圏外編集者

著者 :
  • 朝日出版社
4.08
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255008943

感想・レビュー・書評

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  • 1452

    POPEYEとかBRUTUSの編集とか写真家やってる都築響一さんは『TOKYO STYLE』で知ってファンになって今回文章の本初めて読んだけど、面白かった。同業者と飲むぐらいなら全く関係ない職業の人と話をする方がよっぽど意味があるって言っててこれはほんとわかる。本とかもそういう意味で同業者の本は全く読まない。職場の同じチームの人とはコミュニケーションを円滑にする為に飲み会には参加するけどね。

    けつきょく、編集を学ぶヒントがどこかにあるとしたら、それは好きな本を見つけてじっくり読み込むことしかないと思う。ミュージシャンが好きなミュージシャンをコピーすることから始まるように、画家が尊敬する画家の模写から始めるように、編集者だって好きな本や雑誌と出会って、それを真似して作ってみることから始めたらいい。著者が好きな本でもいいし、編集やデザインや、造本が好きというのだっていい。あとは、1冊でも多く自分で本を作ることのほうが大事だ。

    それより大切なのは、100回読み返せる本を、何冊か持つこと。映画監督になるのだって、たぶんそう。寝る間も惜しんで何千本観た、とかいうのは評論家にとっては大切だろうけど、作り手はそうじゃない。100回見ても感動する、そういう映画と出会って、繰り返し観続けて、 自分のものにするほうがはるかに大切なはずだ。

    編集塾と同じくらい無意味なのが、同業者との交流(笑)。異業種交流会は、さらに意味 ないと思うけど。 編集者の飲み会、みたいなのに誘われていたころもあったけど、ほとんど参加しないでい るうちに、もう誘われすらしない。編集者の知り合いはたくさんいるけれど、仕事を離れて も毎晩一緒に飲みたい、なんてひとはひとりもいないから。僕は写真も仕事だけど、写真家 もまったく同じ。同業者と酒飲んで「編集論」とか「写真論」を戦わすとかって、いちども やったことないかもしれない。 同業者は仲間じゃない。同じ仕事をしている以上は、ライバルだ。だから同業の友達は、 なるべく少ないほうがいい。編集者同士で酒を飲むヒマがあるのだったら、そこらへんの居 酒屋やスナックで、まるで関係ない仕事をしているひとと知り合うほうが、よっぽど有意義 な時間の過ごし方だろう。

    音楽でたとえると、ミュージシャンにあたるのが著者で、DJの役割を果たすのが編集者しれない。DJの仕事が曲と曲をつないで、ひとつの音楽のかたまりを作るように、いろんな記事を組み合わせて、1冊の本に組み上げていく。素材を作るのはあくまでミュージシャンで、編集者は一緒に曲を作るわけではない。

    美大の卒業資格には社会的な価値なんてないんだから、無駄だと思った瞬間に退学したほうがいい、ほんとに。 もし自分がロックバンドをやりたかったら、ギター買って練習するだけだ。音楽大学を目 指して、予備校行ったりしないだろう。ラッパーや小説家になりたかったら、ノート買って リリックや文章書くだけだろう、ひたすら。文学部国文科とか目指さない。でも、アートだけはちがう。それって、おかしくないか?

    なにかが気になったとして、検索で簡単に見つかるものは、ようするにだれかがやってるってことだ。

    コミケに行ったことのないひとは「オタクの祭りでしょ」くらいにしか思ってないかもし れないが、ぜんぶのブースが漫画やアニメなわけじゃない。文芸コーナーもあるし、詩集や 写真集や紀行文とか、いろんなジャンルがある。僕もずっと前から、手作り本でいちどは参 加したいとひそかに思っていて。外国からの出展者やお客さんも年々増加の一途で、「東京国際ブックフェア」よりはるかに国際的でもある。

  • 「キャリアデザイン」のような本へのアンチテーゼ
    好き

  • 本屋をまわっていつも思うのは、なんだかみんな同じだな、ということ。
    みんな四角い。似たような名前に、キャッチコピーに。なんだか色味まで一緒じゃない?その本の存在価値はあるの?と。

    なにを題材に、なにを目的に、本を作る?
    唯一無二は、意外とその辺に寝そべっているのかも。

    このタイミングで読めて良かった。いまのわたしに響く本だった。1日で読み切った。都築さんのことなにも知らないのに。

    わたしも、いざ。
    わたしだけの、オリジナルを。

  • 面白かった。都築さんの本とメルマガを読んでみようと思う。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 何気なく手にした本に打ちのめされました。いやあ感慨深い。
    アンテナを張り巡らすこと。自分でものを作り上げること。ここで書かれているのはメディア(報道)のあり方だが、これは店づくりにも適応できるなと刺激を受けました。面白い店を作るぞ。

  • さいこう

  • あちい。

    都築さん全然知らなかったのだけど、確かPOPEYEかなんかで見かけて読んでねとかあったので、読んでみた。

    面白い。
    要するに都築という人間が何を今までやってきたかを語っているのだけど、確かに編集術みたいなことでもないし、やりたいならやったら?ということである(笑)

    そして感覚としてやはり、体というか、身体性みたいなところで、アイデアと行動が一致しているからか、とてもピュアに仕事をしているなあと感じた。僕がピュアでないわけでなく(笑)

    そのアウトプットが世間が見るスタンダードみたいなもの(これが実はスタンダードなんだよというのがTOKYO STYLEであるわけだけど)を著者なりに提示するのが、ジャーナリストというか、編集者というか、要するに見えている世界がこっちはXなんだけど、社会はYっていう。じゃあYが「全て」かというと、Xもあるし、Xみたらってことを言いたいのだと思う。

    この視点は確かに編集しているので、メタ認知が相当出来ていると思う。出来ていなければ言語化できない。つまり、YっていうならYでいいよね、仕事へのこだわりもなければそれでいいっていう人とか、安全地帯や確実に失敗したくないみたいな人は著者みたいな考え方はやはり「理解」しづらいだろう。また仮に理解できても実践はしないだろう。

    もちろん著者は自分のように生きろなんていってない。ただ僕は都築さん面白いなあと思った。作品を見るかはまた別として(笑)

  • やっぱ仕事は楽しいものでないと

  • なるほど〜、スゲーなー、と思うところと
    うーん、そうかなと思うところと
    なかなか読みながら、結構考える本だった。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。1976年から1986年まで「POPEYE」「BRUTUS」誌で現代美術・デザイン・都市生活などの記事を担当する。1989年から1992年にかけて、1980年代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アートランダム』を刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。
1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』を刊行。1997年、『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続けている。2012年より有料週刊メールマガジン『ROADSIDERS’weekly』(http://www.roadsiders.com/)を配信中。近著に『捨てられないTシャツ』(筑摩書房、2017年)、『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』(ケンエレブックス、2021年)、『IDOL STYLE』(双葉社、2021年)など。

「2022年 『Museum of Mom’s Art』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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