ひとり旅立つ少年よ (文春文庫 テ 12-6)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913410

作品紹介・あらすじ

『音もなく少女は』『その犬の歩むところ』で書店員はじめ 多くの読者の感動を呼んだ名匠ボストン・テラン、最新感動作! 父の罪を贖うため、少年はひとり地平線の彼方をめざす。 とても危うく、でもとても強い、その姿を見よ。 12歳の少年チャーリーの父が二人組の男に殺された。時は19世紀末、ニューヨーク。詐欺師である父は奴隷解放運動のための資金だと偽って、教会から大金を巻き上げたところだった…… チャーリーは決意する。父の悪行をつぐなうため、このカネを奴隷解放組織のもとに届けようと。少年はひとり旅に出た。旅路の先々で出会うのは、詩人ホイットマン、子供を亡くした優しい夫人、謎の葬儀屋、破天荒な奴隷解放運動家たち。奴隷商人に囚われて競売にかけられても、命の危険にさらされる困難に遭遇しても、少年は持ち前の機転と知恵で切り抜けていく。 だが少年の父を殺した男たちは、この大金を狙って着々とチャーリーに迫っていたのだ。 『神は銃弾』『音もなく少女は』『その犬の歩むところ』……本屋大賞翻訳小説部門、「このミステリーがすごい!」などで絶賛を浴び続ける巨匠が、ふたたび苛烈な世界の中で生きるものの尊厳を静かに謳う。 荒々しくも繊細な詩情をたたえて贈る感動のロード・ノヴェル。

感想・レビュー・書評

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  • ボストン・テラン『ひとり旅立つ少年よ』文春文庫。

    1850年代のアメリカを舞台に、12歳の少年チャーリーを主人公にしたロード・ノベル。

    有らぬ限りの苦難が主人公のチャーリーに襲い掛かる。その苦難を知恵と勇気で次々と乗り越え、一歩一歩目的に向かって歩むチャーリーの姿が健気で清々しい。

    詐欺師であるチャーリーの父親はチャーリーをダシに奴隷解放運動の資金と偽り、教会から大金を巻き上げる。大金を狙う二人組の男たちはチャーリーの父親を殺害し、チャーリーを付け狙う。父親が奪った大金を本来の奴隷開放運動のために活かすことを決意したチャーリーは苦難の独り旅へと足を踏み出すが……

    本体価格920円
    ★★★★★

  • 19世紀アメリカ。12歳の少年が殺された父親の罪を償うためひとり旅に出る。奴隷運動や黒人差別が強くあるなかで様々な人たちと出会い、別れを繰り返していく。優しさに触れ、これまでにしてきたことを悔いる。そして今の自分を肯定してくれる人たち。危険な目に遭いながらも強くあろうとする少年の心がとても印象に残る。自分の罪、赦し、そしてこれから。少年の失ったものと得たもののその全てが詰まっている。

  • 12歳の少年チャーリーは、詐欺師の父親と共に奴隷解放運動家へ渡すと嘘をつき、大金を手に入れる。だがその金を狙った男たちに父親を殺され、心を病んだ母親は病院に入院したまま。自分の罪をひどく恥じたチャーリーは、本当に奴隷解放運動家へお金を渡そうとカンザスへ向かう旅に出る。移民であるドイツ人が憎まれ、黒人奴隷が獣のように競りにかけられるような世界で、チャーリーはあまりに無力だ。案の定残酷な人間に騙されひどい目に合うが、心ある人々の勇気や優しさに触れるうちに、彼もまた強く成長していく。冷酷で恐ろしい悪人たちにぞっとしたり、ピンチを機転で切り抜けるチャーリーにニヤリとしたり、夢中になって読んだ。

  • 無駄な描写は無く、確かになんか揺さぶられるものはある。

  • 南北戦争前の時代背景。
    少年が旅をすることで奴隷制度について丁寧に描かれている。

    一緒に旅をしたような、ずっしり重い読後感でした。

    登場人物で幸せになれた人いたかな?ぐらいの辛い描写が多かったから、結末を終えても、この本のことを思い出してしまう。

    メモしておきたい、言葉が沢山ありました。

  • 「視線を交わしたその燃え上がるような一瞬、ふたりは一生分の思いを語り合った」
    「その犬の歩むところ」に続き二冊目のボストン・テラン。奴隷制度に立ち向かう内容それ自体も感動的なのですが、それを表現する著者(と訳者)の文章が深く心に入り込んできます。要所要所で出会う心打たれる文章を二度読みして味わいながら読みました。
    「眼にしたすべてのものが少年の一部となり、少年もそのすべてのものの一部になる」
    奇しくもこの本を読んだのは7月3日4日でした。

  • 読んだ時期によって本の印象がより強烈になるということがありますが、これはBlack lives matterが広がっている今読めて良かった本。オリバーツイスト×BLM(だけに限ったものではないが)…テランは人間の素晴らしいところを素晴らしく書くなあ。また格好良い女性が出てきたなあ。

  • テランは相変わらず容赦がないけれど、なんでだか最後はなんだかんだで希望が感じられるんだよねえ。葬儀屋さんかっこいいよね。

  • 奴隷について考えさせられながら読みすすめるのでスラスラとはいかず。でも読んでよかった小説でした。

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著者プロフィール

ニューヨークのサウス・ブロンクス生れ。1999年、『神は銃弾』でデビュー。CWA賞最優秀新人賞を受賞し、本邦でも「このミステリーがすごい!」2002年版海外編で1位に輝く。以降、『死者を侮るなかれ』『凶器の貴公子』『音もなく少女は』などを発表。

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