外にいさせられますから、「け」と思って読んでいた部分があります。
けど、残り200ページ、第二の誘拐事件が起きたことによって、大きく話が動きます。
まさに怒涛の展開。
ページを繰る手が止まりません。
そして事件の全貌が明らかになったとき、第二の誘拐事件の犯人たちの人生を思うと涙が止まりませんでした。
ネタバレになってしまいますから詳しくは書けませんが、実行犯の彼の義に殉じた人生と、彼の家族の今後を思うと…。
上巻を読んで感じた数々の小さな違和が、最後まで読んだときにきちんと決着がついていました。
そもそもこれは三上目線の語りなわけです。
彼は刑事という仕事、つまり人間を見きわめることを生業としてきたので、彼の人間観察は多分正しい。
だけど、彼が揺れると、私も揺らいでしまう。
誰が本当に信じられる人なのか。
どれが先入観で、どれが客観的な判断なのかを、常に整理しながら読まないと流されてしまう。
そう思いながら読んでいたのに、雨宮の「大丈夫か?」には、そんな意味が込められていたとは。
上巻を読んでいたとき、誘拐がメインじゃないのなら、タイトルに偽りありなんじゃないの?なんて思っていましたが、これはもう、このタイトルでなければなりません。
全てはそこから始まったのですから。
ただひとつだけ疑問な点を。
三上が佐藤浩一ってミスキャストじゃないの?
彼がお父さんだったら、娘の家出はないんじゃない? -
下巻後半の後半にぐっとストーリーが進み出す。上巻から歯軋りするような苦しい人間模様に翻弄されたが、ここにきて全てはやはりここに繋がった気がするのだ、ロクヨン。物語はここまでだが、ロクヨンの捜査は新しい展開を迎えさらに続いていく。そして、それが解決されときには広報課は確実死ぬことになる。しかし今の広報課はそこで終わることはないだろう。三上をはじめ課員たちは必ずや記者や世間に叩きのめされても立ち上がり誇りを持って仕事を全うするはず。
ロクヨン被害者である雨宮の電話の数字ボタンを押す指先。元刑事、幸田の示す正義。松岡参事官の背中に、権力争いの上層部の怒鳴り声、記者たちの罵声に……いろんな人間の感情が上下巻を読み終わったあと胸の奥を駆け抜けていった。
「たまたまが一生になることもある」元刑事部長尾坂別の言葉は、わたしの中に重く響いた。 -
上巻があるなら下巻もと買った一冊
怒涛の展開の話だった。
64といわれる事件の解決の話ってより警察内部の問題の話って感じした上巻
下巻の後半は急に64事件の解決に繋がる事柄に
問題を新たな問題が潰したが、その問題がまた新たな問題を起こし、その問題を解決する為に動いたら過去の問題が解決しそうになる見たいな感じで、正に怒涛の展開だった。
主人公の考えを細かく書いてあるが、深読みがすごく理解力のない自分にはちょっと難しかった。
主人公の娘はどうなった?
警務部と刑事部の関係は?
なんとなく消化不良な所もあるが最後まで楽しめた小説でした。
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広報官三上は過去、刑事課に所属していた。
昭和天皇が崩御した、あの昭和64年に起きた幼女誘拐殺人事件、通称 " 64 ( ロクヨン ) を担当した捜査官であった。
事件は犯人逮捕に至らず、警察組織の大失態で未だ解決されていない。
記者クラブ、警察上層部、被害者家族との間で苦悩するが、迷いながらも懸命に立ち向かう。
横山秀夫ならではの上質なミステリーである。 -
まさか、まさかの展開。
雨宮さんは何かあるとは思ったけど、そう来たか!
ぐいぐい引き込まれてしまいました。
三上さんって男気のある人だなと思いました。そこに美那子さんが惚れたんでしょうね。