ラテンアメリカ怪談集 (河出文庫)

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制作 : 鼓直 
  • 河出書房新社 (2017年9月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464527

ラテンアメリカ怪談集 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 1990年の本の復刻版。当初、紀伊國屋書店限定でちくま文庫、河出文庫、それぞれリクエスト上位2冊を復刻という企画だったようですが(https://www.kinokuniya.co.jp/c/20170828095804.html)フェア期間すぎた11月からは他店でも販売してました。他の3冊も読みたい。

    さて、ラテンアメリカ文学というとマジックリアリズムのイメージですが、『怪談集』だからか予想していたよりヨーロッパ的というか王道ゴシックホラーっぽいものも多くて意外でした。収録はたぶん年代(作者の生年月日)順。15作のうち過半数の8作がアルゼンチンの作家。既読はたぶんボルヘス「円環の廃虚」だけかな。

    収録作の中では唯一女性作家のオカンポ「ポルフィリア・ベルナルの日記」が女性らしいぞわぞわした不穏さで好きだった。お金持ちの邸宅に家庭教師として雇われた若い女性が体験する、まだ幼く可愛いはずの生徒に対する恐怖!っていう、ゴシックものの定番設定なのだけど、やっぱりこれが怖いんだよねえ。

    アストゥリアス「リダ・サルの鏡」は好きな男を振り向かせるためのお呪いに途中で失敗しちゃう女の子という民話っぽいテイストの悲劇。ムヒカ=ライネス「吸血鬼」はタイトルずばり吸血鬼なところからしてゴシックホラーの王道だけど、本物の吸血鬼のお城にロケハンにきた映画プロデューサーが本物と知らずに吸血鬼に主演オファーしちゃうとかパロディ的な要素もあるのが新しい。

    キューバのレサマ=リマ「断頭遊戯」はどうやら舞台が中国でなんというかシノワズリ。パス「波と暮らして」はタイトル通り「波」と同棲しはじめた男の話で、擬人化というほどではないけれど人格(?)というか意志を持った「波」と暮らすという発想がなんとも斬新。

    ルゴネス「火の雨」の理不尽さはいかにもラテンアメリカっぽい、アンデルソン=インベル「魔法の書」はある意味ボルヘスっぽく、「奪われた屋敷」は安定のコルタサル、ビオイ=カサレス「大空の陰謀」は一種のパラレルワールドSF、モンテローソ「ミスター・テイラー」はシニカルなブラックユーモア、ムレーナ「騎兵大佐」は悪魔もの、フエンテス「トラクトカツィネ」とキローガ「彼方で」は幽霊もの。

    と、なかなか題材は幅広く、いかにもラテンアメリカっぽいものも、らしくないものも含め、どれも楽しく読めました。

    ※収録作品
    「火の雨」ルゴネス(アルゼンチン)/「彼方で」キローガ(ウルグアイ)/「円環の廃虚」ボルヘス(アルゼンチン)/「リダ・サルの鏡」アストゥリアス(グアテマラ)/「ポルフィリア・ベルナルの日記」オカンポ(アルゼンチン)/「吸血鬼」ムヒカ=ライネス(アルゼンチン)/「魔法の書」アンデルソン=インベル(アルゼンチン)/「断頭遊戯」レサマ=リマ(キューバ)/「奪われた屋敷」コルタサル(アルゼンチン)/「波と暮らして」パス(メキシコ)/「大空の陰謀」ビオイ=カサレス(アルゼンチン)/「ミスター・テイラー」モンテローソ(グアテマラ)/「騎兵大佐」ムレーナ(アルゼンチン)/「トラクトカツィネ」フエンテス(メキシコ)/「ジャカランダ」リベイロ(ペルー)

  • 紀伊國屋書店限定復刊。
    ボルヘスやコルタサルの名前が並んでいるので、勝手に幻想小説寄りのアンソロジーだと思っていたが、かなり『怪談』寄りだった。『ホラー』ではなく『怪談』というのがピッタリなものが多い。『火の雨』や『吸血鬼』、いいなぁ……。

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ラテンアメリカ怪談集 (河出文庫)の作品紹介

『伝奇集』や『幻獣辞典』で有名な二十世紀ラテンアメリカ文学の巨匠ボルヘスをはじめ、コルタサル、パスなど、錚々たる作家たちが贈る恐ろしい十五の短篇小説集。ラテンアメリカ特有の「幻想小説」を底流に、怪奇、魔術、宗教、伝承、驚異などの強烈なテーマがそれぞれ色濃く滲むユニークな作品集。『百年の孤独』を訳した鼓直が精選し、独自に編集したオリジナル文庫。

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