真赤な子犬: <新装版> (徳間文庫 ひ 2-8)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198943783

作品紹介・あらすじ

五ツ木守男は自殺のために準備万端、毒入りステーキを用意した。いざ!その前にトイレ……戻ると、なんと食いしん坊の国務大臣がステーキを頬張っているではないか!慌てた守男は四階から転落死。現場に駆け付けた四道警部は、真赤な犬を見たという女中の証言が気になっていた――そんな犬、存在する?さらに雪山で扼殺死体まで見つかってさあ大変!ハイカラで流麗な本格ミステリ復刊。(解説:千街晶之)

感想・レビュー・書評

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  • 何なん?みたいなストーリーです。
    ステーキに毒をふりかけて自殺しようとした守男から始まるドダバタミステリー。
    こういうのも楽しくていいですね。
    ドロドロしたものもなくて、1人調子ハズレな真規もいい味出してました。

    ずいぶん前のものですが、面白かった。

  • あらすじだけで「なんだこれは」と思ってしまう奇想天外・奇抜なミステリ。
    序盤の展開だけでもうありえないほどすさまじく、そして馬鹿馬鹿しいです。仮にこの事件の様相だけ見せられてもこの真相を推理するなんてことは無理でしょう。ていうか、そんなんだったら本投げる(笑)。でも読者には事件のいきさつが分かってるから、右往左往する関係者や警察の動きも楽しみながら読めるのですね。
    ところが、さらに事件が起こったり。奇妙な「真赤な子犬」の謎も明かされて来たり。そしてついに、真相を知っていると思い込んでいた読者すら、案外と真相に気づいていなかったのだと気づかされたり。スラップスティックでさくさく読めるのだけれど、思ったほどミステリとしては簡単じゃなかった!

  • まあまあ。解説氏にしては珍しくネタバレの箇所が。第2の殺人の真相は「なんじゃこりゃ」な内容で興醒めした。

  • 世をはかなんで毒入りステーキを食べて自殺しようとする若社長はじめとして、随所に散りばめられた作者の本格モノ的ユーモアと、雪の別荘での足跡に細工された形跡のある殺人事件など不可能犯罪の風味も含まれてて(作中に、セイヤーズとカーが扱われてるあたり、この作品の趣味の方向性が分かるかと…)、テンポ良く話が展開して、グイグイと引かれながらもさらっと読ませる作品でした。
    読者の視点では、ある程度事件の経緯は冒頭から見えてはいるのですがその中では解明されない謎をチラつかせ、刑事は社会派のように堅実に捜査を行い、事件現場に居合わせた政治家秘書の悪戦苦闘ぶりを倒叙的に楽しみつつ…と一粒で複数のテイストを楽しんだ印象の一冊。
    とても丁寧に建物の構造なんかを描写してくれてるんですが(そこに「本格モノの退屈な部分」、なんて章タイトルを付ける辺りもユーモアですね)、ここまで書いてくれるならば、あわせて見取り図が欲しい…とは思いましたw

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著者プロフィール

日影 丈吉(ひかげ・じょうきち):1908年、東京都生まれ。小説家、翻訳家、料理研究家。アテネ・フランセ卒業。フランス語教師および料理研究・指導者等を経験したのち、49年『かむなぎうた』で作家デビュー。56年『狐の鶏』で日本探偵作家クラブ賞、90年『泥汽車』で泉鏡花文学賞を受賞。91年没。

「2024年 『ミステリー食事学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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