世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書 434)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035372

感想・レビュー・書評

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  • 小泉さんが辞めた後の総選挙で自民党が大敗したのは、農村の自民党支持基盤を破壊したから?あれほど人気があった麻生さんが総選挙で大敗したのは何故?
    このような疑問、勘違いに統計データに基づいて答えてくれる著。
    著者が指摘するように、政治に関しては無根拠で自分勝手な意見がまかり通っている。上に挙げた「小泉が破壊したせい」「麻生さんは国民的人気があった」はその一例。
    私達国民は一部の識者やマスコミによってそう思わされてきたが、実は全くそうではない、というのが本書の主張。
    データに基づいているため、感銘で分かりやすく、誤解を否定してくれる。
    ただ、途中からデータが少し怪しくなってきている。
    このことと、あくまで政治家は世論に忠実であれば良いという意識を植え付けてしまわないかということがちょっと問題。(もちろんそれでいいという意見もあるだろうが)

  • 2009年に自民党が大敗した理由。
    (1)民主党に逃げ始めた農村の与党票をつなぎ止められなかった。
    (2)小泉を支持していた都市票を手放してしまった。
    この考え方に基づけば、このところ失政続きの民主党が、2010年参院選で、上記(2)の票を逃すのは確実。かと言って、今回はこの票の受皿がはっきりしていない、ということが残念なところ。

  • 2010/05/03

  • データから読み解く自民党大敗要因の真相。逆小泉効果と言われる定説を痛快に覆す。今後の政治を占う上で限りなく良い材料となる良著。

  • 2001年の小泉自民党の大勝から、2009年の麻生自民党の大敗を分析し、なぜ自民党が支持を失っていったのかをデータを使って丁寧に分析している。今、民主党の勝因を「反小泉路線」に帰する評論が多くあるが、むしろ有権者は小泉路線を期待して民主党に投票しているのではないかと思っていた。この本は、後者の見解をデータを使って整理してくれている。
    一番驚いたのは、安倍政権、福田政権、麻生政権を通じて、政治学者や評論家が、自民党の支持率離れを、小泉改革に原因があるとしていた点だ。「小泉改革で農村が打撃を受け、支持母体である農村が自民党離れしたため、負けた」という論旨だ。自民党がこの見解を受入れ、反小泉路線をとろうとしていたのであれば、なんともかわいそうな気もしてきた。
    星が4つなのは、データのグラフや表がわかりにくく、もっと読者にやさしくできなたのではないかという点と、細かい統計の説明が多すぎて、文章にリズムがなくなってしまっている点。
    今後の分析としては、自民党が上記の誤った理解をなぜ受け入れてしまったのかをきちっと研究してほしい。自民党はそんなに「バカ」なのか?そうではなくて、この見解が党の見解になってしまった、組織力学的な要因もあるように思う。

  • 「象牙の塔」という言葉は別に学者の世界に限らない、
    という話だと思います。

    私にとってこの本は、
    どんなに広くてどんなに大きくて
    どんなに大勢の人間が集まっていても、
    その実態はきわめて狭い世界だったということがありうる、
    そういうことを教えてくれた本です。

  • 読了:2010/03/28 図書館

  • (2010/3/9読了)「麻生なんか本当に人気なのか?」と当時から疑問だったが、それは実際実体のない幻想だったということが分かりスッキリしました(笑)自民党が世論調査を都合よく曲解して崩壊していく道筋を論理的に説いてくれる書。新書乱造時代になって、「なんじゃこりゃー」という本も多い中、これは久々に骨太で昔の新書らしい新書だった!

  • 民主党には失望したけど、かと言って「次」は自民党か・・・と言えば、多くの方が「?」だと思います。小泉政権の「郵政選挙」の大勝から、政権交代に至るまでの過程を、データを元に分析・解説しています。新書にしては手軽感はありませんが、その分、腑に落ちると思います。

  • こういう人は主要メディアには一切出てこれないんだろうなぁと。結局人は見たいものを見、聞きたいことしか聞かないものだが、今の主要メディアの人間が一番そういう傾向があるので、自分たちの主張をひっくり返されるような耳の痛い分析は聞きたくないだろうし。
    あと「マスゴミ」とか言いたがる人もこうやってちゃんと分析した上でものを言った方がいいよと。適当な印象だけで主張すること程格好悪いことないし。

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著者プロフィール

菅原琢

1976年生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科修士課程、博士課程修了。東京大学先端科学技術研究センター准教授など歴任。専門は政治過程論。著書に『世論の曲解』(光文社新書)、共著に『平成史【完全版】』(河出書房新社)、『日本は「右傾化」したのか』(慶應義塾大学出版会)など。戦後の衆参両院議員の国会での活動履歴や発言を一覧にしたウェブサイト「国会議員白書」を運営。

「2022年 『データ分析読解の技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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