- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309906980
感想・レビュー・書評
-
テクノロジーの先端において実現しつつあることを、どのように受け止めていくか、という構えたスタンスで本書にあたる人もいるかもしれないけれど、10年~30年の間にどれも実現してしまいそうですね。時系列で考えて、これまで変遷しつづけてきた人間のありようと同じ意味合いで捉えていったほうが幸せになれそうな気がします。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バイオ、ナノ、脳科学の進化がもたらす人間の人的進化に関して色々と述べています。ここに書かれた事柄は確かにいつか達しうる技術ですが、まだ先の話。不老化に関しては中々興味深い記述が多かったです。
個人的な興味と合致しているので☆5です。まぁこの本も例に漏れず、時代に取り残されていきそうです…技術の進歩は早いですから、色々解明されていくのです。 -
・医療と能力増強の境界は曖昧
-現在は能力増強は積極的に行われてはいないが,近い将来洗濯できるようになるのでは -
【総評】
名著。最先端の研究内容を、きれいな日本語でexcitingに語った一冊。理学系で研究職を目指している高校生、大学生には是非読んで欲しいと思う。
帯にあるように、脳や遺伝子に、ITが組み込まれていく近未来が、リアルに想像できる。2004年時点で既に、”考える”だけで、それ通りにPC上のポインタが動く所まで技術は進んでいる。
あとは、
・一人あたり500万円程度かかる手術など金銭的な面
・人間の脳から直接電気信号を取り出したり、逆に入れることで人間を制御できてしまう可能性から鑑みられる倫理的な面
・現状頭蓋骨に穴をあける大手術が、電気信号を脳から取り出すのに必要である、という健康的な面
・脳の若干の個体差を識別して、電気信号を調整していくソフトウェア開発という技術的な面
さえ乗り越えられれば、十分に普及する可能性がある。
TUI(Tangible User Interface)という考えが示されてすぐ、
NI(Neural Interface)という、いわば人と機械をつなぐInterfaceの究極系ともいえる技術が表に出てきた。
これがもし実現されれば、コミュニケーションから何からが一気に大転換するだろう。
脳と脳へ伝わる、いわゆるテレパシーが日常のものとなり、言語を介さずに感覚を伝えたりでき、まさに『攻殻機動隊』の世界そのもの。
活版印刷術以来の、情報伝達の革命が起こるはずだ。
インターネットの前身であるアルパネットを開発した米軍が、このNIの研究に全力で投資していることからも、アメリカが本気で開発しに行っている技術であることは確かだ。
【気になったフレーズ】
・科学者は治療と増強とのあいだに線引きはできない。
・全体としてみれば、多くの人に行きわたった意思決定の力の方が、少数のエリートによってなされた決定よりも、繁栄を求めて変化する社会においてはより効果的なのだ。
・カフィインとニコチンは反応速度や注意力をわずかに向上させる。さらにニコチンは長期記憶や問題解決能力テストの成績も向上させる。また、集中力を高める。リタリンなどの薬は、集中力や記憶力を向上させる。
・モダフィニル(商品名はプロヴィジル)を常人が服用すると、4,5日連続して起きていられる。しかも、眠ろうと思えば、眠ることもできる。
・概ね、IQの平均値100との差の半分が遺伝子によるものである。
・視覚、触覚、聴覚はある程度、脳内のどのニューロンが発火するのかわかってきた。次は、言語、記憶、注意、感情といった人間の高次精神機能のデコードだ。
・脳に刺激を与えて、視覚を呼び覚ますことができる。
・アインシュタインは、相対性理論の発見は、時空間を視覚化する能力に負う部分が大きい、と言った。
・wwwの次のステップは、私たちの生物学的な脳の統合だ。 -
この刺激的なタイトル!「サイバー」「テクノ」「トランス」という言葉を連想させる装丁、編集者の意図がよく出ている。
原題は"More Than Human"で、意味的にはたいして違わないが邦題のインパクトのある語感とはだいぶ違う。昨年、立花隆が紹介していたNHKスペシャル「サイボーグ技術が人類を変える」において、サイボーグがSFの世界の話だけではなくなってきたことを、多くの人が知ることになっただろう。ヒトゲノムの解析が終わって、遺伝子治療によって、バイオテクノロジーが人間へと応用され始めていることも、かつてのSFの中の世界が現実になってきていることを示している。医学の歴史を振り返ってみると、人間は自然治癒に任せるだけでなく、いかに苦痛を取り除いて健康を取り戻すかを、追究してきたのである。それだけでなく、刺青やピアスによって、古来から人体を改造して飾り立てようとしていた。
その歴史の延長線上にみると、コンピュータとの融合も遺伝子治療も、自然な進歩の流れに思えるだろう。たとえば、LASICというレーザーを用いた近視の手術は、ほんの15年前には普通の人ならそんなリスクを冒すことはなかったが、今日アメリカではかなり一般的な手術である。知り合いの中にも体験者がいて、視力が飛躍的によくなったという。こうした医療技術の発展は、結局はビジネスと結び付いていて、多額の研究開発費が出れば、それだけ早く技術が進歩することになる。技術の進歩は普及すればするほど、一部の特別な人だけが享受することから、多くの人に広くゆきわたることへとなっていく。
この本に書かれている架空のエピソードに、脳の中にコンピュータを埋め込む手術を受けるという話がある。記憶力や学習能力の向上だけでなく、意図するだけで外部のコンピュータを操作できる。さらに、埋め込んだ者同士無線通信を用いて、テレパシーのように言葉に頼らないコミュニケーションが取れる。このことにより意思疎通が円滑になり、仕事の効率も人間関係も飛躍的に向上する。今までの人間がコミュニケーションについて多くの努力をしてきたことが、一挙に解決へと向かうのである。もしかしたら、自分が生きている間にそういう時代がくるかもしれない。ただし、その恩恵に預かれるかどうかは、適正や経済力にもよるのかもしれない。
筋力や精神力、記憶力を高めるための様々なドーピング、不老長寿の研究がどれほどの成果をあげているか、ICによる視力、義肢、人工臓器などなどについて、最新医学の成果と未来への研究が書かれている。
さらには、驚きなのが現在の世界の人々の現状である。たとえば、世界中にアルツハイマー患者が2000万人いるとみられること。そしてますます増えてきているのだ。あと少し長生きして技術が追い付いてくれば、もうちょっとお金をかけることができれば、最新の治療の恩恵に預かることができ、寿命を延ばすことができる人も多くいることだろう。
本書は人類の未来にとって重要なことが書かれている。そのうちもう一度読み返してみよう。 -
読んでてうんざりしてくる。