決定版 鬼平犯科帳 (13) (文春文庫) (文春文庫 い 4-113)
- 文藝春秋 (2017年6月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167908720
感想・レビュー・書評
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12巻最後の話で熱海に湯治に出かけた鬼平たち。
そろそろ帰ろうかという時に、お供の密偵彦十が昔馴染みの盗賊の嘗役(なめやく)を務める利平治を見かける。
嘗役とは、一人で全国を回り、自分の所属する盗賊団が入りやすい家を探す役目。
優秀な嘗役は、目をつけた家屋敷の図面、財産、家族や奉公人の人数やら趣向やらをすべて調べ上げるという。
昔気質で仁義の通った仕事しかしない利平治だが、今はかつての仲間に狙われているらしい。
==気骨があるが掴みどころのない名物盗賊が、計らずも鬼平達に助けられる形で刺客たちをひょいひょい躱すお話は楽しいです。
/『熱海みやげの宝物』
与力の富田達五郎は、喧嘩から旗本を斬ってしまったために目撃者である盗賊から強請られる羽目に陥る。
身を護るためにどんどん堕ちてゆく様相。
/『殺しの波紋』
同心の松永弥四郎は、昔抱いた茶屋女の影響で変な性癖を持ってしまった。
松永はかつての女が盗賊のかしらと密会する場面に行きあわせて…
/『夜針の音松』
一人働きの盗賊、墨斗(すみつぼ)の孫八はこれを機会に引退しようとしていた。
幼い頃にバタバタと家族を喪ったことにより命に執着のない孫八の盗みは実にさっぱりしていた。
執着もない、殺しもしない、大胆不敵で迷わない。
だが決して失敗できない最後の仕事には緊張が走る
==ちょっと切ない。本人もだけど周りが。
/『墨つぼの孫八』
鬼平は、旗本の宮口伊織が財布を掏られた現場に行き会う。財布は取り返したが、その中には宮口の妻の実家である大店の図面が入っていた。
金に悪い噂の有る宮口は何か良からぬことを考えているのではないか。
/『春雪』
堂々たる体躯にもじゃもじゃで繋がった眉をもつ昔気質の盗賊、清須の甚五郎。何年も仕掛けを凝らした商家を他の盗賊一味に先を越されてしまった。しかもその一味は、一家皆殺しの畜生盗め(ちくしょうづとめ)。汚い手段は見逃せない。一本眉の甚五郎は、盗人の意地にかけて盗賊団を探す。
===盗賊のけじめは盗賊がつける。これぞ男気!(女盗賊もいるけど)
/『一本眉』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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