ふたりジャネット (奇想コレクション)

  • 河出書房新社
3.64
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本棚登録 : 237
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309621838

感想・レビュー・書評

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  • さすが奇想コレクション!変な話揃いで、面白かったです(笑)

    お気に入りは「熊が火を発見する」。
    タイトルの通り、熊が火を発見し、たき火なんかをしている話なんですが、
    何故だかその設定が、当たり前のように受け入れられてしまう所が凄い。
    どことなく物悲しさ漂う読後感も好きです。

    ショートショート「アンを押してください」も面白かった!
    お金を引き出そうとATMを操作すると、ATMにバカにされる。
    「お預け入れ」「お引き出し」「残高照会」「お天気」…お天気?
    それがどんどんエスカレートしていき、、、

    個人的に最高だったのが、<万能中国人ウィルスン・ウー>三部作。
    ウー、どこまで万能なんだよ!っていう(笑)こんな友人が欲しい…
    ウーの経歴や、訳分からない数式を見ただけで笑えます。
    主人公アーヴィンとウーの、会話が面白い。
    かみ合ってないようで実はかみ合っている(逆か?)のよね。

    ユーモアに溢れていて、プッと笑わずにはいられない短編集でした♪

  • なんだかどの話も同じ感じじゃねーか、て気がしないでもないけど、まぁそれはそれで楽しげではある。
    なんだろうね、この同じフレーズを何度も繰り返すのはテクノの手法というか、繰り返しているうちにトリップするというか、リズムに乗るというか、韻を踏むというか。
    とまぁそりゃ翻訳スタイルかもしれんし、ていうか終盤からはキャンディちゃんのLOVE注入なお話でドキドキハラハラなんで、もうSFとかどうでも良い的な。ホンワカした。

  • スラップスティックSFの中短編集。
    多彩な語り口のストーリーが収録されており読んでて飽きがこない。
    清水義範やラファティ好きなら読んで損は無いと思う。
    突飛なアイディアと(男なら)感情移入しやすい主人公の心情が、軽い文体で上手くまとめられている。
    訳者の技量と熱意も感じられる良本。

  • ふたりジャネット (奇想コレクション)

  • SF。ファンタジー。短編集。
    全体的に、よく理解できない、不思議な作品が揃う。
    奇想コレクションの名に恥じない、奇妙な作品集。
    以下2作品が好き。
    「未来からきたふたり組」
    分かりやすいタイムスリップ・ラブストーリーで読みやすい。
    「冥界飛行士」
    仮死状態となり〈他界〉を旅する物語。怖さもあり、なかなか印象的。

  • 2015年神保町ブックフェスティバルで購入。
    日本独自編集の短篇集。こちらは『奇想コレクション』らしいタイプの作風。
    『穴の中の穴』や『宇宙のはずれ』などは割と明るめというか、登場人物の言動がコメディ的な短編が多かったが、『熊が火を発見する』『英国航行中』などの、非日常的な空間をごく当たり前の人々が生活するギャップを描いたものの方が好みだった。異色なのは『冥界飛行士』で、こちらは切ない読後感が特徴。

  • 奇想コレクションの名に恥じぬ奇想っぷり。熊が火を発見したり、イギリスが島ごと航海したり。
    『アンを押してください』、『未来からきたふたり組』が特に好き。
    ウィルソン・ウーのシリーズはまとめて読めてうれしい。

  • ウー英雄。

  •  ちょいSFな短篇集。ラファティの系譜と呼ばれてる人らしいけど、ラファティより読みやすいしユーモアもあると思う。ラファティはたまにわけわかんないオチのを書いたりするし。ハズレがぜんぜんなかった。とにかく全部おもしろい。


    「熊が火を発見する」タイトル通りのはなし。熊がのんびり焚き火を楽しんでる様を想像すると、なんだか絵本みたいでほのぼの。ラストはちょい切なめ。

    「アンを押してください」ATMでお金をおろそうとしたら、画面に変なメッセージが次々と現れるはなし。笑った。コントみたい。

    「未来からきたふたり組」近いうちに消失してしまう重要美術品を守るため、未来人が買い付けにやってくるはなし。ラブコメ風。

    「英国航行中」ある日とつぜん、イギリスの島全体が船のように動き出してしまうはなし。人情もの。

    「ふたりジャネット」編集者を目指して都会に出てきたのに、地元に次々と有名作家が住み始めてしまうはなし。あまり説明しないけど、ところどころ匂わせてくる人間関係が良い感じ。

    「冥界飛行士」死後の世界を見るため、仮死状態になる実験をするはなし。いろいろ切ない。

    「穴のなかの穴」自動車修理工場の倉庫内が月とつながってしまう。ドアの向こうには月面探査車が見えていて、持ち帰ることができたらかなりの高値で売ることができる。でも空気ないし無重力だし、どうしよう? という宝探しのはなし。万能中国人ウィルスン・ウーシリーズ1作目。これが一番好きかも。

    「宇宙のはずれ」街中の色んなものの時間が戻ってしまうはなし。ボロいクッションは徐々に新品へと戻り、ボケたジジイの白髪は少しずつ黒くなっていく。ウィルスン・ウーシリーズ2作目。難しい数式を書いて宇宙の危機を説明しようとするウーと、それに生返事しつつも彼女にプロポーズすることしか考えてない主人公との掛け合いがとぼけてて面白い。

    「時間どおりに教会へ」ウィルスン・ウーシリーズ3作目。今度はニューヨークのあちこちで時間が早く進んでしまうはなし。ひっきりなしに電話をかけてきて難しい話をするウーと、それに生返事しながら新婚初夜のことしか考えてない主人公。「時間が進みすぎると結婚式ができなくなるぞ!」とウーに言われて、しぶしぶ宇宙の危機を救いに行く。なんかすごい大らかな主人公だな。

     ウィルスン・ウーシリーズってまだあるのかな。もっと読みたい。

  • 「熊が火を発見する」:親子の話。イメージはノルウェーとかカナダ
    「アンを押してください」:よく分からない
    「未来からきたふたり組」:タイムトラベルのパラドクスの軽い話
    「英国航行中」:親子というより、一人の老人の話
    「ふたりジャネット」:別にジャネット2人でなくてもいいような
    「冥界飛行士」:どうしようもない暗さ。絵描きのイタコ、だが誰に会うわけでもなく
    「穴のなかの穴」「宇宙のはずれ」「時間どおりに教会へ」:この3連作は面白すぎる。積分がすきなんだね。

    人間を描く作家だった

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