- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309207186
感想・レビュー・書評
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4.13/372
内容(「BOOK」データベースより)
『初恋の人、自分をいちいち説明する必要を感じなかった唯一の相手、彼はいまや結婚して一児の父親だ。―高校時代に未来を約束した恋人オビンゼと離れ、イフェメルはアメリカに旅立つ。彼女を待っていたのは、階級、イデオロギー、地域、そして人種で色分けされた、想像すらしたことのない社会だった。大学に通いながら職を探す毎日。やがて彼女は失意の日々を乗り越えて、人種問題を扱う先鋭的なブログの書き手として注目を集めるようになる。一方オビンゼは、アメリカ留学をあきらめ渡英するも、不慮の出来事をきっかけにナイジェリアに帰郷。不動産取引で巨万の富を得て、美しい妻や娘と優雅に暮らしている。かつての恋人たちは、いつの間にか別々の道を歩いていた。世界を魅了する物語作家による三大陸大河ロマン。全米批評家協会賞受賞。』
『高校時代に永遠の愛を誓ったイフェメルとオビンゼ。米国留学を目指す二人の前に、現実の壁が立ちはだかる。世界を魅了する作家による、三大陸大河ロマン。全米批評家協会賞受賞。』(「河出書房新社」サイトより▽)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207186/
原書名:『Americanah』
著者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ (Chimamanda Ngozi Adichie)
訳者:くぼた のぞみ
出版社 : 河出書房新社
単行本 : 544ページ
受賞:全米批評家協会賞(2013年)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
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高校時代に永遠の愛を誓ったイフェメルとオビンゼ。米国留学を目指す二人の前に、現実の壁が立ちはだかる。世界を魅了する作家による、三大陸大河ロマン。全米批評家協会賞受賞。(出版社HPより) -
文学
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アメリカに行って受けるショック、身に覚えがあるものが多々あり、思わず共感。
アフリカ→米国→アフリカというルートを辿った、著者の自伝的小説。
壮大なスケールと、緻密な描写。最後まで夢中になって読んだ。 -
英語文学はイギリス人とアメリカ人のものではない、グローバル文学だと実感する。ナイジェリアとアメリカ、イギリスを行き来する人たちが描かれるが「移民文学」というものでもない。軸足をナイジェリアに置きながら、祖国やアメリカ社会を活写する。
同世代の著者が語る人種差別、黒人/白人/ヒスパニック/ユダヤ人であること、移民問題は非常に興味深い。日本から見るといわゆる「多様な社会」なのだが、ナイジェリアがアフリカと一般化されることの違和感、アフリカン・アメリカンとアメリカン・アフリカンの違い、ミシェル・オバマの髪型、決して気づけないあれこれに、アディーチェの言葉を読んではっとさせられる。
物語そのものはメロドラマ、社会的に成功した男女の(と付け加えると、アフリカ=貧しい・苦労した…というイメージを付加するのはステレオタイプだといわれるのだろうが)ラブストーリーという単純さ。イフェメル美人でもてるなあ、とか短編「シーリング」の続きと全体像なんだな、という感想くらいしかないが、脇を含む登場人物やエピソードの面白さは類を見ない。
オバマの大統領選と大統領就任の部分は、アメリカ黒人にどのようなインパクトと期待を与えたか、とても感動的なエピソードだ。その次がトランプ?!反動・揺り戻しとしては極端すぎるぞアメリカ。 -
おすすめ資料 第384回(2017.6.16)
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェはナイジェリア出身の作家で、アメリカとナイジェリアの双方で活躍しています。
最近では彼女の"We should all be feminist"というテーマのTEDトークが話題になりました。
『アメリカーナ」は作者の自伝的要素を含んだ小説です。
主人公イフェメルは若い時にナイジェリアからアメリカへ渡り、アメリカの社会に馴染んで暮らしているように見えますが、故郷へ戻ることを決めます。
その理由は何だったのでしょうか。
時々挟まれる、アメリカのアフリカン・ヘアサロンでの髪を編む描写が印象的です。
【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】
https://www.lib.city.kobe.jp/opac/opacs/find_detailbook?kobeid=CT%3A7200210115&mode=one_line&pvolid=PV%3A7200509147&type=CtlgBook
【神戸市外国語大学 図書館Facebookページへ】
https://www.facebook.com/lib.kobe.cufs/posts/1329014130481622 -
最近あちこちで熱烈推薦の声を聴くので、こりゃ読まねばと思い『アメリカーナ』(チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ)を図書館の予約に申し込んだ。予約リストの殺生なところは、こちらの都合にお構いなく順番が来たら読まねばならないことだ。『アメリカーナ』も例外なく「え?いま、来た?まじか」という絶妙なタイミングで順番が回って来た。
というわけで、何はともあれ読みはじめた、が最後…。もう、寝ても覚めてもイフェメル(主人公)から離れられない。手に取ったときは500頁越、しかも2段組…に相当ひるんだが、そんなの、なんのそのである。重かろうが厚かろうが、出かけるときには鞄に『アメリカーナ』。面白さは重量という障害を乗り越えるのである。
物語はナイジェリアに生まれたイフェメルという若い女性がアメリカに渡り、はじめて「人種の差」というものを目の当たりにして…という、女一代記(?)でもあり、アメリカの社会風刺(いやドキュメンタリーかも)でもある。『ビリー・リンの永遠の一日』に続き「これがアメリカか…」とぽかーんと口を開けてしまう小説を読んだ。
とにかく、頭が良くて辛辣で愛情いっぱいのイフェメルが魅力的。どうしたって、美しい作者アディーチェと重なってしまう。そして読み終わってみると、作者が言う通り「弁解の余地のないラブストーリー」だったのだと気づいて胸が熱くなる。
肌の色の違いから、自分はアウトサイダーであることを自覚せざるをえない移民が、そろりそろりと米国になじんでいくのはラヒリの『その名にちなんで』を彷彿とさせるものもあるが、当然切り口はまったく違うのでもう一回あちらも読みたくなった。
移民なくしてアメリカ文学は、文化は、やっぱり成り立たないのだ。
エッジの効いた人物たちを、きちっとエッジを効かせて日本語に移し替えたくぼたのぞみさんの訳文がまた素晴らしい。