バルテュス、自身を語る

  • 河出書房新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309255347

作品紹介・あらすじ

20世紀の最も偉大な画家の一人であるバルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ、通称バルテュス。彼が晩年を過ごしたスイスのグラン・シャレーにて、今までほとんど語られなかった私生活-日本人の妻、節子と娘の春美のことから絵画と芸術に対する思想まで、初めて語った貴重な回想録。デュラスやカミュ、サン=テグジュペリの伝記で知られる著者ヴィルコンドレが2年間にわたりバルテュスに取材し、まとめた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 内面、モチーフの内部を描きたい方なのだなあ、と。素直に描かなければそこにたどり着けないと言う。そしてシャガールには偽りめいたものがあると。よってクラックがないため、その隙間から中に、素晴らしい国には入れないとのこと。なんとなくわかる気もした。偽りのものは人工的で作為的で、いい意味での隙間はないものなのか。

    個人的にはバルテュスの絵はそんなに趣味ではない。逸話も少し気持ち悪い。でも短いながら同時代を生きた巨匠についてもう少し興味をもって勉強してみたい、そう思った。

  • かつての展覧会でバルテュスの絵の実物を観た時、少女たちを描いたものよりも風景画の方が素晴らしかったのが驚きだったのだが、バルテュスの子供時代の恩人がボナールだったことをこの本で知り、得心がいった。「少女に粘着する変質者かと思ったら、全然違っててボナールみたいだった」と思った当時の感想は間違っていなかったようです。バルテュス=少女愛のサディスト、孤高の変質者というよりは、ちょっと極端な趣味に走りすぎたカソリックの聖職者風情と捉えるべきでしょうか。この本で、ご本人が世間の誤解に対する抗弁をたくさん述べておられます。難点は、画像資料がないため話に出てくる絵画を自分の持っている画集に照らし合わせながら読まねばならないこと。なかなかの価値ある珍本ですが、バルテュスの画集を持っていない方にはあまりお薦め出来ないのが残念です。

  • バルテュスの、絵画への真摯な思いが繰り返し繰り返し語られる。神秘なもの、己の内側にあるものへ目を向かわせるための芸術。それは決して、自己を表現するものではなく。

  • 一度観たら忘れられないバルテュスの絵。

    妻・節子さんの美しい和服姿、スイスの大邸宅・・・。

    言葉が詩のように響き、ヨーロッパの文化伝統と知性の厚み深さの前にたじろぐのみ。
    ジャコメッティが大親友だったとのことに、納得。

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著者プロフィール

1908年パリ生まれ。ポーランド系の古い貴族の血を引く。印象派からシュールレアリズム、それ以後と、近代ヨーロッパ美術をくぐりぬけて独自の光彩を放つ20世紀最高の画家の一人。代表作「山」ほか。

「2022年 『バルテュス、自身を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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