クロス・ファイヤー

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198633370

作品紹介・あらすじ

天才ピッチャーでスターの麻由とくらべたら、わたしは等級の劣る地味な星。でもそんなわたしの方が、素質が上だなんて…。日本プロ野球のチームに、女性選手が入団。東京レオパーズ所属の楠田栞は、左腕でアンダースローの中継ぎ投手。客寄せパンダと陰で囁かれつつも、同僚で親友の早蕨麻由と励まし合いながら、プレイに、恋に、奮闘中。プロ野球は、才能と運、その両方を掴んだ者だけが成功できる過酷な世界。時にはくじけそうになりながらも、女であることも「幸運」のひとつなのだと、栞は自らに言い聞かせている。そんなある日、栞は臨時投手コーチの雲野と出会う。雲野は言う。おまえの恵まれた体と素質を活かせ、一流になれ、と。そして、とある目標のための特別指導が始まった…。

感想・レビュー・書評

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  • 野球自体好きなのですが、それが女子プロ選手の話というところとその女子プロ選手が普通に各球団にいるという設定で喰いつきました。
    現在のプロ野球も女子も入れる規定にはなりましたが、実際には力量の差がやはりあるために入れないでいます。テストを受ける人はいるらしいのですが、実力が足りないんですね。
    そんな今はまだ夢のような話ですが、客寄せパンダであることを自覚しつつ、実力でも追いつきたいと頑張る姿が良いです。
    続きがもし出るなら読みたいですね。

  • ひさしぶりの柴田よしき。粗製乱造に走るより、じっくり良いものを書いていってほしいと思います。本作は「軌跡」と同様の野球物なんですが、作者の野球に対する熱い思いが、物語作りよりもどうしても先に立ってしまい、一ページがまるごと1セリフというのがざらというような作品になってしまっています。特に最初の章は、物語の設定を読んでいるような感じでした。作品をもっと突き放して、遠い視点から客観的に描写するということができていたら、もっと読みやすくなっていたと思います。とはいえ、その熱い思いを背負ったキャラクターたちは存在感ばっちりで、読みごたえは十分でした。

  • 野球ものが読みたくなって購入した一冊です。
    女性がプロ野球選手になって…というお話。
    水原勇気みたいな話ではなく、独立リーグから…というのが今時です。
    しかも各チーム複数の女性選手がいるのが当たり前という設定がスゴイ(笑)
    続編が書けそうなストーリーですからちょっとだけ期待しています。

  • 女性もプロ野球選手となる時代。
    客寄せパンダと言われながら懸命にプレーする栞と真由。

    実際、男性のなかまざってプレイって、たぶん危ないんだろうなっておもう。
    しかしそんなファンタジーもあってもいい。
    しかしほんとに好きなんだな、プロ野球。

  • 柴田さん、巧い!(*^_^*) 各プロ野球チームに女性のプレイヤー何人か登録されている、という、ファンタジーとも近未来とも言えないような設定を、キワモノっぽくなく物語にしてしまったところが面白かった! 後書きにもあったけど、柴田さんって、ホントに「プロ」野球が好きなんだね。



    高校野球が好きな人、は多々いると思うのだけど、柴田さんはプロにこだわる…。
    その理由として、野球をやってそれをお客さんに見せて、お金をもらって生活している人たちの姿に惹かれる、と言われると、野球のことは何もわからない私にも頷けるものがあるし、実際、このお話はとても楽しく読めました。

    日本プロ野球チーム(NPB)の一つである東京レオバーズに所属する女性選手は2人。子どものころから天才ピッチャーと騒がれ、かつ容姿もモデル並みに美しい早蕨麻由と、ソフトボール出身でコツコツと練習を積んできた楠田栞。なぜ、プロ野球に女性が参戦したか、なぜ女子プロ野球ではないのか、は、簡潔に説得力を持って語られ、うん、段々女性の体力や技術が増してきている昨今、こんな展開もいいかも、なんて思わせられてしまったのは、柴田さんの力量、ってことなんでしょうね。

    2人はOL同士のように仲がよく、試合や練習、そして恋に関するおしゃべりも読んでいて楽しい。
    そこに、自分が二番手である、と認識している栞が実は大きな可能性を秘めた逸材だった・・・という流れになってくると・・・という持って行き方が巧いなぁ。2人の関係は当然、変わるのだけど、それが予想されるような女同士の覇権争いといった感じにはならず、それぞれ、自分の「分」をしっかり認識しながら進んでいくところが気持ちよかったし、柴田さんの優しさを感じた。

    「プロ」としてどう生きるか、という精神が、2人や周辺の野球人たちの中にそれぞれの形で息づいているところもまた面白かった。

    今月号の本の雑誌、めったくたガイドBY北上次郎 の作品でした。

    これは、ホント、何も始まってないお話、だけど、続きはあるのかなぁ。
    普通だったら、続編が楽しみです、と書くべきところなんだろうけど、この終わり方でもいいかなぁ、と思ってしまったのが、自分でも面白いと思ってます。

  • 女性プロ野球選手の黎明期
    「客寄せパンダ」的な存在だった主人公が
    才能を見出され、がむしゃらに向かってゆく

    女性ふたりのプロ野球ピッチャーのお話

    現実には難しいだろうなぁとは思いつつ
    もしかしたらこんな未来もあるかもしれない?と。

    ラストはなんだか「え?ここまで?」という感じで
    もうちょっと先まで知りたいよーー!

  • おもしろかった。
    柴田さん、こーゆー感じのも書くんだなあっとゆー感じ。
    がんばる女の子もの。
    女性がプロ野球の世界へ、というと、
    かーらセンセイの「メイプル戦記」とか思いだしちゃうが、あれよりはまだ、現実的。
    そこそこの実力はあるものの、どこかマスコット的扱いもぬぐえない微妙なトコロ。
    まさにプロ野球女性進出黎明期。
    最初の辺は少々主人公の一人称があまったるい感じがしたんだが、選ばれて、その才能を伸ばそうとあがくあたりから
    結構熱く。
    ガン否定だったのにやるからには徹底的に、と女性選手の可能性を探るコーチや、その夢にのる球界の人気者捕手やら、
    結構周りに恵まれてるような気も。
    料理上手な、という設定で、章のタイトルがその話ごとに彼女がつくるお菓子の名前なのがベタな感じですが、
    わかりやすい。
    先駆者はずっと上をいかないと、その後が続かない、とゆー言葉が印象的。確かにそーゆーとこはあるかも。
    先発と抑えを女性選手が担えるようなるのか否か、
    その結果は見えないままで終わる。
    夢と消えるか、大輪の華となるか。

  • 日本のプロ野球に女性選手が誕生したという設定で東京レオパーズに所属する栞と麻由の二人の女性投手の日常や苦悩が描かれている。
    女性選手がNPBでプレーするという現実離れした設定だが話のテンポもよくストーリーに引き込まれていくが、ラストが少し中途半端で物足りない感じがした。

  • 二人の女性プロ野球選手のお話。

    野球好きとしてはなかなかおもしろいテーマでした。NBPで男女のプロ野球選手が入り混じってプレーするって言う、ちょっと夢のようなお話だったので。

    ストーリー展開もよく、テンポよく話も進んでいくので、読みやすかったですが、最後の方がちょっと物足りなかった。栞の今後の選手としての話も、恋愛にしても、途中で終わっちゃった感が否めない。
    続きが気になるとこで、むしろここから盛り上がるのに!ってとこで終わっちゃったのが物足りなかったな。

    続編希望!!

  • あんまりおもしろくはなかった。
    俺らの世界、過程は関係ないからなあ。評価されるのは結果だけだから。

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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