ギフト (西のはての年代記 1)

  • 河出書房新社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309204642

感想・レビュー・書評

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  • 物語としての面白さはもちろんの事,人間心理,感情の揺れ動きといった細かい描写が素晴らしく,親子間であれ友情であれ恋愛であれ敵への憎悪であれ生々しく読み手に迫ってくるので,こちらも一緒にイラついたり喜んだりホッとしたり忙しい.そして少年(オレック)が成長していくところがやはりいい.

  • 私の大好きなル=グウィンさんです。

  • 大人になるってこういうことですよね。きちんと親離れして自分の意志で生きていく。ギフトのプラスとマイナスに対する考え方、やっぱりそういうことだよなあとすごく納得しました。作者の人に対するあたたかさをとても感じました。

  • ゲド戦記の作者と、期待していたのに・・・。
    読前期待値が大きすぎたようです。

  • ル=グゥインらしさにあふれた本当に素晴らしい作品です。僕はこれを読んで、映画「ゲド戦記」に対する落胆と憤りを払拭しました(笑)
    「西のはての年代記」3部作の1巻にあたりますが、僕にとってはこの3部作にはファンタジーの魅力がたくさん詰まっています。
    おこがましい言い方ですが、ファンタジーとはこうあるべきです。

    ひと言でいえば、ハリウッドが好んで映画化し、またコンピュータゲームの世界でも好んで用いられる「悪の(暴)力を、それを上回る善の(暴)力で駆逐する、そのための力を手に入れるために主人公たちが超人的な力を身につけ、また破壊的な武器を手にしていく成長過程を描いた愛?と冒険の物語」ではありません。

    だから、そうしたストーリーを期待して読むと肩すかしをくらいます。ハリー・ポッターのような超人的な力を持った主人公は登場しません。
    むしろ、破壊的な力を持つことを期待されながら、その力を持つことを恐れ、また一方でその力が備わっていないことへの不安を抱えながら、自分に授けられた本当に大切な力(ギフト)を自覚していくという物語です。
    でも、ギフトを胸に大人として旅立つ主人公オレックの姿は、本当に雄々しく、また希望に満ちあふれています。

    この小説は、おそらくジュブナイル(ヤングアダルト)と呼ばれるジャンルに分類されるでしょうが、世代を問わず人々の心を揺さぶるものをもっています。
    主人公オレックの母メルを中心に物語全体に感じられる、子どもに対する温かな「まなざし」に心打たれます。この「まなざし」は、不朽の名作「ゲド戦記」と共通するものです。

    僕は、読了後、そんな「まなざし」を持ち、これから多くの力の問題に直面するであろう子どもたちを温かく見守り、希望を託していける大人になりたいと思いました。
    きっと、この作品は、(暴)力を(暴)力で制しようし、行き場を見失った大人たちへの問いかけでもあるのでしょう。

  • 名前で売れるから、このくらいの地味な導入でも許されるのだろう。ル・グインでなかったらきっと途中で読むのをやめただろう。物語の基本テーマが出てくるまでが長いし、ひとつのテーマをやたら長くひっぱって、これでおしまい? という感じ。それでも続きも読んじゃうんだろうけど。

  • ハリーポッター以降に量産されたファンタジーとは格が違う。やっぱり彼女の作品は期待を外さないなぁ。こういうの、読みたかったんよね。

    描写から頭の中に広がる風景は、緑と灰色を基調とした山々や空気、集落。
    登場人物の心情は、ただ文章を目で追って頭の中で理解した以上に、私の心に色濃く滲み出てきた。時に強く燃え上がり、全てを冷たく拒み、温かくも弱々しい。人間らしいって悲しくもこういうことだ。
    主人公のお母さん、いいな。

  • 「いまファンタジーにできること」を読んで内容に共感したが、「ゲド戦記」「闇の左手」の著書であることも分かり、グウィンに興味を持った。

  • 世界観をある程度つかむまで、結構難解だった。
    ピンと来ないことが多くて、挫折するかと思ったのだけど、
    おぼろげに分かってくると、やっぱり引き込まれてくるものがる。
    3部作で、ずっと、オレックが主役で進んでいくのかと思ったら、
    彼の話は、1で終わりみたい。
    彼の人生の「序章」的な感があったので、すこし肩すかし。
    しかし、次の「ヴォイス」では、大人になった彼と彼女がより魅力的になって登場。

  • すごくリアルな世界観。
    本を読み終わっても、登場人物たちの物語はまだ続いていくことが感じられるから、え、ここで終わっちゃうの?この続きはどうなるのか知りたい、と思える。
    ギフトをめぐる葛藤。期待される役割と、自分の本質について。余韻のある物語だった。

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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