ナツメグの味 (KAWADE MYSTERY)

  • 河出書房新社
3.23
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本棚登録 : 53
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309801063

感想・レビュー・書評

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  • 表題作が好きです。

  • 面白く読めるが、読み終わると印象に残るのは表題作なのかなあ。全体的にそうだが、「まとめ」がない。勝手に解釈してよ、もう、という苛立ちさえ感じる。ナツメグは大量摂取するとマリファナのような作用があるらしく、ある男が友人宅で眠りこんで、起きたら血の海だったという。無罪で釈放され、後日談として話す中、執拗にナツメグ入りのカクテルを薦める。すごく好きな雰囲気だがなんかパンチが弱い。期待して見たボクシングが、いつの間にか試合が終わってて、判定がよくわからない、そんな気分。

  • 早川書房の「異色作家短篇集」にも収録されている作家。
    ただ、ロアルド・ダールやブラッドベリなどに比べて軽め。星新一に近い読後感。
    若干の古臭ささや既視感を感じるのは、作品のせいというより、以後の作家が影響を受けているからだろう。

    17の短篇の中で面白かったのは、
    隠れた狂気の片鱗を現す男の表題作と
    デパートでひっそりと暮らす人々を描いた「宵待草」。

    「悪魔や死神を騙して逃れる」というのも多いが、これは昔からの民間伝承にあるテーマ。
    ショートストーリーというのは、スノッブな雑誌という媒体を通じて語られた民話だったということ。
    そこが長篇の「文学」とは違うところかも。

  • 技巧とウィットに富んだ異色作家コリアの傑作集。17編収録。
    ちょっと怖くてちょっと不思議な短篇集ではあるんだけど、ぞくりとせずにふうんで終わってしまうものも多い。今さら感も強く…。
    この手の作家はよほどのファンでない限り、読み込むのはしんどいなぁ。
    むしろいろんな作家の作品を集めた作品集のほうが読んでいて楽しいかもしれない。

  • 悪魔的な笑いと奇想に満ちた異色短編17作を収めた短編集。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】マネキン人形に恋した青年、幸せな夫婦のもとに不幸を持ち込んだ怪鳥、瓶詰めにされた人間…摩訶不思議、奇妙なテイストの作品が多い。中にはどうしても途中で理解不能に陥ってしまうものもあり(あるいは自分の読解力)、全部が全部手放しで面白いとはいえないが、不思議な魅力、というか魔力を持った本だ。いくつかの作品をピックアップして紹介。「ナツメグの味」主人公の勤める研究所に入ってきた新顔の男。神経質そうに孤独の殻に閉じこもっている彼を昼食に誘ったのをきっかけに親しくなる。感情を抑えた控えめな男がただ一点のこだわりのために豹変するラストが面白い。「異説アメリアの悲劇」冒頭の歯科医院にて全ての歯を抜歯しようとする場面から、一体なぜ?と気をひきつけ、オチまでのむだのない話運びでひとつの悲劇が生まれる快作。「壜詰めパーティー」贅沢を夢見る男がふらりと立ち寄った店には様々なものが入った壜がずらりと並ぶ。万能な魔神の入った壜を買い、早速使ってみると…。強欲さが災難を呼ぶというオチが笑える。

  • 得意ではないのが短編小説。
    だから、ちょっと肩身が狭い棚。

  • 癖のある話を書く作家です。
    本書には17編の短編が収録されています。
    悪魔的な笑いと奇想を凝縮したとありますが、ブラックユーモアと奇想が根底にある物語が多いです。
    どう書けば良いのか難しいのですが、どの話も異世界に迷い込んでしまったような雰囲気に浸れる物語ばかりです。
    奇妙な世界を味わいたい方にはお勧めです。

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