黒書院の六兵衛 上 (文春文庫 あ 39-16)

著者 :
  • 文藝春秋
3.35
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本棚登録 : 547
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907662

作品紹介・あらすじ

江戸城明渡しの日が近づく中、てこでも動かぬ旗本がひとり━━。新政府への引き渡しが迫る中、いてはならぬ旧幕臣に右往左往する城中。ましてや、西郷隆盛は、その旗本を腕ずく力ずくで引きずり出してはならぬという。外は上野の彰義隊と官軍、欧米列強の軍勢が睨み合い、一触即発の危機。悶着など起こそうものなら、江戸は戦になる。この謎の旗本、いったい何者なのか―。周囲の困惑をよそに居座りを続ける六兵衛。城中の誰もが遠ざけ、おそれ、追い出せない。そんな最中、あれ? 六兵衛の姿が見えぬ!?勝海舟、西郷隆盛をはじめ、大物たちも顔をだす、奇想天外な面白さ。……現代のサラリーマンに通じる組織人の悲喜こもごもを、ユーモラスに描いた傑作。解説・青山文平

感想・レビュー・書評

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  • 江戸幕府の組織やそこで働く旗本や御家人たちを現代の会社組織や会社員に置き換えて、深く頷きながら読む。そして六兵衛はどうして動かないのか。ミステリーである。

  • 面白かった。しかし、ちょっと消化不良です。
    江戸城明け渡しが決まった中、一人だけ居座り続ける御書院番士、的矢六兵衛。
    彼をめぐるミステリー仕立て?の展開となっています。

    上巻では江戸城明け渡しが決まり、その開城手続きのため、官軍先遣隊長として、尾張徳川家の徒組頭の加倉井が送り込まれます。
    勝安房守に伴われて見たものは、無言で居座り続ける一人の御書院番士の的矢六兵衛。
    力づく、腕づくで引きずり出してはならぬという命のもと、天朝様のご到着までに六兵衛を説得して退城させなければならない事に。

    六兵衛とは何者?
    なぜ、居座るのか?
    どうしたら退城させることが出来るのか?
    といった話の展開です。

    六兵衛の素性を知るための語りが、登場人物からの一人称語りとなる手法で、物語に引き込まれます。
    徐々に明らかになる六兵衛の正体は、的矢家を買った人物。家族だけが入れ替わり、周りはそれを不思議とは思いながらも黙認して、そこに至っています。
    さらに深まる謎で、なぜ、的矢家を買ったのか?そして、その正体は?
    はたまた、六兵衛を退場させるために、さまざまな人物が説得にあたりますが、やはり動きません。
    さてどうなる?といったところです。

    話の展開が進む中で、江戸末期の武家のつらい姿が垣間見れます。

  • 下巻にまとめて

  • うーん、六兵衛の説明をいろんな人たちが登場しすぎて必要じゃないような気がした。

  • 幕末、江戸城明け渡しの為に官軍の先入りとしてやってきた尾張藩士加倉井隼人。彼が城内で見たのは六兵衛という黙してただ座っている侍だった。彼は、少しずつ位の高い人の部屋に移動し最後は黒書院。つまり、将軍様の部屋まで入り込む。その六兵衛を何とか穏便に出て行ってもらおうと奮闘努力する物語なのである。その六兵衛を探索しているうちに、彼が金で身分を買った人間とわかるが、彼は実に武士らしき男であった。逃げたりやけになって戦場に行く幕臣の多い中、どうして彼はそこに座っているのかという物語だ。

  • 下巻にまとめ。

  • テレビドラマを途中から見て、見ずにしまった前半をどうしても知りたくなった。 さらっと始まり、話もせずただ座っている人を書いて前後篇読ませてしまうとは、畏れ入った筆力です。         

  • 「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」と、学校の先生に言われたらしい著者の、本領発揮ともいうべき傑作。
    大政奉還による江戸城明け渡しが決まったにもかかわらず、宿直部屋に端座し動こうとしない六兵衛。
    しかも彼は、六兵衛を名乗るものの、それまでの本人とは全くの別人。
    彼はなぜ居座るのか、彼は何者なのか?
    ミステリアスな六兵衛に、興味は尽きない。下巻が楽しみ。

  • 幕末のメインイベントである江戸城開城に難題が出た。幕臣が江戸城に一人で籠城をはじめる?
    誰なのか?何の目的なのか?を浅田次郎氏風の軽快なタッチで描く。
    上巻では、あの手この手で作戦を周りは考えるが、何も進展しないまま、引き渡し日に近づいていく。

  • 目に浮かぶような情景です

  • 的矢六兵衛とはいかなる人物なのか。なぜ江戸城に居続けるのか。
    下巻が楽しみです。

  • 江戸城無血開城の裏に、このようなドタバタがあった……としても、さもありなんという小説。上巻では六兵衛の正体と真意は判らず。尾張藩徒組頭の加倉井隼人を狂言回しに、江戸城西の丸での、官軍と旧幕臣とのやりとりを紡いでいく。特に西の丸の中に入ってから、殿中を進む際の光と影の描写が、現代のような照明のない建物内の雰囲気をありありと感じさせるものだった。そこに端然と居座る六兵衛の不気味さをも良く表現している。

  • R4.2.19~3.12

    (感想)
    舞台設定はいいのですが、進行が少々遅く登場人物も何か物足りない気がします。

  • 処分

  • 日本的な身過ぎ世過ぎの染み付いた登場人物たちの中に、梃子でも動かない謎の男。
    なぜ自分が抜擢されたのかもわからない大役を拝命した主人公が、真摯に中間管理職を全うする姿が良い。
    ユーモアもたっぷりで、声を上げて笑う場面もある。
    下巻が楽しみ。

  • 不可思議

  • 無戦開場が迫る江戸城。
    上野のお山へ最後の戦いを迎えに行くわけでもなく、逃亡するわけでもなく、城内に無言で居座る的矢六兵衛。

  • (上下巻共通)
    いまいち、感情移入をすべき人が見当たらない印象。
    当事者の考え方はわかるんだけれど、売りがわからないっていうかね。(^^;
    最後の武士の矜持を主題とみるべきだとは思うんだけど、どちらかというとドタバタ喜劇的な感じもするしなぁ。

  • 浅田先生はさすが
    浅田先生の、武士の魂というか、感覚みたいなことを読むのがとても好き。

  • 六兵衛とは何者だったのか。江戸から明治へ、価値観、信義、モラルがなくなり何もかもがひっくり返るときの、最後の良心。

  • ★(3.9)

  • 80

  • 『黒書院の六兵衛』
    WOWOW/毎週日曜放送
    2018年7月22日から

  • 下巻へ。

  • 江戸城明け渡しが決定された中、ただ一人居座り続ける御書院番士的矢六兵衛。しかも名も役職もそのままに本人だけが入れ替わっているという。
    官軍の物見の先手として江戸城に派遣された加倉井、幕府側の勝安房守と通弁福地源一郎があれこれ調べ様々な手を使っても一向に動く様子はなし。
    的矢六兵衛について調べる先々で聞く話は困窮と矜持の間で板挟みの武家の姿ばかり。仕事仲間、上司、家来と話す立場は違えど江戸末期の武家の遣り繰りの厳しさを誰もが語ります。
    何が目的で居座るのか、何故入れ替わったのかは全くの謎のまま上巻は終わりましたがはたして下巻で何が明かされるのか…。

  • 江戸城引き渡しが迫る中
    ひとりだけ、テコでも動かぬ侍ひとり

    悶着が起きたら、江戸が戦になってしまう。

    この侍「六兵衛」の正体は?そしてその行動の真意は?

    不気味なまでの意固地な六兵衛と
    何とか動かしたい官軍側のアタフタぶりがおかしい(笑)
    下巻が楽しみ

  • 2018年、4冊目です。

  • 時は江戸末期、西郷・勝の交渉により無血開城と決まった江戸城に、一人無言で勤番する御書院番士、的矢六兵衛。その六兵衛は実は一年前に本物と入れ替わっていた別人という奇想天外な設定。
    勝や加倉井の説得に応じず城内に居座りつづける六兵衛の真意は如何に? 幕末の江戸開城を巡るミステリー。

  • 江戸時代の終焉。無血開城の裏で、些細な、しかし厄介な問題が発生していた。
    御所院番士、的矢六兵衛なる、武士の手本のような所作を身につけた、無口な旗本が、官軍への城引き渡しを前に城内に座り込みを開始した。
    問題はそれだけではなく、当の六兵衛の正体が謎だらけであることだ。
    突如として官軍将校の職を押し付けられた尾張藩の御徒組頭の加倉井は、六兵衛を下城させるべく奔走するが…。
    黙して端座し続ける六兵衛と、その周りであれやこれやと策を練る幕臣たち。一方で加倉井は女房たちも巻き込み、その正体を探ろうとする、二転三転の推理も面白い。
    幕府の瓦解と新政府樹立の混乱の時代に生きた幕臣たちの胸中のリアルが描かれる。

  • 2017年7月19日読了

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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