雲上雲下(うんじょううんげ) (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198645595

感想・レビュー・書評

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  • 田螺の話と七夕のはなしが好きだった。

  • 2019.4.7読了

  • 意図的に格調高く書かれた民話。メタ構造。

  • 山奥の原っぱに不思議な草が生えている。迷い込んだ子狐が、葉っぱに寝物語をねだる。物語なんか知らないといいながら、草はいくつもの物語を語る。私たちが慣れ親しんでいる昔ばなしと同じような、少しずつ違うような話。短い話もあれば、長く続くものもある。今まで読んだ、この作者の本とはちょっと趣が違って驚いたけれど、こういうのも面白かった。

  • 子どものころ、昔話を読むのも読んでもらうのも、好きだったなぁ。(アニメの「日本昔ばなし」も大好きでした。)
    教訓云々ではなく、ただ面白く、心温まり、時には怖かったり、悲しかったり・・と、純粋に楽しんでいました。
    本書でも、“草どん”こと、福耳彦命が語る数々の噺を、私も子狐と一緒になって、夢中で聞き(読み)ました。
    後半は、昔話が衰退しつつあるのを嘆く内容になっていますが、この極上のエンタメが廃れていくなんて勿体ないです。
    いつまでも語り継がれてほしいものですね。

  • 草どんが小狐に語って聞かせるおとぎ話.

  • 子供の頃、聞いた、読んだ「オハナシ」が改めて大人向きに語り直されるアンソロジーと思いきや、終章に向けて、作者の物語論をベースにしたメタ構造的大団円に収斂していくのに戸惑いましたが、その青っぽい熱さが本書の魅力だとも思いました。「草どん」=「福耳彦命」=「著者」が一気に顕在化し、朝井まかて本人の作家としてのアンセムが不器用に表明されています。ひとつひとつの民話のアップデートは、純朴に誠実に地道に生きる主人公たちの印象が強く、この作品が連載された「日本農業新聞」の読者を意識しているようにも感じましたが、後半のパートが本になる際に再構成された作者の想い噴出パートかもしれません。「聞く人」がいて「語る人」がある、このシンプルなコミュニケーションが民話の基本要件であり、その人と人の交わりが電子化され、生産性で測られる時代の物語とはなにか、ということになるのだと思いますので、今後の作者の小説もチェックかも。読書中、なんとなく、市原悦子と常田富士男の「日本まんか昔話」が過ぎり、特に小太郎のおはなしの最後はオープニングのアニメが思い起こされました。

  • 神々の雲上の世界と私たち人間の雲下の世界をつないでいたのはおとぎ話だった、というお話。
    日本には昔から語り継がれるお話がたくさんある。そういうお話によって、目には見えないものを畏れ敬う心、周りを労り慈しむ優しい心などを学んできたということは確かだと私も思う。私が子供の頃は、TVで毎週「にほん昔ばなし」を見せられていたものだが、今から思うと、とても良い情操教育だったなと思う。必ずしも楽しいお話ばかりではなくて、残酷で救いがなかったり怖かったり悲しかったり切なかったりするお話も多いけれど、生きていくことは実際 楽しく幸せなことばかりではないので、聞くのが辛いようなお話も、心構えというのかつっかえ棒というのかになったような気がする。
    そして、今現在、そういったお話がどんどん忘れられていっているというのも本当だと思う。それはとても残念なことだ。子供のころから色々な話を聞いて想像力や感情を耕しておくということは、人生において大切な核になることだと思う。

  • 不思議なお話だった。昔話と神々と。
    でも、語られなければ忘れられるのもそれもまた、自然なことで、大事なものを失っているかもしれないけれど、時代によって生まれたもの、磨かれ育っているものもあるし。現代の民草の声が聞き取れない、ひとびとが冷たくなっていってるような流れがちょっと、懐古趣味というか。
    心の拠り所や教訓を得る場所は、なくなったわけではなく形を変えただけだとおもうので。予言的な神様はいらっしゃらなかったのだろうか。
    でも惹き込まれる世界だった、語り部の言葉も調子も耳障り良く、異形のものたちも像が浮かびやすくて、寝入りしなに頁を繰るのにとても向いている1冊だった。満足。

  • 人間は「物語」なくしてはいられない生き物らしい。
    一人一人が自分の「物語」を持つことで生きている。
    「雲上雲下」の中で一度失いかけた「物語」は、また甦る。
    今こそ、「物語」の力をもう一度信じよう。私も細々と語り続けたい。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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