- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309021485
感想・レビュー・書評
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花しすはわたしだ、と思った。ひとを傷つけたくなくて、自分が傷つくのが嫌で、ひととの関係に責任をもちたくなくて、受身でいる。そしてその気持ちをさとられないようにしてて、その卑怯さもわかってて。それでも自分が言ったことばでひとが傷つくのを見たくないから。言わないことに傷つくひともいるかもしれないのに、言わない方を選ぶ。
花しすは過ぎたことを忘れたくなくて、会話をレコーダーで録音しては、一日の終わりにそれを聞いて、パソコンに保存する。でも、忘れたくないということは、自分のことを忘れないで欲しいってことなんだと新田人生は言った。わたしは、忘れたくないと思った時点で、それはきっと忘れてしまうだろうって思ってるってことなんだと思った。
自分が言ったことばでそのひとが傷ついたとしても、その言葉が愛に裏打ちされたものならいいじゃないか、という言葉。
ひとがわからないっていう前に、自分のことがわかってないんじゃないかという言葉。
祖母やイヴリンの性器から出て来て、花しすにしか見えない、白くてふわふわしたものは、何だったんだろう。みんな違うけど、みんな同じ性器を持った、同じもの、つながっている、一個のものだってことなんだろうか。自分からひととつながることを避けても、どうしてもつながっているものだし、過去の出来事や、もう会わなくなったひとを忘れてしまっても、それはあったことなんだと、言ってるんだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
西 加奈子。さくら、きいろいゾウ、大好きだけど、ちょっとわからないのもあるな。これとか、炎上する君とか。
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花しすという名前を始め、はなしすと読んでいた(-_-)
西加奈子っぽくて良い!
ココアいれてもらうのとか羨ましい。 -
☆3つ
またもやなんだか不思議な小説に出っくわした。白いふわふわした物、とあそこの話(本当にあそこのエッチな話なんだからね)と、新田人生という名前のいろんな人のお話などからできている。
どうだ!なんのことかわかんねぇだろ。読んだってわかんねぇぞぉ。いいのかそれで。知らんそんなことは。ぎひひ。 -
個人タクシーの雨ですよ、と、運転手が言った。
池井戸花しすは、咄嗟に窓の外を見てみたが、雨は降っておらず、え、と聞き返すときには、運転手と助手席の間にあるすぺーから、一◯◯円ショップに売っていそうな安いバスケットが差し出されていた。山盛りの飴だ。 -
ちょうど考えてたことと同じだった。
おばあちゃんから、お母さんから、そしてまた私から命は生まれていくんだなぁと考えてた。
お母さんから生まれて、いまこうして生きてるのが不思議で、生きてること女であることをもう一度よく噛み締めたいと思わされた。
そしてすごーく自然に涙がでた。黄色いゾウのむこさんの言葉のような、それがそこにある、ということを知っている、というようなかんじ。言語化することは難しい感情で、ほんわりと自分の中に生じたものでもあり、でも前から知っていたような、しっかりとしたものだった。 -
「ふくわらい」とちょっと同じような…私にとってはタブーなテーマなのですが、主人公の花しすの感じていることはとても理解できたし、大人になってからの花しすの友人関係や職場の雰囲気を花しすと同調するように居心地よく感じられた小説でした。
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西さんの頭の中をのぞいたような気持ちになった。主人公のどこかいつも冷めたような性格。でも、怖いんだよね、目立ってしまうこと、嫌われてしまうこと。わかるわかる。
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前半はふわふわしている。後半は怒涛の畳み込み。『ふくわらい』ほどの衝撃ではなかったが。
「誰かと能動的に関わってゆくことが、忘れられない確かな方法であるということを知っているはずだ。」 -
過去・現在?がミックスされて必ず、新田という人物がでてくるおもしろい構成だったので、どんな結末になるのかなあと興味をもって読み進めた。まあ、いい着地だったかな。主人公が割と自分ににた感じ。実は、みんなを忘れたくないんじゃなくて、自分を忘れてほしくないとか、その人を傷つけたくないからではなくて自分が嫌われるのが怖いからとかについては、ドキッとさせられた。同じ女だから・・。っていうのは、ちょっと私には読み取りきれなかったな。ただ、人って生まれてきていることだけで、祝福されているんだ、おびえていることはなく自分を生きよってことか。人に対して、相手を気持ちよくさせるためには自分を後回しにしてでも、いい人でいようとする自分について、考えさせられる。でもそれも自分を生きてるよ、これがね。
そ