ふる

著者 :
  • 河出書房新社
3.13
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本棚登録 : 1294
感想 : 195
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021485

感想・レビュー・書評

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  • 「能動的に誰かと関わることが、怖かった。いつでも受け身でいたかった。自分が選ぶのではなく、選ばれる側でい続けることで、関係性においての責任を負うこと、避けた。卑怯なことだと自分でも思う。」
    この気持ちすごくわかる。そして優しいと言われ、安心している自分にガッカリしたりする。
    「みんな自分が好きなんだ。でも、誰かを愛してるって、強い気持ちがあったら、その人を傷つけることは怖くなくなるはずなんだ。」こうやって自分で気がつくことができたら、偽りの自分から抜け出せるのかもしれないなと思った。


    H25.8.29

  • 今ドキネームの花しすちゃん。
    そんなことを考えながらページを開いたら、
    あっという間に本の世界に引き込まれていきました。

    自分がどう回りから見えているか。
    本当の自分て何なのか。
    普段、本当の自分を隠しているわけではない。
    でも、自分を演じている自分の自覚もある。
    「こういう人」と決められた枠組みに安心して、
    そして相手も「こういう人」と決めてかかって安心して
    「今」が過ぎるのを息をひそめて待っている自分を
    指摘されたような気がしました。

    通り過ぎていく「今」。
    忘れてしまっているけれど、確かに存在し、積み重ねてきた「今」。
    たくさんの「今」がこのわたしを作り、友人を作り家族を作り、
    見えているものが本物かは分からないけど
    ひとまずここでこうして生きている。歩いている。
    当たり前のような顔で存在しているけれど
    ものすごい確率で成り立っているこの世界。

    普段見えることのないこの世界の横顔を
    そっと教えてくれるような気がします。

  • なんか働きたくなった

  • 西さんの描く主人公の女性はいつも、ちょっと独特。これに出てくる池井戸かしすという女性もとても個性的。でも、わたしそのものでもある気がしながら読み続けた。
    そんな人物が実に生き生きと、「女性」という主題からそれる事なく描かれている。
    全体にふわふわした内容だが、話の軸がぶれないのでしゃんとした気分の読後感です。

    ただ、「ふる」ものがなんなのか結局わかりませんでした。

  • 電源の入ったICレコーダーを常にポケットにしのばせ、街の音や他人との会話を隠し録りして、そしてそれを寝る前にこっそり再生し、反芻することが趣味で、アダルトビデオの修正を生業とする主人公「池井戸花しす」、色んなエピソードに、色んな人となりで関わりを持つ「新田人生」、と色々不思議な雰囲気ながら、淡々と現実が進んでいく、という雰囲気。まぁ好きではないな、て感じかな。

  • 静かな迫力を感じた。西加奈子という作家は、人が目をそむけてしまうようなこともまっすぐに見つめ、それを肯定し、生きていくってすばらしいことなのだと気づかせてくれる。大好きです。

  • 新田人生さんが過去と現在に度々出てくるから、最後にどう関わってくるのかと思ったけど、結局よくわからなかった。
    女性の性器と仕事と過去の介護体験とでつながって、現在を生きている象徴のように描いているところや、会話を録音しているといった物語のはこびはいいけど、伝わってくるものがなかった。

  • 共感する文もあるのだけれど、性や女性器を絡めたわりに落とし所が普通。

  • 人を和ませる存在-人に嫌われたくない-
    忘れたくない人-忘れられたくない-

    ”相手を傷つけたくないのではなく相手が傷ついた表情を見たくないから・・・”
    自分がありたい姿とそれが卑しい思いがあるからではないか、と自分に自信がない主人公の女の子。人生の中で何度も出会う「新田人生」というそれぞれ別の男性や、友人、同僚らと関わり、そして祖母を介護する母を回顧しながら、自分自身でゆっくりと自分の方向性を見つけていく。 
    きっと周囲を気遣って 笑顔でストレスをためている子、きっとリアルに私の周りにもたくさんいるのだろうな。 そして私のように何も気にせず 行動してしまう人間はそんな人たちを困らせているのでしょう・・・。ごめんなさい。 
    でも 主人公が卑下する彼女の行動理由のその思いは こんな私にとっては、「なんて大人で思いやりがあるのだろう」と尊敬の的なのである。そんな子たちには頑張って胸を張っていってほしいと思うのと同時に 少しでも見習いたいと思う。

    この作品では主人公が友人たちに伝えたいことを決意できて良かったね。

  • う、うーん…
    嵌りきれなかった…

    言いたいことはわかる、共感する部分もある。
    その感情をどこに持っていくかの落としどころがしっくり来なかった。
    部分を見れば、もっと響いていてもおかしくないんだけど。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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