- Amazon.co.jp ・本 (604ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309407098
作品紹介・あらすじ
波瀾万丈の物語、構想の雄大さ、雄渾華麗な文体、因果応報と勧善懲悪-間違いなく、わが国伝奇小説の白眉である傑作長編を、やはり伝奇小説の名手白井喬二が最も読みやすい名抄訳でまとめた現代語訳版。里見家の臣、八犬士が運命の糸に翻弄されながら不思議な因縁で結びついてゆく。その壮大なスケールを失うことなく、簡潔な上下巻で面白さを堪能できる。
感想・レビュー・書評
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小学生の頃夢中になりました。
子供向けの本ばかりですがいくつも図書館回っていろんな種類を探して読んでいました。
子供向け本しか読まないままというのも寂しいが、原語は無理…なのでもう少し詳しい版で読み直し。
今回読んでみてまず自分が時代背景をよくわかっていなかったことから反省。
漠然と「安房の里見家」と思っていただけだったのですが、室町将軍義教と鎌倉公方義持との戦いから話は始まっていたのですね。
話の始まりはこんな感じ。
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将軍足利義教に敗れた鎌倉公方足利義持の家臣、里見家の若武者里義実はお家再興のため戦場を逃れ、安房に辿りつく。
義実は次第に安房で力を蓄えるが、戦で滅ぼした城主の愛妾玉梓(たまずさ)の「憎き里見家を畜生道に落とす」との呪詛を受ける。
安房の二大勢力となり、娘の伏姫と嫡男にも恵まれた義実だが、もう一つの勢力である隣国の城主安西景連との戦を迎える。
敗戦の危機が迫る中、義実の飼い犬の八房が敵将景連の首を食い千切って義実に差し出す。
勝利に沸く里見軍だが義実の顔色は陰る。
八房へ景連の首を挙げれば、わが娘の伏姫を与える」との戯言を言っていたのだ。
そして八房は玉梓の呪詛を受け、里見家を畜生道に落とすために伏姫を所望していた。
伏姫は約束を果たすために八房と共に山に籠る。
2年間伏姫は八房の欲望を避け読経の日々を送る。その姫の静謐さに八房からは徐々に玉梓の呪詛が抜けていった。
伏姫を探しに来た義実だが、その目の前で里見毛家臣金碗大輔が姫を助けようとして却って姫の死を招く。
姫の体から飛び散る八つの玉。
大輔はその場で出家し、丶大(ちゅだい)と名を変え、飛び散った玉の行方を探す旅に出る。
…というあたりまでが序章。
その後は伏姫から出た玉を持ち、祖父の代からの因縁を持つ八人の犬士たちが出会って大活躍し、最後は里見家に集結していくお話。
玉にはそれぞれ仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字があり、それぞれの犬士たちはその玉の文字の徳を持つ(もっとも全員が武勇や知略に優れているので、玉の文字以外の部分も優れているんだが)。
数々の困難にはそれぞれの武勇や知略、確固たる精神力に犬士同士の信頼に団結力で臨み、さらには神仏の加護を受けているので危機に際しては天変地異が起きて救われる。あまりにも強いので、彼らの敵に対して「単独でも強いのに神仏が直接助けに来るような相手によく闘い挑むよなあ」とすら思えた(笑)。
登場人物たちは勧善懲悪で、出てきてから最後までその人物が善か悪かは変わることはない。名前も語呂合わせで、名前だけで人物を表す。…とはいっても私の感覚では善人なんだか悪人なんだか判別が難しい名前も多々あり(笑)
亀篠(かめざさ)や船虫(ふなむし)が悪女で、蟹御前(かなめのまえ)は賢婦人、
淡雪(あわゆき)は悪人、姥雪(おばゆき)は忠臣、
蟇田(ひきた)が悪で雑魚太郎(ざこたろう)は善、
……という具合なのだが、「亀」は悪くて「蟹」は良いの?なんて分からなくなる(笑)
滝沢馬琴も登場人物の名前は頑張って考えたようで「共の物二人」みたいな書き方はせずに必ず名前を出すのは良いんだが、「枝独鈷素手吉(えどっこすてきち)」「宿猫野良平(むしゅくねこのらへい)」とか語呂合わせにもほどがあるというか、絶対名前を出す!!という意地があったのか(笑)。
下巻感想にて登場人物について書いてみます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2021/8/14読了。
なかなか原作に忠実にコンパクトにまとめてあって驚いた。 -
読みやすい~~!!今まで児童用しか読んだことなかったから伏姫さまが畜生の情欲…とか言い出すの衝撃的で笑いました。だいぶ因縁入り交じりすぎててちょっと??てなる時もあるけど必ず犬士が勝つから問題ない
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時は永享10年、1438年。騙し討ちにあい憤死した父の遺志を継ぎ返り咲いて安房国を治める里見義実にまつわる因縁のもと、全国に散らばった八犬士が運命の糸に結ばれて集まってくる。そして妖怪、妖婦、極悪非道の者までばったばったと倒しながら里見家に揃うと、扇谷、山内の軍勢と一戦を交えて叩き潰す!おお、伝奇小説の神、馬琴の八犬伝!この話は設定を決めた時点で勝ちだ。50年に及ぶ長い話で原本は106冊に及ぶらしいが上下巻は現代語訳では最も読みやすいと言われる白井喬二版。だが本音を言えば司馬遼太郎か隆慶一郎に書き直してほしかった。随分淡白なのだ。しかしNHKの人形劇を思い出し、宿命に定められた八犬士が集まってくるだけでゾクゾクする
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一度読んでみたかった作品。
犬に縁のある8人の剣士が集まる話し。
物語は勧善懲悪を基本としているものの、主人公たちに苦難がないのかと言えばそんなこともなく、元々大長編をコンパクトにまとめているだけあってイベントも次から次へと起こるから、飽きずに読み進めていけます。
しかし、元々昔の人の名前を覚えるのが苦手で歴史・時代小説を敬遠していた上、登場人物の名前が長い。ミドルネーム?いる?
さらに、苗字に全部「犬」の文字が入っているので、ますます判別が難しくなる。犬川、犬田、犬山など氏だけ並べられた時には絶望しかない。
とはいえ、まだ上巻なので、下巻では全員揃ってキャラも立ってくるはず、と期待しています。 -
各地に散らばった八つの玉を巡って、8人の剣士たちが力を合わせて悪を倒す・・今でいう「戦闘もの」感!
「波瀾万丈の物語、構想の雄大さ、雄渾華麗な文体、因果応報と勧善懲悪-間違いなく、わが国伝奇小説の白眉である傑作長編を、やはり伝奇小説の名手白井喬二が最も読みやすい名抄訳でまとめた現代語訳版。里見家の臣、八犬士が運命の糸に翻弄されながら不思議な因縁で結びついてゆく。その壮大なスケールを失うことなく、簡潔な上下巻で面白さを堪能できる。」 -
実際に読んだものは昭和51年に河出書房より発行された日本古典文庫19巻「南総里見八犬伝」(白井喬二訳)です。
およそ30年ぶりに本棚より引っ張り出し再読しました。
あらすじは足利幕府と管領家をめぐる結城の合戦に端を発し、落ち延びた里見家の再興を図るために奇縁でつながる八犬士が放浪の末に巡り合い、宿敵を倒すという冒険活劇ファンタジー。
伏姫と八房にふりかかる玉梓の怨念。仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの霊玉。狐狸や妖怪との対決など破天荒なストーリーで楽しませてくれるが、とにかく登場人物の多さと複雑に絡む相関関係が消化しきれず、後半は大雑把な筋を追う形にならざるを得なかった。
手づくりの相関図が少しは役に立ちました。
仕上げは漫画で復習することにします。 -
2020年6月12日購入。
2021年1月18日読了。 -
歴史文学を読もうキャンペーンその2?
戦いのシーンはイメージしやすかったけど登場人物が多くかつ名前が難しいので話が物語に入り込み辛かった、、、
犬山道節がかっこいい -
長い間読みこがれてきた娯楽小説だけあってなかなか読み応えがあり。たまにはこのような本を読んでみるのも良いと思った。「仁義礼智忠信孝悌」の八徳を覚えらるるメリットもあります。