鬼 (希望コミックス)

著者 : 山岸凉子

• 潮出版社 (1997年6月23日発売)

感想・レビュー・書評

[katatumuruさんの感想 · 2013年7月30日]

Ｍ美大のサークル「不思議圏」
サークルといっても民俗学、不思議とかこつけて旅行したいという者の集まり。

サークルの部員は主人公を含め７人の男女。
彼らはとある山中の寺を訪れる。
そこの住職夫婦はまだこの土地に来たばかりで住職の奥さんは妊娠中。
その寺で主人公のあぐりは度々子供の泣き声を耳にするようになる。
そして不思議な雰囲気をもつ一年生の草薙も同じくその声を聞いたという。
やがて寺のことを調べ始めた彼らはかつてここで起こった悲しくも残酷な事実を知ることとなる。

可哀相でちょっと恐かった。
昔の子供のあまりにも残酷で哀れな事情とサークルメンバーそれぞれの出生の事情がからまってよく出来た話だと思いました。

またこの本には出雲神話をもとにした「肥長比売」も収録されています。
そちらも不実な男心と女のの執念をあつかった悲しいお話です。

[mizhooさんの感想 · 2012年10月26日]

鬼と肥長比売の2話。飢饉で飢えに苦しむ子供達の描写は苦しかった。怒りや悲しみ、寂しさなど感情の放出先が見つけられないと消化できないんだと思い知らされた。

[アンちゃんさんの感想 · 2012年6月6日]

見えたり感じたりできちゃう人が、その力を知らず知らずに「癒し」の方へ使ってしまう話。
本書には2編入ってるのだが、あとに入ってる短編「肥長比売」のほうが“彼女らしい”と感じるほど、「鬼」の方は「癒し」なのだ。

[大田別 稲吉さんの感想 · 2011年11月6日]

肥長比売は出雲の豪族・岐比佐都美の末娘。母は肥の川の巫女で、彼女を産むとすぐに亡くなっていた。
出雲は南からの新しい勢力「大和」との戦いの最中にあり、肥長は美しく優しい兄と、母とも頼む姉をその抗争の中で失う。
十六歳に成長した肥長は、大和への恭順の証しとして、王の本牟智和気に差し出される。

古事記垂仁条にある本牟智和気王子の説話に登場する、肥長比売の物語です。
アイヌや古代の隼人の風俗を取り入れたらしいデザインや、背中に入れ墨を彫った肥長の裸体が美しいです。

[MappOさんの感想 · 2009年7月23日]

なかなか興味深いマンガだった。成仏できない子供、恨み、怨念、昔ならよくあったことなのかもしれない。そのぐらいひどい時代もあったわけだし。それが現在の人々の心の闇に同調する。現在の人間の波長が低い人が多いほど、同調してしまう。現在の犯罪の低レベル化にも関わってるんじゃないか。

[上月さんの感想 · 2008年9月20日]

山岸涼子の短編集。

「鬼」がおそろしく、でもラストには救われた気分になった。

[looloohellooさんの感想 · 2008年4月15日]

こわいけど、やっぱこの人の漫画はすごいな〜。圧巻。私のペラい言葉では感想が上手に言えない。

[mitoさんの感想 · 2007年12月10日]

怖くてリアル。

[iroirohaさんの感想 · 2007年11月11日]

とても人間の厳しいところをついてくる一冊だと思う。

[田中さんの感想 · 2007年6月25日]

表題作が現実的で怖かったです。でも悲惨なだけじゃなくて救いもあって、良かったとおもう。

著者プロフィール

山岸凉子（やまぎし・りょうこ）
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ／舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」