- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198645595
感想・レビュー・書評
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読み始めは,どんな物語が始まるのか,予想もできず,しかし,読み始めると,どんどん「草どん」の語りに引き込まれていきました。
個人的には「猫寺」の話で落涙し,忠義ものの亀の話が心にしみました。
幼いころ,民話を繰り返し読みました。民話の中には,トラウマになりそうな残酷な話も理不尽な話もありましたが,それも含めて,今の自分を形成している大切な要素だったと思います。
いつまでも,民話が語り継がれることを願ってやみません。 -
昔TVで観ていた まんが日本昔ばなし を思い出しました
観て読んで知った昔話を改めて読み返したようでした
今の歳だから味わえるお話かな
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『人はいつ死ぬと思う?』
『人に忘れられた時さ』
あるヤブ医者の言葉ですが、琴線に触れて忘れられない場面の一つ。それを思い出させる一冊。
ヤブ医者と同じく、忘れてしまって無くしてしまう前に、つなぎとめようとする精神は美しい。 -
なかなか読み進められず、少しずつ進めてようやく読了。相変わらずの文章の名手っぷりはかわらず。ただ個人的にこのような昔話的な物語世界になじめず。あまり面白いとは感じなかった。著者の現代ものも読んでみたい。
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2018 7/10
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我々は子供時代に童話や昔話を読み聞きして育ち、長ずればより現代的な小説やドラマに傾斜するようになる。朝井まかてのこの本はそういう流れとは全く異なり、昔話を大人向けに味付けして提供する。
例えばアンデルセン童話が元は大人向けの残酷な教訓話だったように、童話・昔話も元は現代性を持っていた。しかし、時が経てば、朝起きて鍬を担いで野良に出る百姓はいなくなり、囲炉裏端での団らんなど遠い世界の話になる。そうして福耳彦のピンチは訪れるのだが、より現代的にアレンジすれば福耳彦の語る物語も現代に再生できる、ということを筆者は示したかったのだろう。 -
とても良かった!今年読んだ本の中ではベストです!山奥にはるか昔から生えている草(草どん)が、子狐にせがまれて物語を語る。話など知らないはずなのに、なぜか内から物語が溢れてくる。「とんと昔のさる昔、」草どんの口から語られる話に引き込まれて、ページを捲る手が止まらない。「そうか、言い伝えの元になった真実を物語ったのか。お前さんは我知らず、蘇らせたのよ。物語の者らの心を。醜さと弱さ、身勝手のほどを。いかんともしがたい、いたたまれぬほどの運命を。そして、希を」昔から語り継がれてきた物語を、私も語っていきたい。