小説 上杉鷹山〈下〉 (人物文庫)

著者 :
  • 学陽書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784313750029

感想・レビュー・書評

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  • 権力と自分
    火種

  • 鷹山(当時は上杉治憲)の活躍は少なめ

    しかし、息子に当主の座を譲りすぐにかつての米沢藩の窮状もどってしまい、再度改革に乗り出し・・・鷹山の優しさだけではなく、苦悩、厳しさなどが描かれる

    著者の童門冬二氏は「美しい日本の心」を書きたいとの気持ちから出来上がった連作の最初の一人だそう、本当に上杉鷹山の心は美しく一点の曇りも無い、そしてそれを国造りの理想とし本当に美しい街を作った

    「鷹山のようになりたい」と言えば理想論と鼻で笑わそうだだし、本当に苦しい道のりだと思う、っでも本当にこのような『美しい心』が自分の中の理想で、そ言う気持ちをごまかしながらフテクサレ、ダラケテいる自分が嫌いで何時もナニカに苛立っているのだなと思わされた。

    かつてJ.F.ケネディは「尊敬する日本人は ?」との問に「上杉鷹山」と答えたのだとか、そんな彼がもっと長く政治を動かしていたら世界は変わっていたのだろうか?

    イヤ、人のことはどうでもいい、自分の中の火種を消さずに育てるようにしていかなくては

  • フィクションと歴史の境目がわかりづらいのが魅力に映らず。

  • 数日前、治憲は米沢藩の藩主の座を相続した。まだ十七才の青年藩主である。
    だが、米沢藩は困窮に喘いでいた。借金を頼みに行った色部照長は不首尾に終わったことを告げた。そして、一つだけ策があるという。それは藩を幕府に返上することである。それ程までに追詰められていた。
    米沢はもともと、藩祖・上杉景勝の家臣・直江兼続の領地であった。景勝は家来の国に転がり込んだのだ。そのとき、所領が減ったにもかかわらず、家臣の人員整理を行わなかった。景勝の死後数代たち、さらに減封される出来事が起きた。その結果、米沢藩は収入の約九割が人件費として支出される異常な状態になってしまった。
    だが、治憲は藩を返上しないことを決意していた。そのつもりがあるのなら、一度改革を断行してみてからでも遅くないと思ったからである。だが、そのためには人が必要である。
    米沢藩は本国も江戸も開藩以来の形式主義、事大主義に毒されており、身動きがとれないでいる。この悪習に立ち向かえる人物が必要である。
    そこで、小姓の佐藤文四郎に命じて人物を探させた。そして佐藤文四郎が持ってきたのは、竹俣当綱、莅戸善政、木村高広、藁科松柏らである。これは治憲が注目していたのと一致していた。
    治憲はこの者たちを呼び、改革を命じた。まずは江戸からの改革を始める。米沢藩の改革は民を富ませることである。そして、まず取りかかったのが、虚礼の廃止である。だが、このことはすぐに本国での抵抗を招く。
    治憲が始めて米沢に入国する。十九の時である。その途中のこと。治憲は炭の中の種火をみて、近習達を呼び、この種火のようにお前達は改革の火種となってくれと頼む。そしてその場で、種火から炭に火が移され皆に手渡された。
    米沢に入国した治憲は竹俣当綱を執政に、莅戸善政を奉行に任命し本国での改革を始めるが、本国の重臣達が非協力的な態度に出るため、遅々として進まない。そうしたなかで、治憲は米沢藩の殖産を竹俣らに命じる。だが、これも重臣達が妨害をする。
    両者の対立は決定的な物になり、重臣達は治憲追い出しを企む。だが、先代藩主・重定のおかげで命拾いをする。この事件に関わった重臣達には厳罰が言い渡された。
    藩政に落ち着きが戻り、改革が進む。そのなかで人物養成のために治憲は学校を作ることを決断する。学校は興譲館と名付けられた。
    だが、改革が進む中、様々なことがあり、治憲の回りから頼みにしていた人間が去る。そして治憲は、若くして隠居することを決意する。三十五才のとこである。この時に次期藩主となる治広に送ったのが「伝国の辞」である。この後、治憲は鷹山と名乗るようになる。

  • J.F.ケネディが来日した際、「尊敬する日本人は ?」と聞かれ 「上杉鷹山」と答えたが、居並ぶ日本人関係者はその名を 知らなかったと言う。 と言うエピソードは有名ですが、実際はどんな人物なのか 正直よくわからない。 米沢藩の莫大な借金を返済に導いたってぐらいで、 どうやったのかは前から気になっていました。 読んでみて思ったのは、改革は思ったよりも ドロドロしていたんだなぁ~ってこと。 古いしきたりが正しいと考える旧勢力が改革に大きく立ちはだかる という図式は、そのまま現代にも当てはまる。

  • 上巻に続けて読了。歴史小説をビジネス小説として、時々現れる、現代風に言えば、という注釈が非常によい。17歳で家督を継ぎ、35歳で隠居、後任を育てるという、ものすごく若い時に大改革を成し遂げたんだと驚愕しました。
    ビジネス小説としては、まさに企業再生ストーリーとして、ヒトが変わり、組織がどう変わっていくか、また改革が進んで、ヒトはまたどう変わっていくのか。
    改革が進むに連れて、権力の集中によりかつての同士が道を踏み外すなど、人間模様もまた生々しく面白かったです。ちょっと続けて堂門さんの本を読みたいです。

  • 上巻に続き読了。
    前から気になっていてやっと読めた。
    自分の座右の銘である「なせばなる~」の上杉鷹山。
    米沢にも行ったことあるのにどんな人だったかはほとんど知らなかった。

    清廉潔白の人柄。自分にはできないけれど、すこしでも自分の中には持っておきたいと思った。

  • 為せば成る。為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり。

  • 久しぶりの再読。
    やっぱり何度読んでも良い。
    この作品がというより、この「上杉鷹山」という人物がなのかもしれないが、読み返すたびに爽やかな気持ちになる。

    企業再生に通じるので、ビジネス書としてもかなり面白いと言えそう。
    後半、鷹山と共に改革を進めてきた家老が、惰性・結果を急ぐなどの理由で道を踏み外していったり、改革メンバーが鷹山への気遣いや家老への複雑な思いから、真実を鷹山に伝えられなかったり、迷いにとらわれる中、鷹山はまっすぐに清廉な道を進む。
    それは、あくまでも民の幸せが改革の目的であり、民に対して恥ずべき道は歩まないというブレない強い心を持っているからかと思われる。

  • なせば為る 成さねば為らぬ 何事も。
    "If you do it, you can accomplish anything. Just do it. If you do not, you can never accomplish anything."

    John F. Kennedy, the 35th president of the United States, was said to have cherished it and it reportedly became the source of the famous portion of his inaugural speech: "And so my fellow Americans, ask not what your country can do for you. Ask what you can do for your country."

    President Kennedy was asked by a Japanese reporter in 1961: "Who is the Japanese politician you respect most?" He replied: "Uesugi Yozan."

    1908 Book Published in English, titled "Representative Men of Japan" informed of men in Japan who were not Christian but were of strong moral fiber and high caliber. Yozan was one of them.

    <Citation>
    http://www.jef.or.jp/backnumber/171th_promenade.pdf

    http://www.teresa.co.jp/uchimura/uchimura.htm#yozanI

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著者プロフィール

歴史作家。東京都知事秘書、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。退職後作家活動に専念。人間管理と組織の実学を歴史の中に再確認し、小説・ノンフィクションの分野に新境地を拓く。『上杉鷹山』『小説徳川吉宗』など著書は300冊を優に越える。

「2023年 『マジメと非マジメの間で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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