なめらかな社会とその敵: PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論
- 勁草書房 (2013年1月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326602476
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
2019.06.13 EGMフォーラムで紹介を受ける。
-
大上段に構えた書きぶりではあるが、そんなに新しいことを言っているわけではない。ただ、様々な知見を畳み掛けるように示しつつ、才気走った筆で自論をわかりやすく展開するその手際はすごい。著者に続く世代に本書が与える影響は大きいのではなかろうか。限られたコミュニティでの社会実験や実例を踏まえているとはいうものの、それを人間社会全体に適用しようとすれば、それはユートピア的な思考実験にならざるを得ない。しかし、その実現可能性を云々するよりは、現代社会のシステムをよりラディカルに相対化して考えていくためのヒントを得るものと考えれば、十分に有用な書物であろう。情報技術に対する無邪気さが気になるところではあるが、それを言ってしまってはこの論考の前提を否定することになるだろう。ただやはり、情報技術の管理が恣意的に行われないようにすることは、本当に「技術的に」可能なのか。気になる。
-
アプリ「スマートニュース」の創業者の著書。ゼロとイチ、ウチとソト、敵と味方をはっきりと区別しない、複雑さを複雑なままに扱う、なめらかな流通ネットワークの構想について。「敵」はカール・シュミットから。
-
思考実験の域を出ていない。主題となっている「なめらかな社会」を是としているが、人間の認知力が追いつかないだろう。そもそも、「なめらか」であることが良いことなのか不明。結局、個人主義の延長では。システム以前に、人間という生き物に対する洞察が不足していると感じる。
-
複雑な社会を複雑なま生きる
分人民主主義
自分を分割してコントロールしていく -
☆「開かれた社会とその敵」のもじりなのだが、数学的というか、モデルによる考察だな。
-
非常に難しい本だったが、面白い!
-
2018年5月④
-
細胞と身体の皮膚と国家に共通して膜があるとし、生命のあり方から国家までを考えた労作だが、なめらかな社会は実現しないだろうなぁと思うだけだった。生命は結局のところ自己維持するネットワークに過ぎないというのは事実の一つではあるだろうが、理系の人は所詮、試験管の中でしかものを考えられないのだと思う。生命とは調和であり、全にして個、個にして全なのだ。生態系から外れた人類は、生態系に戻るしか調和することはできない。科学で生命を理解したような気にならず、生態系から学ぶことを著者にはオススメしたい。