空棺の烏 八咫烏シリーズ 4 (文春文庫) (文春文庫 あ 65-4)
- 文藝春秋 (2017年6月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167908638
感想・レビュー・書評
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今作は武官を養成する勁草院が舞台となっている。ここにきてなぜ養成学校なのかというと、前巻の雪哉の全身全霊をかけた覚悟によるもの。心身共に成長していく姿はとても頼もしい。新たに登場するものたちもまた良いキャラで、衝突しながら信頼関係を築いていく物語はなんだかんだと引き込まれる。なかなかに容赦ないことをする雪哉を恐ろしく感じる場面も出てくるが、今まで読んできたことを踏まえるとそれだけの決意によるものだと思える。抱え込みすぎる者の心の強さと弱さを合わせ持っているのも分かるからこそ、胸が締め付けられる場面もある。そして、養成学校での話だけに終わらない展開にまたまたググッととのめり込み、やっぱり続きが気になって仕方ない。ちょっと明かすと、猿と金烏と山内のとても密接な関係を窺わせるようなことがチラッと出てくる。事実はいかに?この辺りもとても気になる。
金烏とはどんな存在か?山内とはどんな世界か?過去に何があって未来はどうなるのか?少しずつ明かされていくことにワクワクする。権力や貧富による差別や横暴などにザワザワする。信念による改革と欲望による保守。この辺りの按配もとても良い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
雪哉in勁草院編。
いわゆる学園モノですね〜
身分や立場や思想の異なる少年たちがひとつ屋根の下で共に学んで共に生活し、最初は対立して
斑白し合うものの、やがて友情を育んでいく…。
良いですよね!ボーイ・ミーツ・ボーイ(※そんなジャンルはない)、大好きです。
雪哉はボーイと言うにはすでにいろいろ知りすぎていて、また優秀でありすぎるがために、生徒というよりは主宰側として大きな目的のために動かなければならない。
そのためには友達を利用することも躊躇はしないけれども、だからといってもちろん何も感じないわけでもなく…。
そんな葛藤をひっそりと抱える雪哉に茂丸が言葉をかけるシーンがすごく良かったです。
立場は違っても、悩みをすべて共有するわけじゃなくても、自分の欠点も理解してくれた上でそばにいてくれる、ってどれだけ嬉しいことか。
これぞボーイ・ミーツ・ボーイの醍醐味…!
そして、そんな雪哉の学園生活も終わろうとしてるのを待ち構えていたように、八咫烏たちの住む世界・山内に再び不穏な影が忍びよります。
おそらく次巻は大きく話が動きそうな予感!
今巻は設定上、若宮と雪哉のコンビがほとんど見られなかったので、次は2人で活躍するシーンがたくさんあるといいなー。 -
八咫烏シリーズ第4作。毎回ガラリと変わる趣向で、読者をとことん楽しませてくれる本シリーズ、今回は学園ものである。期待を裏切らないおもしろさだった。
前作で、若宮を守る山内衆となるべく、その養成所である勁草院に入学することを宣言した雪哉。本作は勁草院での学友たちとの生活が描かれる。若宮はじめ従来のキャラたちは、今回あまり活躍の場はない。しかし、シリーズ4作目にして新キャラが続々と登場し、物語がますます深みを増していくことを感じる。そして、本作では雪哉の類稀な能力と、いささか屈折した性格もあらわになる。
若宮を補佐する雪哉の成長は、以後の物語に必要な要素だったのだろう。今回回収されなかった伏線も、さらに提示された謎の数々も、用意周到な作者のこと、次回作以降で回収されるに違いない。ますます楽しみになってきた。 -
『八咫烏』シリーズ第4巻。エリート武官を養成する全寮制の学校『勁草院』に入学した、少年達の成長の話し。
前3作と比較すると、少し話しが小粒でしたが新たな仲間も加わって、今後の展開もますます目が離せません❗
小出しに『山内』の事情が解明されてきて、期待度も巻を重ねる毎にアップしていきます♫続きが気になるので、このまま文庫の最新刊に向かいます❗ -
八咫烏シリーズ四作目。
中毒性の高い本である。今、手にとってはいけない!と思いつつ、4巻目に手が伸びてしまった。
気がつけば、日はとっぷり暮れていた。いや〜本当に危険なシリーズだ!
なんとなく、知っていたり(南は綿の量産地で働き手は奴隷扱いという筋は、アメリカの南部の奴隷制を彷彿とさせる)、読んだことのあるような筋書き(主人公を執拗にいじめる教官は、ハリポタのスネイプ先生を彷彿とさせる)があるのだが、それだけでない一枚上手なところがやはり読み手を引きつけるのだろう。次巻以降も読みたいが自制しないと家事が立ち行かない。2019.8.12 -
面白かった!!
雪哉がハイスペックに成長しすぎて末恐ろしい……
一度覚悟を決めたら有言以上のことをやりきる男になってしまって、頼もしくてかっこいいんだけど少し寂しいなぁ。
雪哉が若宮のことを慕って付いているんじゃなくて、故郷を守ること=金烏である若宮を守ることってスタンスだからか、若宮との関係がただの主従ではなくて、どちらかと言うとバディ感があるとこが面白いなって感じました。 -
大好きな八咫烏シリーズ4作目!!
前作『黄金の烏』では壮大なストーリーの展開が一気に広がった感じがしたが、本作は勁草院での日常が鮮明に描かれている故、話が進んだ感じはあまりしなかった。しかし、知られざる若宮の事情や猿についての新たな情報など著者の阿部氏はやはり予想を上回る展開をプレゼントしてくれる。
本作を読み、雪哉への好感度が爆上がりしたので次作を読むのが楽しみになった。次作は雪哉登場する…?よね??