ふる

著者 :
  • 河出書房新社
3.13
  • (31)
  • (111)
  • (200)
  • (81)
  • (17)
本棚登録 : 1294
感想 : 195
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021485

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 女性器、新田人生、白いもの、ふってくるように書かれた文字…それぞれのモチーフのもつ意味がよくわからなかった。

  • 読めば読むほどによくわからなくなってしまう・・・

  • 絶え間なく降ってくる「今」の中で、いろんな人に出会い、経験をし、
    時にはそれを忘れたり手放したりして人は生きている。
    白くてふわふわしたものは祝福されている
    「生命」みたいなものなのかな?

    女性だけでは生命を生み出すことは出来ないけど、
    男性より女性の方がやはり「産む」感は強いんだと思う。

    主人公・花しすの葛藤はとても共感できる。
    誰にも害を与えたくない、でも覚えていてほしい。
    クライマックスに向けて、花しすが自分の答えを見つけ出す部分は
    すごく引きつけられた。

    西加奈子さんの本は感想を記すのが難しいな...。

  • 前作の「ふくわらい」から女性の性器に関する記述が多くて少々げんなり。
    「ふくわらい」の時も○○型なんて書いてあってとまどったけど、今回もモザイクを付ける作業をしている女の子が主人公なので、否が応でも股を広げた痛々しい女性たちを想像せねばならず、それが私としてはつらい作業でした。そのつらさや重圧が花しすの思っていることを口に出せない、おなかに抱えた重たいものと重なって、うまく感情移入できたような気がします。
    「生きている」ってどういうことなのか、記憶ってなんなのか、いろんなこと考えさせられます。過去に味わった少々苦い思い出も味わいつつ、それでも前よりもずっと上を向いて進んでいこうと思える作品でした。
    人間の本質を書く上で性器を出さなきゃいけなかったのかな、と後から考えるけど別な方法が良かったなとも思います。発想がぶっ飛んでるところが西さん節なんだけど、今後ついていけなくなりそうでこわい。

  • 最後にぐっと引き込まれた。

    人との関わりを忘れないためにではなく、忘れられたくないって気持ちが心のどこかにあって、日常を録音していた主人公。
    相手に嫌われたくないと思うから、干渉しない、思ったことも言えない。

    他人の目を気にしてしまう、いい人でいなくちゃ、って考えてしまう人は読んで共感する場面けっこうあると思う。

    しろいふわふわしたもの、みんな誰かの愛に見守られて、生かされているんだって思った。

  • 人の体にまとわりついている「白いもの」、そして花しすの人生にところどころ関わってくる、しかし必ず忘れ去られてしまうさまざまな新田人生。とにかく不思議な作品だった。人に嫌われたくないので、人に優しく、人に愛される癒し系の道化役でいる花しす。人に忘れられたくないから、テープレコーダーに会話を録音し、帰宅後再生する日々。そして幼少時期の祖母の介護の記憶、AVの女性器にモザイクがけをする仕事をいうことを通し、生きること、女ということ、人との係わり合い方を考えていく。花しすの母の義母への介護の様子、その介護を手伝った花しすへの母の態度、花しすが迎えた初潮に対する対応、特に印象に残っている。

  • ふくわらいに続いて、西加奈子はこれが二冊目。前作よりずっと内障的。自分も子供の頃感じていた違和感みたいなものが、感覚的にうまく表現されて、すごい共感できたが、うまく言葉にならない。

    「新田人生」っていうのは記号であって、花しすが自分の人生ですれ違っていながら、あまり良く覚えていない、そんな人達のことを差すのだろう。…読み終わるまでは偶然の同姓同名だと思ってましたが、その方がキレイですね。
    父性の欠如は女性の性に対する要求を持てあまして、蓋をしてしまうのかも。作者自身もそれがなんなのか分からなくて、「白いもの」として象徴してしまったのだろうか。小人と同じように、子供が自分自身と対話するための空想の道具なのかとも思ったし、その意味合いも持たせていると思う。トトロの真っ黒クロスケも、人に見えなくて、その辺に漂っているものでっていうのは同じものだと思う。だれかに自分を見ていて欲しい、その願望の表れなんだと思う。責任を負いたくないから、ワザと軽んじられるようにする、自分からは能動的に動かない、そしてそんな生き方をしてきていても、いろんな人にやはり影響を与えてしまう、こころのどこかでやっぱり誰かに覚えて置いて欲しいと思う気持ち、そして自分探し。最後の方はそんなありきたりなテーマになってしまった感じもしたが、それでも引きつけられたのは自分も同じように思っているからかもしれない。子供の頃の居場所のない自分、親の援助が不十分になり、不安定で所在なく、漠然とした不安感を抱いていた学生の頃の自分、自分で能動的には決められず、流されるように与えられたことをこなしてきた自分、そんなものを見せつけられました。
    でも自分を認めて欲しい、自分を覚えていて欲しい、そして自分がそんな欲望を持っていることに蓋をしたい。そんな思いが、最後のボイスレコーダーを捨てるっていう行為になったんでしょうね。

    感想書いているうちに、まとまりました。誰にも影響を与えたくない、空気のような存在になりたいと思う気持ちと、誰かに見ていて欲しい、覚えていて欲しいと思う、矛盾した欲望に対しての葛藤、抑圧された後者の欲望が、同じようにないことにしておきたい性的な欲望と作者の中で同一化、混同され、そのどちらとも正直に向かいあってこなかったことに対しての後悔、テーマはそういうことなんだろう。書いている作者も分かっていないかも。

  • 西加奈子さんの作品らしい。主人公の花しすや周りの人たちが淡々と描かれいてて、その温度感がよかった。

  • (2013年1月15日読了)
    2011年12月の19日から23日。
    主人公は、池井戸花しす。
    中学生、小学生、大学生、社会人。
    それぞれの章にはたくさんの新田人生が登場しているが、特に関わるわけでもなく。
    それ以外には、「こんな風に、空から降ってくるように書いてある」の注釈付きで四文字のひらがなが書かれている。
    私のこの感情をどう表現したらいいかわからない。こんな気持ちになる本がある。私は、生きている今をきちんと考えているのだろうか?
    関西弁の面白い掛け合いがあったりするけど、軽いだけではない本。

全195件中 111 - 120件を表示

著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×